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第10話  でーと? (下)

内容が無理矢理?表現が可笑しい?・・・・大丈夫です。私もそう思います。















ゲームセンターからシネマのあるフロアに着いたら、ゲートもフードカウンターも人がいっぱい居た。もしギリギリ来ていたら、上映時間にさえ間に合わなくなっていたのかも知れない。


「人多いな」


「そうだね。いくら前作が世界的に大ヒットしていると言っても、もう封切りから二ヶ月近く経っているから、あまり人がいないものだと思っていたよ」


うーん思ってたのと少し違うけど、大人数は大人数で場の雰囲気が楽しめるからいいかな。


それよりも早くドリンクやフードを買わないと間に合わないかもしれない。急ごう。






        ◇






「ふぅ〜。なんかつかれた」


「昔から人が多い所は苦手だもんな。凛は」


「うん」


ドリンクとフードを買って、長蛇の列に並んで、入ったシアターは四百人クラスの大型で設備も最新のものだ。なんで最新だってわかるかって?チケットに新しい世界を云々って書かれていたから。


それにしても・・・・・なんで予約を取った時に大型シアターを使用しているのだから、まだそれだけ客を集められるって気づかなかったんだろう。まぁ、気づいたからと言って見る映画を変える気はないけどね。


ちなみに私達が見ようとしている映画をざっくりに言うと宇宙で戦艦やら、異星人やらがドンパチしたり、姫様を救ったり、作中で惑星をレーザー砲一発で消滅させたりとかなり派手なもので、俗に言うスペースオペラのジャンルに属する。


まぁ、それは置いといて。なぜこれにしたかと言うと、単純に楽しめるし、内容も分かりやすいため、見終わったあともここが凄かった!とか簡単に感想の共有ができて、会話が自然と生まれやすいからだ。


しばらくするとブザーが鳴って、照明の光の強度が段々と落とされていき、シアター内に暗闇が満たされていく。


そういえば、映画館は数年振りだから忘れてたけど、確か本編の前に上映予定映画の宣伝みたいのがあったな。そんな今思い出したから、ナニ?くらいの重要度の情報を思い出した。そして、なんとなく自分の左側の肘掛けに目線を落とした。映画館でよく見かけるようなトレーの上にLLサイズのドリンクとLLサイズのポップコーンが鎮座していた。


・・・・・・いや、ね?先生からは男が女にTSしたら食が細くなるって聞いたけど、私はどうやらその逆みたい。男のときより軽く八倍くらいは食べるようになって、食欲も凄いことになってる。


昼食はイタリアンだし、しかもTSしてから初めての外での食事で、樹も一緒だったから、いっぱい食べるのを我慢したけど・・・お腹の虫さんはどうやた我慢ができなくなって、ドリンクとフードを注文するときに、大脳を乗っ取られたみたい。・・・・・・すみません。食欲に負けて、私が注文しました。言い訳はもうしません・・・。


ちなみに両手にビッグサイズのドリンクとポップコーン、そして三つのホットドッグ━うち二個は既に凛の中で、一個は樹に━を抱えた私を見て樹がびっくりして、フリーズしてしまったのは少し悲しい。


なーんて、どうでもいいことを考えながら、存在しない誰かに向かって言い訳をしていたら、本編開始のカウントダウンみたいのがはじまったから、意識をスクリーンに向けた。


・・・・・・ポップコーンは静かに食べう。




          ◇




「凄い迫力だったね!度肝を抜かれたよ!」


「・・・そうだなぁ。確かに音響とかやばかったな。これ程とは思わなかった。映画自体の内容もおもしろかったしね」


「うん!」


はぁ〜、数年振りの映画、楽しかった〜。バトルシーンの映像も音響も迫力がすごくて、音は体の芯にまで響き、演出も一つ一つ拘って作ったのがひしひしと伝わってくるよ!もう、最高だった!


「・・・今日の凛は元気だねぇ」


「へぇ?・・・あ、はは。まぁ、久しぶりだからね。それにこうやって樹と一緒に出かけれたから、嬉しくてね。樹はどうだった?今日は楽しめたの?」


「もちろんだ。それに、俺も凛とまたこんな風に遊べて、楽しいし、嬉しいぞ」


「・・・私と一緒に居て、楽しい?」


もとからいつもって言うほどではなかったけど、中三の夏以降になってから二人で、何処かに出掛けることがなくなり、最初は少し寂しいとも思ったことがあった。


樹とは同じ小学校だったけど、中二の終わり頃に樹一家が市内引っ越ししたから、市内の別の中学に通うことになった。しかもその学校では部活動に参加するのが必須だった上に、文化部には女子しかいなかったから、仕方なく運動部でしかもラグビー部に入った。全国的に強いところだったから、練習も当然ストイックなのもので、道場に来れる暇など無く、最終的に樹は道場を休会することにした。


部活も学校も忙しいってメールをいつも送って来てたから、会おうとも中々言えずに、時が流れていき、半年くらい経った頃にはメールもあまり来なくなり、そのまま受験シーズンに入った。でも、高校は同じ所を目指しているのを知っていたから、同じ高校に入れば時間は合うようになるから、また二年くらいはたまに何処かへ遊びに行けると考えていた。


それから時が流れて、樹と同じ高校に入学した。私は道場に通ってるいるのを理由に部活に入るのを断り、樹も同じ理由で部活には入っていないが、中学の頃に比べてお互いとも喋らなくなってしまった。


そんなギクシャクした関係が一年くらい続いた。会話が無いわけじゃないが、以前のように親友と言えるかどうか微妙なものになってしまったのだ。


それから、色々な理由があって高一の冬頃に道場を退会ーと言っても自家経営だから意味はあまりないけどーすると樹に言った。


その時に初めて、なぜ樹が私とあまり喋らなくなったのがわかった。


私が樹の事が嫌いになったんじゃないかって。そんなこと絶対にありえないって思わずその時叫んでしまった。


でも、樹にそう思わせたのも多分私のせいだ。私はいつも無口で無愛想だったから、多分それが樹を不安にさせたと思う。


何年も一緒に居たら、離れ離れになって、相手の顔色と声がわからなくても相手の考えがある程度読み取れると言う人達がいれば、中々そうにはならない人達も居る。当然私と樹は後者で、一緒に居なければ、何もわからない。


ギクシャクな雰囲気で再会し、ギクシャクで無駄な一年を過ごしたけど、ギクシャクなままで別れをせずに済んで本当に良かったと、今でも思う。


何も言わずにやめたら、樹は間違えなく私が一緒にいるのも嫌なほど嫌いになったと思うだろう。理由のひとつとして樹との関係がうまく行かないからと道場をやめようとしたのに、逆にそれが関係を改善したのは本当に予想外だった。


結局道場の方は高一いっぱいでやめたが、あの日からの数ヶ月で一緒に稽古した時間は本当に楽しかった。


そういえば、私が最後に稽古に参加する日に、樹と組手したな。負けたら続けろって条件を付けて。全身全霊を以って、返り討ちにしたけど。


鳩尾にクリティカルして、あの時の顔は面白かったな。


思い出せば、楽しい思い出は高一の後期に結構残ってるけど、中学の頃みたいに遊びに誘うことは高校に上がってから一回もない。学校帰りの寄り道はあっても、休日のお出かけがないから、リアクションの薄い私と一緒に出掛けても楽しくないのかなって最近思うようになってきた。


だから、私と一緒に居て楽しいって、樹からもう一回聞きたくて、オウム返しのように聞き返した。


「当然楽しいさ。いつもクラスでは無口で無愛想を通してるのに、俺や瑠璃の前ではころころと表情が変わってるから、見てて楽しいし、一緒に居ると安心もする。そもそも、つまらないやつとこんなに長く付き合わない。凛はどうだ?」


むぅー。樹と瑠璃の前ではころころと表情が変ってしまうのは実は自分でもわかるのだが、そんなのを見て楽しいのはなんか気に食わないかも。


「私?楽しいよ。誰よりも。それと樹と同じで、一緒に居て安心するし、心が温まるかな?・・・うん、そんな感じだね」


今も隣に樹が居ると考えたら、嬉しくて笑ってしまいそうになる。自分でも重症だと思うくらいに、依存してしまったいるのかもしれない。




          ◇



「じゃ、気をつけてね」


「おう、凛もな」


「うん、ありがとう」


樹にお別れの挨拶して、彼の乗る自転車が見えなくなってから、スマホを取り出し、時間を確認してみれば、既に夜の十一時を大きくまわっていた。


家族には事前に連絡したから、急ぐ必要もないけど、もう眠いからタクシーで帰ることにした。



          ◇



「・・・ちゃん、お嬢ちゃん」


「あ、はい」


「着いたよ」


どうやら寝てしまったみたいだ。


料金はメータを見ると千円になって無いので、こんな夜間に短い距離走って貰って、ピッタリ払うのも酷いし、千円でいいっか。


運賃を払って、礼を言いタクシーから降りた。


家を見ると電気が着いていなかった。流石にもう寝てるか。もう、そろそろ十二時だし。


静かに玄関を開けてから音を立たないように閉めて、二階に上がって素早くシャワーしてから寝間着に着替えた。


「お姉さん?」


「瑠璃?・・・起こしちゃった?」


「ううん。音楽聞いてたの。もう寝るからトイレに」


「そうなんだ。おやすみなさい」


「うん。おやす・・・・あ、そういえばどうだったの?」


「とても楽しかった。この上なく」


「良かったね。お姉さん・・・・・お姉さんが楽しんでいるときの顔撮りたかったなぁ〜」


「なんて言ったの?」


「なんでもないよ。おやすみなさい」


「ん。おやすみなさい」


最後なんて言ったか聞こえなかったけど、まぁいいか。


「さて、日記付けるか。どんな風に書こうかなぁ〜♪」








数年後にこの日の内容を見た凛はまたたく間に顔が真っ赤になったとかなんとか。

(๑•̀ㅂ•́)و✧


読んで頂きありがとうございました。


(๑•̀ㅂ•́)و✧


ストックはありますが、次は大分先の投稿になります。m(_ _)m

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