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庶民勇者は廃棄されました  作者: ぎあまん


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232 天の顕現 02


 混沌粒子を掴んだ時とはまた違う圧力が俺を襲う。

 創世級武具に身を包んでいるのに圧し潰されてしまいそうだ。


「ぐぎぎぎぎぎ……」


 混沌粒子の時以上の抵抗感が俺を襲う。膨大なエネルギーを物質化させようというんだ。


「ああ、くそっ! こりゃだめだ」


 俺はすぐに今のやり方を諦めた。


「強すぎる。物質化に成功したっていつ爆発するかわかんねぇぞ、これ」


 となるとどうするべきか?


「半分は俺の魔力だ。吸収してみるしかないな」


 吸収する方法は、仙気を練る時の応用でいけるな。

 同じやり方で奴の死の気を吸い取ることもできるか?

 だめか。戦衣若雷が拒否する。

 いまだリストの影響下にあるからか、それとも属性の根本である死の聖霊が俺を拒否しているのか。


「それどころじゃねえだろうに、ったくよ」


 死の聖霊に毒づきながら、俺は雷の気を吸収し、死の気に【空即是色】を試みる。

 すでに均衡のバランスは崩れた。

 爆発に至っていないのは俺が抑えつけをしているからだ。

 諦めたらそこで爆発だよ。


「ああくそっ!」


【雷天眼】を使って転移しまくれば顔見知りを助けるぐらいはできたかもしれないと、今更気付く。

 なんでこんな時に善人ぶってしまうかなぁと後悔しつつ、二つの作業を並行して挑戦する。

 吸収の方は問題なくやれているが、物質化の方はぜんぜんだ。


「ええと……」


 初撃に何を放ったっけか?

 確か俺は【天雷天破】だ。

【聖霊顕現】を組み込んだ魔法だ。

 対抗したリストの攻撃もその系統と考えて間違いないだろう。

 なら、ここに奴を勇者と認めた死の聖霊がいるはずだ。


「外堀埋めてたって間に合わないな。ここは一気に中心を突くか」


 つまり、どこかにいるだろう死の聖霊を狙う。

 死の聖霊が死ぬのかどうかはわからないが、場合によっちゃ屈服させることも考える!

 氷の聖霊に認められたセヴァーナは炎の聖霊にも認められた。

 あいつにできて俺にできない道理があるものか。


「手伝え!」


 吸収途中の雷気の中にいるだろう雷の聖霊に呼びかける。

 こいつらと意思の疎通なんてしたことないからできるかどうかわからないが、いまは使えるなら猫の手だって使ってやる。

 俺の呼びかけに雷聖霊は応えたかもしれない。吸収する雷気の中で別の動きがあったように思えた。

 しかし正直よくわからん。

 成功することを祈るしかない。

 吸収した雷気だけでも膨大な魔力になっている。

 ああ、そうか。待てよ……。

 雷気と死気。二つの属性の衝突と膨大。

 ていうかこれって、仙気の錬磨、房中術の奥義的思考に近いものがある。

 ならば力づくはだめか。

 ガンガン攻めててめぇだけ出したって女に冷たい目で見られるだけだ。

 それじゃあだめなんだよ。

 二つは溶けてまじりあい、一つになるべきだ。

 その時に生じる反応こそが、合わさった一つに別個ではなしえなかった強さを生み出させる。

 俺は雷気に意識を伸ばし、死気に接触しようとしていた雷聖霊を見つけ出し意識の根を伸ばした。

 雷聖霊は抵抗することなくそれを受け入れ、俺たちは一つになる。


「さて……お前か」


 雷聖霊の感覚を通してみれば死の聖霊を見つけることは簡単だった。


「さあ、いがみ合いは終了にしようか」


 視覚化された死聖霊はチュールで顔を隠した喪服の女性だった。

 良い女っぽく見える。


「美人だな……って」


 俺の雷聖霊は確か翼の生やした獅子みたいな姿だったはずだ。

 それなのになぜかいまは獅子っぽい金髪をした男になっている。


「なんだよ、やる気満々だな」


 雷聖霊の感情の動きを察知して俺は苦笑した。

 近づく俺たちを死聖霊は拒みはしなかった。

 雷聖霊の腕が腰を抱き、引き寄せる。チュールから現れた青白い美貌は雷聖霊の口づけをおとなしく受け入れた。

 和合が始まる。


「くあっ!」


 邪魔をするなと意識を弾き飛ばされた。


「勝手にやってろ」


 俺はおとなしくなった死気に向けていた【空即是色】を解除し、こちらも吸収するための作業を始める。

 精霊たちの和合に反応して雷気と死気は混ざり合い、まったく別のものになっていく。


「こいつを吸い取るのはなかなか苦労するぞ」


 だが、挑戦し甲斐はある。

 混沌粒子を集めたら創世級の武具になるのだ。

 なら混沌粒子すらも巻き込んだ雷気と死気の混合エネルギーを吸収したら俺はどうなるのか?

 その先に何があるのか?

 俺は、見えている気がする。


『目覚めよと己を震わす声がする』


 以前にリンザに言った言葉……それが俺の中から聞こえてくる。

 新たな称号が誕生するのか?

 既存の称号が変わろうとしているのか?

 変わろうとしているのなら、それは?


「一体何が起きるっていうのやら」


 まさかいまさら《狂戦士》を手に入れた。とかじゃないだろうな。


「まさかな……うん?」


 そのとき、俺は頭上に何かを感じた。


特設サイトができました!

https://over-lap.co.jp/narou/865545098/


「庶民勇者は廃棄されました」第一巻 六月二十五日に発売されました。

特典SSのリストです。購入の参考にしていただければ幸いです。

■アニメイト

「冒険者的方向性の違い」


■ゲーマーズ

「初めての庶民勇者」


■とらのあな

「目覚めの吸血鬼」

+【有償特典】タペストリー


■メロンブックス

「ある朝の冒険者ギルド受付」


■特約店

「酒場で冒険者相手に語ること」


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