第六十六話:あなたの街のお店屋さん
奴隷! 異世界と言えば奴隷!
大航海時代、コロンブスの新大陸発見と同時に現地住民の奴隷化が進められた。しかし疫病や圧政による急激な先住民人口の減少によって半世紀もしないうちに歯止めがかかり、代わって強靭な肉体を持つアフリカ大陸の黒人奴隷が主流となった。ぼくの知ってる奴隷はこんな感じ。
あとは異世界モノで美少女を主人公が助けたりするやつ。異世界なんだからこっちじゃないのかって? いやいや、例え奴隷であっても三次元の女性は怖いって!
「まあまあ、どの道従業員は入りますから。それとも人数分パペット作ります?」
流石にそこまでの金は無い。人形よりも奴隷の方が安上がりだなんて悲しい話だなあ。
「それではご主人様、アスカが迎えに行きますので」
「は? なんで? ぼくが直接行くの!?」
「奴隷との契約に拇印が必要なんですよ」
それってぼくの指を切ってやる血判だよね? そりゃあまあ分身体のパペットに奴隷は持てないんだけど。
実際、アヤさんに代わりに奴隷契約してもらう訳にもいかないから、ぼくが行かざるを得ないんだよね。この世界に来て初めての外出だよ!
などと言ってたらアスカが「ご主人様、お出掛けしましょう」ってテンション高めで迎えに来たので大人しく従った。
転移したぼくを迎えてくれたのはアインとアリスだった。アミタは一階の改装をやってるとの事だったのでここは二階なのだろう。
「じゃあご主人様の分身体を家に置いてくるね」
そう言ってアスカが転移した。アインはにこにこしている。その手には洋服が握られていた。
「ご主人様、お着替えのお時間です」
「おい待て」
「なんですか?」
「なぜ女物の服が交じってる?」
「ご主人様、女装は男性しかすることのできない男らしい形態ですよ?」
まあ女性が女物の服着たらそれはそれで普通の事だよなあ、なんて思いつつ普通の服を選んだ。キャミワンピもフレアスカートもいらんわ。
「いらっしゃいませ。どのような奴隷をお求めですか?」
見た目は普通の中年男性だけど、この人が奴隷商。ぼくは奴隷商ってもっと脂ぎって下卑た最低野郎がやってるんだと思ってた。
「み、店の従業員にしたしたいのでっ、その、見た目、見た目のが見た目ならいいです」
ぼくが見れた様な顔じゃないからその方が良いだろう。ん? なんで奴隷商は困った様な顔をしてるんだ?
「……ご主人様、交渉はお任せ下さい」
「アイン、頼む」
アインが奴隷商に見た目が良さそうな奴隷を見繕って欲しいと頼んでいた。奴隷商はにっこり笑顔で少々お待ちくださいなんて奥に引っ込んで行った。おかしいな、ぼくも同じ事を言ったつもりなんだが。やはり女性の方がウケが良いんだろう。
「お待たせしました。見目の良さそうなのはこの辺りでしょうか」
女性が多い。なんというか女性ばかりだ。なんかクラクラする。吐きそう。目が回る。あ、小さい子も居る。これくらいの子ならそこまで発作も出ないかな。
「ご主人様、どの女性がよろしいですか?」
「いや、もう、適当でいいよ」
「……幼い子が好みですか?」
「違うわ!」
そんなこんなで五人ばかりの奴隷を購入。妙齢の女性が三人、少し歳のいったのが一人、年端のいかない幼子が一人……って幼い子は好みじゃないって言わなかった?
「小さい子が給仕を一生懸命やってるのはあざと可愛いと思いませんか?」
なんて事を考えるんだ。採用しよう。なんて、実は歳のいった人の娘が幼子ちゃんだそうな。旦那さんは?って聞いたらまだ檻の中なんだと。いや、引き離すなよ!
「ご主人様は男性の方がお好みですか?」
「アイン、いい加減やめろ」
「失礼しました。今後ご主人様がお手をお出しになるのに旦那などは邪魔かと思いまして」
「出さないし可哀想だから一緒に引き取ろう」
という事で当初の予定より一人増えて六人。そこでぼくは考えた。
「この三人家族が責任者って事にして、店を構えて貰おう。奴隷の首輪とかもなしで」
「首輪なしだと反抗されるかもしれませんよ?」
「いや、反抗されるならそれはそれで仕方ないでしょ。反抗されるようなことをしなければいい」
「ご主人様は甘いですね。はあ、でもご主人様が仰るなら」
奴隷に家族でなったのは何か理由があるに違いない。その辺はおいおい聞いていく事にしよう。妙齢の女性三人は三人一組で別に家を用意する事にしよう。流石に親子水入らずのところには住ませられない。
「一度に三人も部屋に呼ぶのですか?」
「アイン、お前はどれだけそのネタを引っ張るつもりだ?」
「いえ、ご主人様が姉様をご寵愛いただけるなら何の問題も無いです」
流石にアリスにそういうことをさせるのはどうかと思うんだよなあ。一応それなりの機能はつけてんだけど。




