第百十話:新しい商売
クッキーとかケーキは飽きた。
という訳で言った手前、何か出来ないか考えてみる。ほら、あれだ。カレー屋とか唐揚げ屋とかは帝国でやっちゃったから材料採ってくるのが大変になるんだよね。
「美容関係ではダメなのですか?」
「それやると王家のアドバンテージ崩れちゃうかもだからあまり出したくないんだよね。あと、生産が大変だし」
「せやなあ。化粧品だけやのうて色んなもの生産したいしなあ」
まあ化粧品の生産に関してはそのうちゴーレムでも使って工場とか作るつもりではある。その為にも敷地を広げて建物建てないとな。組み立て済みの工場とか一応売ってはいたが桁が文字通り違ってた。パペット作る比じゃない支出になってしまう。
「こっちはデザートにしようか。甘味はやはり世界を制覇するだろう」
いわゆるプリンとかクッキーとか。あ、クッキーはあるんですね。だけど砂糖が高くてなかなか値が下がらないんだとか。まあそりゃあここはサトウキビとか育てる気候じゃないからなあ。
あ、甜菜ならいけるかも? 夏から冬にかけて気温が変化するような場所なら大丈夫らしいから、冬が普通にあるこの世界でも大丈夫そう。
ちなみにうちの家庭菜園では普通にサトウキビが栽培出来ている。うちの畑はその辺の生育条件無視してるみたいだからなあ。これも引きこもりの能力なのだろうか?
「そういう訳なので砂糖を使った菓子を作るぞ」
「やはりケーキですか?」
「クッキーとかあるならケーキはできるだろうけど、それなら和菓子の方がいいかもしれない。小豆というか餡子は真似出来ないだろうし」
「そうですね。砂糖だけではなく小豆ですからね」
「よし、じゃあ餡子を使った菓子をいくつか作ってくれ。小豆と砂糖は用意しておく」
「分かりました」
という事でアインに作らせたのがこちら。まんじゅう、羊羹、大判焼き……えっ? 回転焼き? 御座候? おやき? 今川焼き? 知らん!
審査員は王妃様、ラケシス様、ヒルダさん、アヤさん。そしてエルさんとリンさんも。まあいわゆる女性陣全員ってことで。甘いものって言ったら男性陣に一斉に拒否された。酒は無いのかとか言われたよ。
まずはまんじゅう。つぶあんとこしあんの二種類を用意しました。つぶあんは食べ応えある薄皮まんじゅうに。こしあんは一口サイズの利〇まんじゅう。
「これは……餡子の味が強くてたまりませんね」
「ちょっと味がくどい気がします」
「あ、このお茶を飲んでください」
「おお、これは合いますね」
「美味しい美味しい」
やはり餡子にはお茶、緑茶がいいよね。羊羹には抹茶だと思うけど。ちなみに夢中になって美味しいって食べてるのはアヤさん。
「このサイズだと一口で食べられるからいいですね」
「本当、ついついつまんでしまいそうですね」
「美味しい美味しい」
利〇まんじゅうもウケが良いみたい。よし、じゃあ次は羊羹だ。
「これは……甘さが際立ちますね」
「本当。少し癖になりそうです」
「こちらのお茶をどうぞ」
「これは、ああ、濃厚な味わいですね」
「美味しい美味しい」
羊羹も悪くない反応だ。では次は大判焼きを。
「これは……先程の薄皮まんじゅうでしたか、あれよりは甘さはないですが食べ応えはありますね」
「本当。甘さがくどくないから沢山食べられそうだわ」
「美味しい美味しい」
これもまあ悪くない反応。というか甘いものならなんでも良いという感じですよね。あと、アヤさんは美味しい以外の意見もお願いします。
「ええと、エルさんとリンさんはどうですか?」
「いや、確かに美味いけど、手が出ないんだろうなって思ってさ」
「そうそう。特にこの羊羹っての? 手軽だし食べやすいから持ち運びとかに良さそうとは思うんだけどなかなかね」
そうか、冒険者用の携行食か。それは盲点だった。ええと、エナジーバーとかだっけ? それは普通に売れそうだ。
「護様、一応これも作ったのですが」
「これはあんぱん?」
「はい、パンなら抵抗感ないかと思いまして」
なるほど。始めてみる人にはパンからの方が馴染みが深いかもしれない。
「すいませんがこれも」
「いただきます」
全員の手が一斉に伸びた。反応良いな!
「うわっ、なにこれ。美味しい!」
「本当、パンは柔らかいし、中は甘いし、最高じゃない」
「これは……柔らかさはともかくこんなにパンと甘味が合うとは」
「食べ応えもバッチリですね」
「美味しい美味しい美味しい」
あ、アヤさんの美味しいが一個増えた。ということはこれが一番反応良いのかな?
「よし、じゃああんぱんを中心に売る店にしよう。もちろん持ち帰り専門店だな」
「分かりました。直ぐに店舗を抑えます」
「商業ギルドには話を通しておきましょう」
王妃様とラケシス様がそれぞれ動いた。なんというか素早いな。




