第三百九十六話:ミラをめぐる男の戦い
晶龍「なんだよ、こいつ。ミラになれなれしくしやがって!」
ディー「オレ以外にもミラと親しい奴がいたのかよ!」
ミラ「二人とも仲良くして欲しいの! ミラがお姉ちゃんだから頑張るの!」
帝国で孤児院を回ってブラブラしてたら晶龍と蜃さんが居た。
「おや、これはお珍しい」
「おお、まもるじゃん!」
言う程珍しくないと思う。帝国には来てるし。でもまあギルドとかには行ってないし、門から入ってもいないんだよなあ。
「お二人は仕事ですか?」
「はい、坊っちゃまの昇格試験でして」
「ついてくんなっていったのに」
「いえいえ、万全の体制で臨まなくては」
晶龍が昇格試験だそうだ。ええと、合格すると銀プレートなのね。まあ晶龍なら大丈夫でしょう。
「どんなまものがおそってきてもオレサマのブレスでいちげきだ!」
「いや、晶龍君? 魔物退治は試験官の前でやるんじゃないの?」
ギルドに晶龍君がドラゴンだとバレたら大変な事になりそうな気がする。まあギルドマスターにはバレてるんだけど。だからと言って広めていいわけじゃない。下手したら他国の奴が暗躍するかもなのだ。出来るかどうかは別として、晶龍を弑することが出来れば青龍の怒りを帝国に向けられるからな。
「うおおー、しまった! てことはなんかぶきのれんしゅうしないといけねえの?」
いや、別に素手なら素手でいいけど、力任せの技なら直ぐに素性がバレそうだって話。蜃さんはその辺、執事流体術とか使いそう。
「私が教えられるのは基本的な体術だけです。さすがに魔物を退治できる説得力がある程には。やはり何か武器を用意した方が」
「武器になりそうなのはないの?」
「いえ、竜宮の宝物庫から持ち出しました、如意金箍棒という神珍鉄の棒がありますが」
「あれ、おもすぎてつかえねえんだよ」
西遊記の斉天大聖が使ってたやつなら確か八トンぐらいあったはず。そりゃ使えないよねってよく考えたら蜃さんが持ってきたんだよね? おお、怖。
という事で何か打撃武器、ハンマーあたりがいいんじゃないかという事で調達してきた。提供はアミタ。製作段階で普通でいいと言ったのにトゲをつけたり射出装置を組み込んだりとしていたみたいだが全て却下した。ドルカスハンマーかよ。
んで、成り行きで練習するのを見せられたんだけど……
「頑張るのよ、晶龍」
「お、おう、任せとけ!」
ミラちゃんが見たいとか言って着いてきてた。また晶龍とも顔見知りだしな。なお晶龍は時々デリバリーカレーをミラちゃんを名指しで指名しているらしい。お金貯まる前にカレーで尽きないか? まあでもご利用ありがとうございます。
「なあ、あれ、誰だよ」
「ディー?」
どうやらディーがミラちゃんが楽しそうなのが気になってついて来たみたいだ。こういう任務に駆り出されるのがキリエ。可哀想に。
「あ、ディーなの!」
「えっ、あっ、よ、よう、ぐ、偶然だな!」
お前のような偶然があるか。
「本当に偶然なの! あ、そうだ、晶龍に紹介するの!」
ミラちゃんはとててとディーの所に走り寄って来て、手を掴むとそのまま晶龍の所に引っ張って行った。ディーは真っ赤になりながらも引っ張られてついて行く。まあ抵抗出来るんだろうけど、しないよね。
「晶龍、紹介するの! 友だちのディーなの! ディー、この子が友だちの晶龍なの! 友だちの友だちはみんな友だちだから仲良くして欲しいの!」
「よ、よろしく」
「お、おう」
ニコニコのミラちゃんに促され、納得いかない顔で互いの手を取る。特に力を入れて握り潰そうとはしてないみたい。頭が追いついてないのか。
「あ、あのな、ミラ。オレサマ、こんどギルドでぎんプレートになるんだぜ。すげぇだろ!」
「銀プレートって食べられるの?」
「い、いや、ぎんプレートになればうけられるいらいもふえるからかねがかせげる。そしたらうまいものくえるぜ!」
「すごいの! 晶龍、かっこいいの!」
それを聞いて嫌な気分になったのか、ディーが言った。
「へ、へん、そんなのちっともすごくねえや!」
「なんだと?」
「お前に出来るんならオレにだって出来るんだよ!」
「へぇー、おまえがねえ。おもしれえじょうだんだな」
「信じてねえな、見てろよ。【膨張】!」
ディーの腕が膨らんでデカくなった。でっかくなっちゃった!みたいな。ギアサードとか言い始めたらどうしよう。
「喰らえ!」
「やるきか!」
ディーのパンチが晶龍の顔面にヒットした。晶龍の蹴りがディーの腹に直撃した。苦しむのはもちろんディーだ。だけど、晶龍も鼻血が出ていた。
「う、ぐぐぐ」
「ちくしょう、てめぇ!」
完全に頭に血が上ってんな。こりゃあ死人が出るかも。アリス、止めてきて。
「ええー、晶龍みたいなクソガキ助けるの?」
「あとディーもな。ほら行ってこい」
「はぁい」
いまいちやる気なさげなアリスだったが転移かと見紛うばかりの足運びで一気に接近し、二人の手首を掴んで捻りあげた。おいおい、もいじゃダメだぞ?




