第十五話:全ての不義に鉄槌を
サンタマリアは関係ないです。
「あー、あー、はっ、畑に居る泥棒共に告ぐ。ぼく……私はこの畑と家の持ち主だ。たっ、退去しない場合、武力での排除を開始する。盗ったものを置いて立ちひゃれ!」
「なんだと!? 俺に命令するな! 俺は領主の息子、つまり、この土地のものは俺のものだ! 」
ん? おかしいなと思いフォルテに確認する。
「なあ、フォルテ、ここってあいつの土地なのか?」
「いえ、領地どころかどこの国にも属してない場所ですよ。確かに最寄りの街の領主なのかもしれませんが」
「つまり、言い掛かりってわけだ」
「そうですね。というか領内にこんなにモンスター溢れる場所があるなら騎士団が対処しないと被害が出た時に責任問題になりますけど」
「なるほどなあ。よし」
ぼくは再びクズ貴族に声を掛けた。
「かっ、かっ、確認してみたが、ここここが誰かの土地になったという事実はない。あ、あ、あんたの言ってる事は言い掛ひゃりだ!」
「ここは俺の土地だ! 俺がそう決めた」
「ど、どこぞのダブスタクソ親父みたいな事を言ってんじゃない! 排除されたくなかったら早く立ちひゃれ!」
ぼくの忠告を聞いても奴らは去ろうとしない。これは武力排除が必要ですな。奴らは鎧を着飾った騎士。よし、じゃあ一網打尽にしてやろう。
引きこもりの能力、自宅警備。これは家の安全を守る為に瞬時に防犯設備を設置出来るのだ。あ防犯用具は購入しないといけないけど。これで消防署の点検が来ても消火器を買わされないで済むのです!
コホン。ともあれ、設置するのは電気柵。いや、獣避けにいつかは設置しようと思ってたのよ? でもほら、この畑に近付いて来そうなのそんな可愛い小動物じゃないじゃん? クマとかイノシシとかに効くのかなって。
でもまあ人間なら効くよなと設置するといきなり地中から生えたみたいになった。
「うおっ」
「なんだこれは!?」
「いきなり現れたぞ?」
一人が恐る恐る近付いて確認している。そして
「こんな糸で我々を何とか出来るとでも思ったか? こんな細い糸なら軽々と引きちぎってくれる!」
なんて息巻いていた。そして糸(実際はワイヤーなんだが)を掴んだところでぼくは電流を流した。電流火花が身体を走る! そりゃあ金属製のプレートメイルだもんなあ。
「おごっ!?」
そのまま掴んだ男は崩れるように地面に倒れ伏した。
「ばっ、ばかな!?」
「どこからの攻撃だ!?」
「姿を現せ!」
電気に姿を見せろって言われてもなあ。いや、この場合はぼくかな? でも人前になんか出たくないし、何より出ていったら殺されちゃうだろう。別に身体鍛えてたり不死身の体を持ってたりしないからなあ。
「出てこいよ、卑怯者。怖いんだろう!」
その言葉にぼくは答える。
「そそそんなの怖いに決まってるじゃないですか。ひひ人の家に勝手に入ってこようとして、はつ、畑を荒らされるなんてどう考えても泥棒とか強盗じゃないですか」
「この、名家であるルクリス伯爵家を泥棒呼ばわりするかっ!」
「家がどうとかじゃなくてあんたが泥棒だって言ってるんですよ」
「同じことだろうがっ! 度重なる貴様の誹謗中傷、許さんぞ!」
別に誹謗中傷しようとしたわけじゃない。強いて言うなら「事実陳列罪」でしょ、だが貴族には通じんよなあ。
「騎士たちよ、あの家をもう一度攻撃しろ!」
「しっ、しかし、奴らはその……」
「言い訳は聞きたくないな。それともクビにしてやろうか?」
「やらせていただきます」
と、騎士たちは悲壮な覚悟で畑から出て、家を攻撃しようとした。でも出さない。柵に触れる度に電流が騎士たちを襲うのでなかなか出られない。
「どけ、貴様ら。俺がやる!」
とうとう業を煮やしたレオンとかいうバカが電気柵を掴んだ。よし、今だ。最大出力!
「あばばばば」
ギャグ漫画だったら骨が透けて見えるくらいの電流を流した。し、死んでないよね?
レオンが倒れて動かなくなってるのを見て騎士たちも悲鳴を上げた。そして武器を捨てて命乞いを始めた。ぼくはアリスに命じて騎士たちに縄を架けさせてもらった。そして騎士たちは外に置いといて、貴族のレオンだけ家に入れた。当然、縛ったままで。
「俺をどうする気だ!」
目を覚ましたレオンは開口一番、アリスを睨みつけた。先程の演説をアリスが行ったと思ってるのかもしれない。まあ姿見せてないもんね。
「ご主人様、どうしますか?」
なんの気なしにぼくに話を振ってきたアリス。いや、間違っちゃいないけど、こう、もう少し勘違いさせてても良かったんじゃないかな?
「はあ、仕方ない。ちょっとブランとロボーを呼んで来て」
「かしこまりました」
と言うとアリスはそのままドアを開けて出ていった。間もなくして「連れて来ました」と声がした。外にいるんだろう。まあこの家の中には入れないもんね。モニターで見ると震えてる騎士たちとブランとロボーがいた。




