第12話 これ、私の知っているパーティじゃない
短めです。
表彰式も着替えも終えて、これからみんなでバーベキューの準備をする。雨どころか、雲一つない快晴の空なので予定通り道場の裏庭で行う。
男性陣が先に着替え終わって、既に外で用意をしている。
「炭持ってきて」「はーい」「トングは?」「ここにありまーす」「ライター持ってこい!」「足元に落ちてます!」
最後のはだれだろう??
「凛ちゃん!凛ちゃん!」
「ん?なぁに?」
「同じテーブルで食べるよね?」
「うん」
「じゃ、大食い勝負しようよ!四人で!最下位は他の三人の言うことを一つだけ聞くペナルティ付きで!」
「え?」
四人?奏も舞花も一緒にやるってこと?あの二人って大食いだっけ?・・・・いや、そもそもうら若き乙女達で大食い勝負をするのってどうよ。
「いいでしょ!?いいよね!?じゃ、そういうことで!」
「あ、ちょっ」
声をかける前に真那ちゃんが身を翻し、外に出で行った。・・・・やっぱり真那ちゃんは少し苦手かも。
◇
「えー、肉は四百人前買ってあるから残りを気にせずいっぱい食え!かんぱーい!」
「「「「「「「「「かんぱーい!」」」」」」」」」
祖父が音頭をとり、夏を締めくくるバーベキューパーティーが始まった。男子テーブル、女子テーブルと師範&師範代達のテーブルに別れ、それぞれ四人ずつ座っている。・・・・・・ちょっと待って、四百人前?聞き間違いであってほしいな。
「ねぇねぇ!肉を焼けるだけ焼いて大食い大会しよ!ご飯も大盛りね!二
「私はいいけど、奏と舞花は?」
TSしてから、食事の量が大食いを超えもはや暴食のそれになっている私は別にいいけど・・・・奏と舞花はそんなに食べるのかな?
「それはだれが一番食べられるのかの勝負だととらえてもいいよね?」
え?
「もちろん!」
「なら、賛成。舞花ちゃんも参加するでしょ?」
「うん。負けない」
えぇ・・・・バトルジャンキー属性だけじゃなく、フードファイター属性もあるのか。・・・・・君たち一応JKだよね!!!自分が女子であることを忘れてない!!??
「じゃ、全員参加ね。焼いた肉は・・・・どうしよ。冷めたやつ食べても、気持ち悪くなるし・・・・・・困ったね」
無計画か・・・・
「食べてるか」
「あ、お爺ちゃん。まだ、焼いてもないよ」
「なんでだ?なんかあったのか?」
状況を祖父に説明したら、バーベキューグリルをもう一つ持ってきてくれた。しかも、デカい。横幅二メートル弱はある。
「ガスボンベ持ってくるから、少し待ってろ」
「え!?これ、ガスグリルなの?」
「ああ。そうだぞ。一度に十五人分は焼ける、パーティ用だ」
それだけ言って、祖父はボンベを取りに行った。
ていうか、こんな立派なガスグリルあるんだったら最初から出してほしい。自分たちで火起こしからしたほうが楽しいっていうのもわかるけど、試合の後はなぁ・・・・・・。
案の定男子テーブルの誰かが最初から出せよと叫んだ。
◇
祖父がボンベーを取り付け、私たちも肉を焼き始めた。ただし、雰囲気がちょっとおかしい。和気藹々な男子テーブルと相反して、今でも殺し合いが始まるそうな空気が漂っている。・・・・・・これ、私の知っているバーベキューじゃないし、普通の女子高生が出していい空気じゃない。
それから数分間、ただ肉を焼く音だけが聞こえ、まるでここだけが世界から切り離されたようだと感じた。・・・・・・正直に言って逃げたい。もう心が折れそう。ふと、男子テーブルのほうに視線を向けると偶然樹と目が合った。
(何とかして!!!)
そう樹に視線で助け求めたのだが・・・。なんと、プイと視線をそらされた。マジか。
樹に無視されてからもワニに囲まれた仔豚の如く、ビクビクと肉焼き続けた。
焚火のグリルにガスグリルで一度に最大二十人分は焼ける。焼けたら、使い捨ての皿に盛っては、また焼く。焼く、盛る、焼く。そして遂にテーブルの上にあるのは皿に盛られて湯気が立ち昇る焼けた肉と、どこから出てきたのかわからない白い熱々のご飯で満たされたボウルだけになった。・・・・・・これ、樹に見せてもらったどこかの高校ラグビー部を取り扱った某ネット記事でみた写真と同じ光景だ。最も、そっちは百キロ前後の大男たちではあるが。
肉がすべて焼き終わったので、皆が席に腰を下ろした。
「よし!それじゃ、食べた皿の枚数で順位を決めるよ。時間は制限しないから、のどに詰まらせないようにね」
と、真那が明るい声と笑顔で言ったものの・・・・・・目が笑ってないってこういうことなんだなぁと思った。
「それじゃぁ~、はじめっ!」
腐女子+フードファイター+戦闘狂のJKとは一体……




