第八十八話:秘するが花
ナイショ、モード、ひそひそ(モロバレ)
「マモォールよ、これでお主は我の息子だな。いやあめでたい!」
「皇帝陛下」
「陛下などと水臭い。パパと呼んでくれて良いのだぞ?」
「そんなに歳も変わらんのにそんな事出来るか!」
「はて? お主はどう見ても二十にも満たない年齢だと思っておったのだが、古にいうエルフのように歳をとらんのか?」
「あ、いえ、見た目通りデス」
危ない危ない。元の身体の年齢なんて言っても仕方ないもんね。という訳で皇帝陛下である。どうやらヒルダさんから話がいったみたいで、是非ともお祝いせねばと駆け付けて来たそうな。
「こんなめでたい事は無い! さあ、祝杯だ。ビールを飲ませてくれ!」
結局、酒が飲みたいだけかよ!
「真面目な話だが、本当にありがたいのだ。グランプルの奴はアーニャに目をつけていたからのう。今頃地団駄踏んで悔しがっておるだろう」
「フレデリカさんを降嫁させるってのは?」
「グランプルの奴が「アーニャ嬢を我が後妻に」などとバカな事を言ったから「その母親ならくれてやるぞ」と言ったまでのこと。あやつは二十を超えた女には興味を抱かんからな」
「ええと、もしかしてそのグランプル公の前妻って」
「二十歳を超えると離縁されておる」
やりたい放題だな! いや、現代のロリコンはそもそもがイエスロリコン、ノータッチ。触れずに愛でるのが基本。百歩譲って結ばれたとしても成長した後も愛を注ぐのがスジというもの。
繰り返して言うがぼくはロリコンではない。二次元に限定すればまあロリコンでもある。勿論人妻キャラも大好きだ。だけど三次元は怖いんだよ。まだ子どもなら会話出来るからロリコンと呼ばれるかもしれない。
「その最低最悪の人間が次の獲物に選んだのがアーニャさんだと?」
「その通りだ。だがこのまま諦めるとも思えん」
それなりに覚悟はしていたがやはりか。かと言って孤児院の子どもたちに手を出されるのもなあ。最近ではお風呂入ってるから清潔だし、服も制服支給してるから清潔だし、良い物食べてるから血色も良いし……まあ転移の御守りがあるから大丈夫だろう。
「お父様!」
「あなた、迎えに来て下さったのですね!」
「いや、ビールを飲みに来ただけだが?」
「お父様、私、この方と結婚しましたの」
いやまだしてないからね。婚約だよ、婚約?
「うむ。でかした。この功績はかなり大きい。よくやったぞ我の愛娘よ」
皇帝陛下が乗っちゃったよ。騒動終わったら婚約破棄するからね。
「よし、婚約破棄が出来んように法律を作るか」
「作ってもいいけどその時は帝国から出ていくだけだし、そもそも店を出してるだけで帝国に住んでは居ないんだが」
「こ、この店に住んではおらんのか?」
「森の中の家がぼくの家だからね」
「森の中?」
あ、アーニャさんは森の中の家ってのは知らないのかな?
「国内向けには森にある大国と比してもひけをとらぬ存在と条約を結んだ、とまあそんな感じでだな」
「いや、さすがに大国と比べられても」
「のう、息子よ」
「いや息子じゃねえし」
「もし帝国がその全力を持って森の家を攻めるとしよう。お主はどっちが勝つと思う?」
ぼくには戦力評価とかよく分からないからパペットたちに聞いてみよう。
「主様と敵対するなら全部ぶっ壊すよ?」
「ご主人様の勝ちは揺るがないと思います。私では防衛に出れませんけど」
「ご主人様がお望みなら森の地形変えてでも撃退させる」
「旦那はん、ミサイルとか砲弾とかそういうのはいつでも展開出来るよって言うてな」
実質戦闘員は二名なんだけど、家に籠っての籠城戦なら無限に撃退出来ると思う。兵糧攻めも効かないし。
「まあ負けはないかと」
「そうだな。我もそう思っておる」
「私もその森の家に行ってみたいです!」
いつの間にやらアーニャさんも聞いていたみたい。まあ森の中までたどり着けたら構わんだろうけど。
「ちわーす。あれ? 陛下も来てたんですか?」
「アヤ、お前は仕事もせんとこんな所に」
「陛下には言われたくないです。そして私がここに来るのは仕事でもあるんですから。あ、テリヤキチキンバーガーセットお願いします!」
バーガーと言ってもM〇Sのではなく、ホットドッグみたいな形で載っけてるやつだ。これなら包み紙要らないし。
「アヤまでら来てるのね?」
「あれ? アーニャ殿下じゃないですか。ご無沙汰してます」
「もう、相変わらず私よりも食べ物なのね」
「仕事はきちんとしてますよ!?」
「どうだか」
少し涙目になってるアヤさん。こういうの絵になるんだけど。本当に美人の無駄遣いが過ぎる。
「そうそう、陛下、グランプル公が動きましたよ」
「なんだと!」
「何やら秘密裡に兵を集めているらしいです。目的は軍事演習とか言ってましたけど」
アヤさんに知られてる時点で秘密裡でもなんでもないのでは?




