第九十二話:君は生き残ることが出来るか?
一応三人はまだ死んでません、
ランスが振りかぶった剣に稲妻が集まってくる。孤独は光らないよ!
「雷光剣!」
あれは聖剣戦争で使われた十聖剣のひとつ! ごめんなさいウソです。ぼくは飛鳥武蔵の黄金剣の方が好きです。
とかなんとか言ってる間に、雷を蓄えた剣が振り下ろされる。しかし、その剣を弾いたのは一発の弾丸だった。
「ふう、大丈夫と思いますが一応防がせていただきました」
アインがスナイパーライフルで剣を弾いたらしい。いや、どれだけ精密射撃なんだよ!
「なんだぁ? 邪魔すんのか?」
「それはそうでしょう。私たちの家に攻めてきてるのですから」
「それじゃあ力づくで止めてみな。さあ、降りてこいよ!」
「嫌です」
ボルテージが上がったランスにアインは冷ややかに答えた。
「私は単なるメイドですから。戦闘技能はありません。そんなゴリラの相手をしたくはないです」
「なんだと? ゴリラってのがなんなのか分からんがいい事を言われてないことは分かるぜ!」
「おや、おつむの方はそこまで退化してないみたいですね」
「おちょくってんのか? てめぇ、降りてこいや!」
「ですから嫌です」
下に行ったら秒殺されるだろうし、アインの言う事間違ってないんだけど、これはあんまりだなあ。
「アイン姉やん、ちょいごめんなー」
アミタが途中で割り込んできてバラバラと何かをばら蒔いた。ええと、アミタ、それは?
「うち特製のスタングレネードですわ。ほら、うちらはそんなの効かへんから」
それと同時に下で光が弾けた。当然ながらアインはスコープ越しにも関わらず影響が無いようで、平然としていた。だが、ランスはそうもいかなかったらしく、目を抑えて転がり回ってたらしい。
うん、らしい、なのだ。行われてる戦闘はぼくの眼下で行われている。それはつまり、ぼくも肉眼でそれを見てしまったってことで、戦場から離れているからそこまで影響は強くなかったんだけど、ぼくもその光をまともに浴びて部屋を転がりまくっていたのだ。
「ぐおおおおおお!? 目が、目がぁ……」
いや、ラピュタ人の血を引いた特務機関の人間でもないけど、突然の光には人は弱いものだ。後は音。凄まじい音量が襲ってきて耳がキーンとなるんだ。ほら、三半規管って知ってる? 大音量の音を聞くとそこが刺激されて平衡感覚が狂わされる……のかは知らない。適当に思いついただけだ。でも立っていられなかったのは事実。
それでもランスは立ち上がろうとしたそうだ。アインが両肘両膝を撃ち抜いて終わり。素早く動かれたらダメだったろうけど、スタングレネードで動きが殆ど止まっていたから出来たんだと。精密射撃にもほどがあるぞ。
アリスと相対したパーシーはその筋肉でめいっぱい振りかぶってアリスを殴りつけた。先手必勝ということだ。ちなみにぼくは直接見てないけど、防犯カメラの録画機能て見返すことが出来た。
アリスはその殴り掛かって来た腕を受け止めた。かわすでも受け流すでもない。受け止めたのだ。
「な、なにぃ?!」
パーシーは心から驚いているようで今度は逆の腕で次の一撃を与えようとしてくる。アリスはその拳に掌底をぶつけた。
「おっ、俺の腕があ!」
魔力の籠った一撃だったと思う。だってそうでもなきゃ掌底に合わせた腕が砕け散ってなくて折れただけだったんだもの。
「主様に仇なすもの、万死に値する!」
腕を抑えているパーシーにアリスはまだやる気の様だ。だが気をつけろ、パーシーはもしかしたら腕に何か仕込んでるかもしれない。A〇MSかパラサイトか。
「ていっ」
そんな事お構い無しにアリスが蹴飛ばした。うん、まあそうだよね。戦闘中にうずくまってたらとりあえず蹴り飛ばしたりするよね。と、パーシーはそのまま気絶した。一体なんだったんだ?
「パーシー!? くそう!」
残る一人、リーンがアリスに魔法を撃とうとする。
「穿て氷の牙、その獰猛なる牙をかの者へ突き立てよ。氷の牙」
「いやいや、そんなの通す訳ないでしょ。《対抗呪文》」
それまで紡がれていた力ある言葉はアスカの一言で雲散霧消した。というかアスカに魔法で攻撃通そうと思ったら無詠唱とかじゃないと無理なんじゃ?
「貴様……」
「あーあ、つまんないなあ。さて、トドメを」
「アスカ姉やん、そいつ色々聞きたいよって捕縛してもらえん?」
「えー? そういうのはアリス姉様が……無理か。そっちに行ったのは?」
「旦那はんがダメージ食らって転げ回っとるから死罪」
「それは仕方ない。こいつを捕える。《岩の牢獄》」
たちまち岩がせり上がってきてリーンを閉じ込めた。中でなにか爆発する音が聞こえるから脱出しようとはしているのだろう。アスカはそれには動じてない。その程度じゃ壊れないとでも確信してるのだろう。




