第三百四十二話:駆け出し冒険者でも出来る簡単なお仕事です!
ちなみにボトラーというのは「清涼飲料水の濃縮原液を仕入れ、水で薄めて容器に入れて、消費者の手に渡る状態の最終製品にして出荷する会社」の事らしいですよ。ありがとうWikipediaさん!
元宿屋、託児所に改造ビフォーアフター! いや、匠の技とかはないけど。とりあえず部屋の中をお掃除しないと。
「掃除はお任せ下さい」
アインがドンと胸を叩く。いやでも一人にやらせるのはどうかと思うんだよ。ぼくも手伝うし。
「姉様は片付けに構造上向いてません。アスカは能力はありますが性格が大雑把なのでダメです。アミタはそもそも部屋から出て来ようとしませんし、出て来てもあの研究室では。アンヌは……まあ大丈夫でしょうが。アカネは片付けるくらいなら周辺の状況を探ってきて欲しいです」
「あの、ぼくは?」
「ご主人様はご自分の部屋を片付けられるようになってから言ってください」
違うよ、ぼくの部屋は散らかってないよ! 散らかってるように見えるかもしれないけど、あれは使う時にいちばん適切な場所に配置してあるんだ。だから散らかってるんじゃなくて配置されてるんだ!
「この間お部屋を掃除した時に飲みかけでパンパンに膨らんだ午〇ティーレモンがありましたが?」
「……ごめんなさい、お任せします」
ぐうの音も出ねえ。いや、ちょっと飲み忘れたのが転がってただけなんだよ、信じて欲しい。特にぼくはボトラーじゃないから! 中身はちゃんとレモンティーだからね!
まあ、アインが掃除頑張ってくれてる間にぼくらはやれる事をやりますか。冒険者ギルドに行って人員を募ろう。何するかって? 買い出し手伝ってもらうんだよ。いや、別にぼくのネットスーパーで買っても良いんだけど、やはりこの世界で手に入る素材で何とかした方が良いんだと思うんだ。
え? カレー? あれはぼくが食べたかったし、買ってるのはカレールーだけだからね。野菜とかは全部市場で買ってるよ。最初の頃はぼくの畑で取れたものだったけど、その辺の依存は脱却していかないとね。
小豆は間に合わないから育てるけど。だって小豆って天候に左右されやすいんだよ。だから家で作るのが一番なんだよね。いや、買ってもいいんだけど作る方が安上がりなんだよな。だって畑の管理はゴーレムだから。
冒険者ギルドに行くと受付の人が男性に代わっていた。本来なら男性が夜番らしいんだけど、女の子に「男ばかり夜の暇な時でズルい!」って言われて一週間限定で交代したのだそうな。お陰で昼間に冒険者ギルドにら来てる人は余りいない。
「ええと、お仕事の斡旋ですか、それともご依頼ですか?」
「あ、えーと依頼です。駆け出しの子とかで構わないので買い出しなどの手伝いを」
「それはありがたい。いつですか?」
「そうですね、明日、とか、ダメですか?」
「明日ですか。大丈夫だと思いますよ。夕方にも確認に来る子多いし、薬草採りに行ってる子も帰って来ますから」
「そうですか。あの、薬草採りよりはお金稼げるように出すつもりですので」
ぼくはほっと胸を撫で下ろす。どうやら人手は手配出来そうだ。
「そうですか。では依頼票を作りますので、こちらに記入をお願いします」
じゃあとりあえず依頼票を……ええと、こんなもんていいかな? ええと、とりあえず時給千円くらいかな。最低賃金よりは高いけどまあこの程度だろ。都道府県によっては最低賃金割るけど、ぼくの故郷の最低賃金は千円いってないし、端数出ると面倒だしね。
「えっ、あの買い物などの手伝いって何をさせられるのですか?」
「え? 荷物持ちが主かなあ。まあ買ったものを設置とかもしてもらったりするかもしれませんが」
「それで一日銀貨三枚?」
「ええ、多分三時間はかかると思いますし。あ、長引くようなら追加で料金払いますよ」
「そうですか。分かりました、少々お待ちいただけますか?」
受付の男性はにっこりと笑顔を浮かべて一礼し、二階へと上がって行った。あっちには確かギルドマスターの部屋があるんじゃなかったっけ?
「はあ? 明日急遽休みが欲しいだあ?」
「いいじゃないですか。ほら、他にも職員は居るんだし」
「バカかお前は! 今受付嬢の二人がダウンしてるんだから明日もお前が出ないとダメだ!」
「そんなあ」
なんか聞こえた気がする。聞かないことにしよう。それから間もなくドタドタと階段を降りてくるハットさんの姿があった。
「また、護さんたちですか」
「なんかお疲れですか? これ、飲みます?」
ぼくが渡したのは二十四時間タタカエマスなドリンク。今そんな事言ったらパワハラだよね。労基さんこっちです! いやまああのCMが流れてた頃は働けば働くほど残業代でウハウハだった頃だもんね。でも、この世界では連勤とか二十四時間勤務とか普通にあるらしい。というかそもそも冒険者自体がそんなかんじだよね。
「……何か怪しい薬ですか?」
「いえ、元気を前借りする薬です」
「副作用とかあります?」
「まあ体質合わない人はお腹が緩くなるとか」
「では遠慮しておきます。それより! この依頼票について説明していただけますか?」
バン、とぼくの書いた依頼票をテーブルに叩きつけられた。なんで?




