表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
パーティーどころかギルドを追放されたので、次の仕事は魔法嫌いな四姉妹の魔法の先生をすることにしました。  作者: 春野
第一章 先生、始めました。

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

46/159

46.ベルと本屋へ

 ベルさんとメリダの本屋さんへ行く約束の日。

 今日もいつも通り街へ出かけて行ったシラユキさんを見送って、私はジャスミンさんと森へ出かけた。

 子猫たちのお世話をして、次はアリエルさんとの稽古だ。

 そのあと、お昼ご飯を食べて、部屋で本を読んでいるであろうベルさんに声をかけて出発する予定である。


「ではジャスミン様。私はそろそろお屋敷に戻りますね」

「うん、ありがと。今日もアーちゃんと依頼?」

「いえ、今日はベルさんとです」

「え、ベルと!?」


 末っ子の名前が出たことにジャスミンさんは驚愕の表情を浮かべた。

 昨日、一応ティナさんにも伝えて、そのときのティナさんも同じような反応をしていたことを思い出す。ティナさんに続いて、姉妹であるジャスミンさんがこの反応をするってことはベルさんは本当に長い間部屋に閉じこもっていたらしい。


 私……というか、メリダすごいぞ。いや、本がすごいのか?

 ともかく、ベルさんと出かけるということが珍しいことだというのは、ジャスミンさんの様子を見れば明らかだった。


「え~! ベルが街に行くんだ! 何しに行くの!?」

「私の知り合いの本屋さんです」

「本か~」

「ジャスミン様も行きますか?」

「うっ……アタシはいいかなぁ……」

「ジャスミン様は、あまり本は読んだりしないんですか?」

「あんまりっていうか、全然。だって眠くなるもん」


 苦笑をしながら言うジャスミンさん。

 失礼かもしれないけど、たしかにジャスミンさんは本を読むというよりは外を駆けまわっているという印象のほうが強かった。それに、そちらのほうが性格的にも似合っていると思う。

 四姉妹で言えば、読書が似合うのはベルさんと、シラユキさんだろうか。ベルさんは言わずもがな、シラユキさんは絵になりそうだ。


「それでは、ジャスミン様。失礼します」

「うん。……あ、ねぇクロエ」

「はい?」

「その本屋さんって、何でもある感じかな?」

「何でも……ではないと思います。基本は魔法書を売っている店なので」

「そっか」

「何か探しものですか? よろしければ、店主に聞いてみても」

「あぁ……ううん。なんでもない。ごめんね!」

「そうですか?」


 不自然なジャスミンさんの様子に少し首をかしげる。

 しかし、アリエルさんとの時間が迫っているので深く尋ねることはせず、森を後にした。

 お屋敷に戻ってアリエルさんと稽古をして、お昼ご飯を食べる。そして依頼へ出発するアリエルさんに気を付けてくださいと念を押すと、


「うるせぇな! わかってるよ!」


 と不機嫌に言われた。

 アリエルさんを見送って、ベルさんを部屋へ向かえに行く。

 昨日の夜に、今日の予定を確認したけど覚えてくれているだろうか。まぁ、さすがに忘れてるってことはないと思う。ベルさん、とても楽しみにしていたし。

 部屋の前にやって来たので、ノックして呼びかける。


「ベル様」


 返事はない。

 あ、あれぇ……?

 

「ベル様?」

「あ……えと、もう時間……?」

「いえ、まだ時間に余裕はあります。一応、声をかけておこうかなと」

「……そ、そっか。うん、でも、行ける、よ?」


 ゆっくりとベルさんの部屋の扉が開く。

 中から出てきたベルさんは、いつも来ていた部屋着(寝間着?)とは違って、ふわりとした白色のワンピースだった。襟元と腰のリボンに青色が使われていて、特にリボンは可愛らしい印象を抱かせる。

 華奢なベルさんにとても似合った可愛い服装だった。


「あ、あの、どうしたの……?」

「すみません、ベルさんのそういった服を見たのが初めてだったもので」

「え……へ、変かな?」

「いえ、そんなことないです。とっても可愛いです!」

「~~!」


 素直な感想を伝えると、ベルさんは一瞬驚いたように目を大きくさせて、すぐに俯いてしまった。

 髪の隙間から少しだけ見える耳が赤く染まっているので、どうやら照れてしまったらしい。

 ……可愛い。


「少し早いですけど、行きましょうか」

「う、うんっ」


 コクッとうなずいてくれたベルさんを連れて、お屋敷を出発する。

 お見送りに来てくれたティナさんが涙ぐんでいた気がしたけど、ベルさんは気づいていないみたいだし、触れないでおこう。


「あ、あの……」

「はい?」

「その、あのね」

「あ、忘れ物ですか?」


 一度、足を止める。

 ベルさんは首を振って否定した。

 なら、どうしたんだろう。とベルさんの言葉を待っていると、ベルさんが私から視線を逸らして小さな声を発する。


「……手」

「手、ですか?」

「……う、うん。その、繋いでも、いい……?」

「あ、はい。そうですよね、すみません気づかなくて」


 たぶんだけど、ベルさんは街へ出かけるのが久しぶりだから怖いと感じる部分もあるのだろう。しまった、そこまで考えていなかった。本当は私が気づいて提案すべきだった。

 もっと気持ちを考えないと。ベルさんだけでなく、四姉妹の誰に対しても。そう反省していると、ぎゅっと手を握られる。

 ……控えめに言って可愛い。


「……あ、ありがと」 


 私にも妹がいたら、こんな感じだったのかな?

 そんなことを思いながら、メリダの本屋さんを目指すのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ