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パーティーどころかギルドを追放されたので、次の仕事は魔法嫌いな四姉妹の魔法の先生をすることにしました。  作者: 春野
幕間

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107.アリエルと姉妹のお土産選び

「土産?」

「はい。せっかくですので、姉妹のみなさんに買っていくのはどうかなって」

「別に王都のものなんて珍しくもなんともないだろ」

「たしかにそうかもしれませんけど……」


 アリエルさんの言葉に苦笑する。

 アリエルさんたち四姉妹は生まれてからずっと王都で過ごしているのだから、今更王都で買ったものなんて欲しいかどうかはわからない。

 生まれもいいから、高いものをもらえば嬉しいということもないだろう。


 だけど。

 今している提案は、欲しがっているものをあげるのとは少し違う。

 誰が見ても困ってしまうようなものをあげてもいい、というわけでもないけれど。


「気持ちの問題ですよ。今日の服のお礼、みたいな」

「いや、だからこれは」

「まぁまぁ、落ち着いてください」

「別に落ち着いてるよ」

「せっかくというのもありますし、私たちだけ出かけちゃってるわけじゃないですか。それに、なんというか日頃の感謝? みたいな」


 私が余計なことをしなくても、この四姉妹のことだ。

 モノを贈ったり、言葉に出したりしなくてもお互いのことは分かっていると思う。感謝の気持ちも、それぞれがそれぞれに思っているはず。

 せっかくの機会だ。こういうのもありではないだろうか。


 シラユキさんに言わせれば、アリエルさんは素直ではないらしい。

 私も同意できる部分を垣間見てきたので、そのアリエルさんからのお土産はきっと三人とも驚くだろう。


「……わかったよ。お前がそこまで言うなら、してやってもいい」

「ぜひそうしましょう!」


 と、いうことで近くにあった雑貨店に入る。

 さすがは王都の大通りにあるお店というべきか。コップ一つにしても色や形、大きさなど様々な種類が揃っており目移りしてしまいそうだ。

 明るくポップな印象の店内には、生活雑貨や日用品が数多く所狭しと取り揃えられていた。


 ひとまずはアリエルさんと別れて、それぞれ三人へのお土産を探すことにした。

 何か好きそうなものがないかなぁ、と棚を物色していく。

 私はまだアリエルさんも含めて四姉妹のことを知っているとは言い難い。だけど、まったく知らないというわけでもないのだ。ファミリアのマスターとして、指導役として、それぞれの趣味嗜好に合っているものを選ばなければ。


 自慢ではないけど、私はお土産選びのセンスがいいと自負している。

 色々な場所に依頼で行ったことがあるので、その度にメリダたちにお土産を買っているのだ。いつも喜んでもらっている。

 と、一つのものが目に留まった。


「あ! アリエルさん!」

「あぁん?」

「これ、よくないですか!?」


 別の場所を真剣な眼差しで見ていたアリエルさんを大至急で呼ぶ。

 何事か、とこちらへやって来たアリエルさんは私が指差している先を見て、眉を寄せた。


「は? これ?」

「はい! ジャスミンさん、こういうの好きそうじゃないですか?」


 つい興奮気味に話してしまう。

 私が見つけたのは、クマの木彫りだった。片手でもギリギリ持てるくらいの大きさで置物である。

 口に魚をくわえているその表情は凛々しくカッコいい。木彫りには詳しくないけど、なかなかクオリティが高いと思う。


「……おい、冗談はよせ」

「え? 冗談?」

「……は?」

「え?」


 アリエルさんと見つめ合う。

 えっと、どういうこと?

 首をかしげていると、アリエルさんが頭を抱えた。

 

「そうだった……」

「な、何がです?」

「お前のセンスは……あぁ、いや、なんでもない」

「そうですか?」

「あぁ、気にすんな」


 なんか私がセンスがって聞こえた気がするけど、気のせいだろうか。

 アリエルさんが気にするなと言っているのだから、気にしなくていいのだろう。


「……危ねぇ……シラユキに言うなって言われたんだった……」

「シラユキさんがどうかしました?」

「な、何でもねぇよ!」


 それより、とアリエルさんが話を変える。


「ジャスミンのだったら、あっちにあったタオルとかでいいんじゃねぇか?」

「なんか普通過ぎません?」


 タオルはいくつあっても困らないから、もらって嬉しくないということはないと思う。暑くなってきたら使うし。

 でもなぁ。


「やっぱりクマのほうが」

「普通でいいんだよ! それにあいつ走り回って汗かくわりにはタオル持ち歩いてねぇんだから」

「まぁ、アリエルさんが言うなら」

「なんで不服そうなんだよ……」


 げんなりとした表情でアリエルさんが言う。

 続いて、シラユキさんへのお土産を探すことにした。


「アリエルさん! アリエルさん!」

「今度はまともだろうな……」

「当たり前ですよ! ほら、これです!」


 アリエルさんに見せるため、私は棚から帽子を手に取る。

 その帽子はつばが広くて丸い形で黒色を基調とした色合いで、水玉模様に見せかけて本当に穴が空いている。さらに私的なオシャレポイントはワンポイント別の色を入れるために頭頂部に赤い鳥の羽が刺さっていることだ。

 

 私は服に詳しくないけど、なんかめっちゃオシャレな気がする。

 シラユキさんなら着こなしてくれるに違いない。


「どうですか?」

「アヴァンギャルドすぎる!」

「アヴァ……え?」

「却下だ却下! 戻してこい!」

「かーらーのー?」

「ねぇよ! オレが選ぶからお前はさっさと棚に戻せ!」


 ちょっと腑に落ちないけど、姉妹のことは姉妹であるアリエルさんが一番わかっていると思うから仕方ないか。

 結局アリエルさんは、シラユキさんへアロマを買っていた。


「ベルさんのお土産ですけど」

「ダメだ」

「まだ何も言ってないですよ!?」

「んだよ、聞くだけ聞いてやるよ」

「ベルさんのお土産は本がいいかなって」

「…………」


 アリエルさんが目を大きくさせる。


「どうかしました?」

「いや、お前がまともなこと言ったなと思って」

「私は常にまともなつもりなんですが……」


 ベルさんには前にも本をプレゼントしたことがあり、とても喜んでもらえた。

 それはアリエルさんも知っていることだし、やはりベルさんが好きなものと言えば本になるのだろう。

 

 ということで、この雑貨店ではシラユキさんとジャスミンさんへのお土産を購入し、私たちはお店を出た。

 そしてベルさんのために本を買うべく、メリダの書店へ向かった。

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