61 クマとおはぎ
「あのー、おはぎは何個作ればいいんですか?」
恐る恐るエルフの族長に聞いてみました。
「そうだのー。
どうせなら村の全員に食べさせてやりたいからな。
その『おはぎ』とやらを43個作るがいい」
43個……
思いっきり想定外の個数を言われてしまったよ。
大量とは言ってもこの場にいる人数分用意すれば十分と思ってたのに、まさか村の全員分だとは……
とてもじゃないけど、そんな材料は用意してないよ。
「あのー……
43個となると、さすがに材料が足らないんですけど……
それに調理器具の方も不安が……」
困っていても仕方がないから、こちらの事情を話してみることにした。
そうじゃないと、これは無茶ぶりすぎるって!
「材料は何が必要なんだ?」
「えっと……小豆、砂糖、塩、それにお米が必要ですね」
それで大丈夫だよね。忘れ物ないよね。
念のためレシピを確認……よし、問題なし。
「それならば村で用意できるな。調理器具も村にあるものを自由に使ってくれて構わない。
このクマを調理場へ案内して、必要な材料をすべて揃えてやってくれ」
うん、それならば料理するのは問題なさそうだね。
わたしは案内のエルフについていって、調理場でさっそく準備に取り掛かった。
材料の方もテーブルの上に山のように積み重ねてくれてる。
って、さすがにこんなにいらないと思うんだけど……
よーし、作っちゃうよ。
アンナはおはぎをとっても気に入ってくれてたから、エルフの味覚にはあってると思うんだ。
はりきって調理開始。
まずは餡からだね。
『餡を5個作成しました。』
『餡を5個作成しました。』
『餡を5個作成しました。』
『餡を5個作成しました。』
『餡を5個作成しました。』
『餡を5個作成しました。』
『餡を5個作成しました。』
『餡を5個作成しました。』
『餡を5個作成しました。』
『料理スキルが21になりました』
これで足りるかな。
20を超えてくるとスキルの上がり方も遅くなってくる感じだね。
さて、いよいよおはぎの調理だけど、おはぎの方は品質が関係してるんだよね。
どうやったら美味しくできるんだろう?
ごはんや餡のこね方で変わるのかな?
力のかけ具合や時間を調整しながらやってみましょうか。
『おはぎを1個を作成しました。品質C』
あまり上手くできなかった……
次はもう少し力を抜いて時間を掛ける感じで……
『おはぎを1個を作成しました。品質B』
少しはマシになってきたかな?
今の感じでやってみましょうか。
『おはぎを1個を作成しました。品質A』
おおお!
品質Aができたよ。
どんどん作ってみましょうか。
『おはぎを1個を作成しました。品質B』
『おはぎを1個を作成しました。品質B』
『おはぎを1個を作成しました。品質A』
『おはぎを1個を作成しました。品質B』
『おはぎを1個を作成しました。品質C』
『おはぎを1個を作成しました。品質B』
『おはぎを1個を作成しました。品質B』
『おはぎを1個を作成しました。品質A』
『おはぎを1個を作成しました。品質B』
だんだん面倒になってきた……
でも、まだ先は長そうだなぁ。
そして、品質は安定しないなぁ。
『おはぎを1個を作成しました。品質B』
『技量スキルが22になりました』
時々上がるスキルが励みになるよね。
『おはぎを1個を作成しました。品質B』
『おはぎを1個を作成しました。品質B』
『おはぎを1個を作成しました。品質B』
そしてどれだけ時間がたったことやら。
へとへとになって疲れがピークになってきた頃に……
『おはぎを1個を作成しました。品質A』
やっと、43個できたよ。
料理スキルも技量スキルも24まで上がっちゃったよ。
嬉しいのかどうか、よくわからないよ。
最後の1個が品質Aで〆れて、ちょっとだけ嬉しいかも。
☆☆☆
職業 料理人
スキル
【ステータス系】
生命 7.3 精神 3.8 筋力 4.8 頑強 1.5 敏捷 1.2 技量 24.8 知力 3.7
【戦闘系】
魔法 8.7 格闘 4.1 投擲 3.8 防御 3.4 回避 2.5
【生産系】
料理 24.2 釣り 14.2 採集 18.1
【その他】
水泳 12.8 疾走 9.6




