第六十五話:帝都での出店
アインも頑張ってるんですよ。
という訳で帝都に向かって出発する事に。先導はアヤさん。少し心配ではあるけど、何度も来てるから適任っちゃ適任。時々まれに魔獣とかに襲われたりしてるので全員でお出掛け。まあぼくの本体は部屋だけど。
「ご主人様は置いておくとジャンクフードばかりにしますから心配なんですよ」
「だったらご主人様も一緒に連れてくれば良くない?」
事情を知らないアヤさんはあっけらかんと言う。当然ながらぼくは部屋から出る……いや、二階から降りる気はしないので分身体にまたご活躍願おう。
この森から帝都まで凡そ二週間らしい。向こうに着くのはしばらく時間がかかるのでゲームでもしつつ待っておこう。
帝都で売るのは焼き鳥。化粧品類は今はまだ影響が大き過ぎるということで様子見。アヤさんにはヒルダさんに渡してもらう分を託した。食べ物では無いから途中でお腹の中にインしたりはしないだろう。
帝都のでかい門。大勢の人が列を連ねてる。途中の街にも幾つか寄ったけど、こんなにでかい門はなかった。魔獣襲来への備えがなってないと思ったんだけど、魔獣が襲来したら近くの砦に避難するとの事。というか街は割と度々作り直されているらしい。
しかし、帝都ともなればそういう訳にもいかない。皇城があるからね。動いたり天空に浮かんだりする様な城でなければそう簡単に動かせない。そういえばぼくの家は動かせるんだろうか?
「動かせる訳ないじゃないですか、護君」
「だよね。そんな気はしてた」
「扉を繋げることは出来るけど」
「え? 待って? という事は違う場所の扉と繋げられる? 移動が楽になるってこと?」
「いやまあ繋げても護君が家から出ないんじゃあまり意味無いですよ?」
いやいや、それこそ帝都と王都の二両面作戦で商売出来そうじゃない? って思ってたんだけど、「本来の持ち主」であるぼくが居ないと移動が出来ないんだって。なんでも盗難防止とか。うん、確かに意味が無かった。
「次の者!」
「はいはーい」
「アヤ大尉、何やってんですか。こんなところに並ばないでください。あなたはフリーパスなんですから」
どうやらアヤさんは「大尉」らしい。前はそんな事名乗ってなかったから出世したのかな?
「いやいや、私だけなら素通りしたよ? だがこいつはどう思うかな?」
「すごく……大きいです」
そこまで大きい屋台は作ってないハズなんだが。
「そんな訳でちゃっちゃと検疫してくださいな」
「アヤ大尉が一緒ならその時点でフリーパスにする様に陛下から申しつかっております。そのままお通りください」
どうやらアヤさんがぼくらを連れて来た時の為に指令を出していたらしい。まあ商業の許可証まで出しといて入れなかったから帰りますってなったら涙目だよね。
「ちぇー、つまんない。もっとこう門番とイザコザ起こしてドッタンバッタン大騒ぎになると思ってたのに」
「そうなると全ての責任が大騒ぎを起こしたアヤ大尉に行くと思いますけど起こしましょうか?」
「わー、タンマタンマ、今のナシ!」
そんなこんなで掛け合い漫才を楽しんだあとは普通に城壁の中へと入った。
「さあ、ここが我が帝都だよ。ほら、堪能してね」
そう言われて周りを見渡すと二階建ての建物が殆ど。高層建築らしきものは城とあと一箇所だけだった。
「あれは?」
「あそこは総合ギルドセンター。色んなギルドが集まってるところです。商業ギルドもあそこにあるから一応話を通しに行くよ」
そういうとアヤさんはスタスタ歩き始めた。まあ勝手知ったるというところか。
「ようこそいらっしゃいました。陛下からお話は伺っております」
ハゲ頭のにこにこしたおっさんが入るなり声を掛けてきた。どうやら商業ギルドのトップらしい。門番から連絡がいった様だ。
「建物を幾つか用意しております。内見は直ぐにでも出来るようになっておりますので」
「あ、いえ、店舗を構えるんじゃなくて露店で屋台をやらせていただければ」
「そうですか? まあお安くしときますよ?」
断りきれずに内見だけでもという事で。見せてもらった物件は本当にすぐ使えるぐらいのものだった。最近まで誰か使ってたのかもしれない。無理矢理立ち退かせた? いや、そこまではしないだろう。
「ご主人様、ここは立地的にも最適かと思います。なんでしたらここに扉を設置してご主人様が来れるようにしてはと」
「アイン、流石にぼくはそこまで動きたくないよ」
「……そうですか。ですが、店舗を持っておくのは悪くないと思います」
「残金で足りる?」
「私どもが留守の間にアリス姉様が捕ってきてくれた獲物を売れば」
資金は大丈夫。うーん、次のパペットを作ろうと思ったんだけど流石に要らないかなあ。というかお店やるなら色々従業員揃えないといけなくない?
「そこにつきましては奴隷を購入しようと思います」
奴隷だって!?




