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第二百五十三話:館の過去

人に歴史あり。館にも歴史あり。

 晶龍の攻撃に合わせて骸骨の首が右に左に揺れる。効いてるのか効いてないのか分からないが攻撃は入っている様だ。


「くそ、いいかげんたおれろ!」


 晶龍が苛立ちと共に大振りの攻撃を当てる。吹っ飛びながら骸骨は笑う。


『なかなかの攻撃だったがワシには通じん。多少のダメージは入ったがな』


 頭の中に声が響いた。これは精神感応? いや、パペットたちは反応してないから霊的なものなのだろう。ぼくは分身体を通して見てるからたまたまかな。


『では今度はこちらの番だな。我がオーラで果てるがいい!』


 ブォンと姿がブレたかと思うと、晶龍とミル博士が苦しみ出した。どういう事だ?


『我が瘴気に触れたものは生気を失い、枯れ果てるのだ! グアッハッハッハッハッ!』


 あー、生体に影響のある攻撃なんですな。晶龍はともかく、ミル博士はかなり辛そうだ。


「アスカ、ミル博士に結界」

「了解」

「おお、苦しくない。助かった」


 晶龍に張ったものより強力な結界なのか、それとも瘴気を防ぐのに特化してるのかは分からないけど、ミル博士は救出出来たみたい。


『むむ? 貴様らは何故ワシの攻撃が通じんのだ!? これだけ瘴気の濃い中でも活動出来るなど、ただの人間には不可能なはず!』


 ただの人間ってここにはミル博士しかいないんだよね。さて、晶龍はそろそろ大丈夫かな?


「じかんかかったけどなれりゃどうってことねえなぁ。さすがアスカさんだ。なんともないぜ」

『貴様まで、貴様までこのワシをバカにするというのか!』


 再び瘴気が飛んでくる。うん、飛んでくるって表現もどうかと思う。どっちかと言うと漂ってくるだよなあ。速度的に。


「きかねえっての。バカのひとつおぼえかよ!」


 晶龍が拳を固めて瘴気を殴り散らした。うん、普通なら出来ないけど気体を殴るってこういう事なんだなあって思ったよ。


「これでにげばはねえぞ!」

『ワシは霊体だからな。いくらでも逃げられる……へぶぅ!?』


 スルッと逃げようとした骸骨はなにかにぶつかった。部屋全体をアスカが結界で塞いでいたのだ。逃がさないように指示は出していたけど、視認出来なかったから部屋に結界掛けたんだと。


「かんねんしやがれ! とどめだ!」

『ひいいいいいい!?』


 骸骨に馬乗りになって晶龍が殴り付ける。段々と小さくなり、消えていった。あれは分解されたかな。


「どうだ、かったぞ!」

「おお、すごいすごい」


 これは大人しく褒めるべきだろう。ぼくらだけだとほぼ手詰まりだったもんな。パペットが戦力にならないんだから。これが歩美さんところのアニマルズならまた違ったんだろうな。


「しかし、あいつ、なんだったんだ?」

「恐らくはこの館の元持ち主なんだろうね」

「てことはきぞくかよ。まあオレサマほどじゃないけどな」


 何がオレサマほどではないのかはよく分からないが、元の持ち主説には賛成だ。何をやってた館なのかは分からないけど、館には執着してたみたいだし。


「悪霊も退治したし、一階の回ってない部屋も見ておきたいな」

「まあなにがでてきてもオレサマがやっつけてやるさ!」


 という事で再び一階に。風呂場や食堂など生活に使う場所が殆どだ。どれも手入れをすれば使える様になるだろう。


 そんな中、奥の方に下へと下りる階段を見つけた。中は暗い。まあ当然だろう。アスカに明かりを灯して貰ってそのまま下に下りる。


 地下にあったのは牢屋の様な場所だった。そこかしこに血がこびりついていたり、ところどころに小さな骨の欠片らしきものも散見された。これは子どもの骨だろうか。


「お、おい、これって」

「こりゃあひどいね。ここの主人の趣味が余程猟奇的だったのかもしれないな」


 よく見ると牢屋の中には拷問器具が幾つかあった。恐らく壊れてそのままにしていたやつだろう。新しいのは撤収されたのかもしれない。


「ひでぇことしやがるぜ」

『そう言って貰えたらありがたいです』


 ふわり、とメイド姿の女の子が現れた。深々とこちらに頭を下げている。


「ひゃっ!?」

「な、なんだね、キミは?」

『私はこのお屋敷に仕えていたメイドのセシルと申します』


 メイド姿の女の子、セシルは悲しげに微笑んだ。


「このお屋敷は、どういう目的で作られたんだい?」

『はい。初めはご主人様の愛人を住まわせるため。それが変わったのは愛人の方がここに男性を連れ込んだ時でした』


 どうやら貴族の愛人として愛された女性がいて、それで満足していればいいものを貴族が居ない間に我が物顔で振る舞い、男を連れ込んで放蕩に耽っていたらしい。


 で、当の貴族に見つかって男性共々処分されたとのこと。ここで終わっていればそこまでの話、バカな女が暴走した挙句の単なる痴情のもつれだったんだろう。だが、貴族はそこで目覚めてしまったのだ。嗜虐しぎゃく趣味に。

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