59 クマと裁判
エルフの兵士たちに連行されてエルフの村に着きました。
さっき、迷子になってた森から、少しだけ道をはずれて、木の生い茂ったところを抜けるとそこはすでに村のはずれ。
森を道沿いに進んでいったら、エルフの村には着けなかったのかもしれませんね。
ということで、やっぱりここは連行されるのが正解ルートだったんじゃないでしょうか。
そして、エルフの村の中心部付近の少し大きな家の中にわたしたち2人は連行されました。
わたしたちの前には、エルフの女性が1人。
着ている服が少し豪華ですので偉いエルフなのかもしれません。
「お前たちが、エルフの聖なる森を荒らした人間とクマか。
森の精霊たちに変わって罰を与える」
エルフの女性はいきなり、そう宣告しました。
「ちょっと待って。取り調べするんじゃなかったの?」
わたしは思わず声を上げてしまいました。
だって、さっきエルフの兵士は村で取り調べを行うからって言ってたはずだよ。
「取り調べなど不要じゃ。
エルフの聖なる森を荒らした罪は重い。
人間とクマに死刑を与える」
きゃー、死刑ってちょっと重すぎない。
断固としてその判決には不服です。
即時抗告しますと。正統な裁判と弁護人を要求します。
「わかりました。
でも、悪いのはわたしですから、このクマは解放してください。
そして、わたしの命は差し出しますから、何卒、一つだけお願いを聞いてください」
え?
ジャックさん、ダメだよ。
わたしの命が助かるのは嬉しいけど、こんなメチャクチャな判決を受け入れちゃダメだよ。
「殊勝なことだな。
願いとやらを言ってみるがいい。
できることならば、叶えてやろう」
あれ?
話がちゃんと進んでる?
これが正解ルートなの?
「わたしは眠り病の治療法を探しています。
100年以上前に流行した病なんですが、人間はその治療法の情報をなくしてしまっているのです。
エルフの人々ならばと期待して、この村を訪ねてきたのですが……」
そうそう、すっかり忘れてたけど、そのためにここに来たんだった。
どうなんだろう?
ここに、その治療法があるの?
「なんと、眠り病とな……」
お、脈ありの反応。
これは期待していいのかな?
「懐かしい言葉だ。
眠り病の治療法を求めて冒険をしたものであった。
人間の仲間たちとの長い旅であった……」
なんと、100年以上前に眠り病の治療法を見つけ出したっていう冒険者が目の前のエルフの女性なの?
このエルフいったい何歳なんだろう?
「それならば、聖なる森を荒らしたりせずに、まっすぐにこの村へ来ればよかろうに」
「いえ、それが……」
やっと弁明の機会が与えられたようだね。
ジャックがこれまでのことを正直に話している。
うん、勝手に話が進んでくれてるからラクチンではあるね。
このまま観戦モードでシナリオが進むのかな?
すごく更新が遅れてごめんなさい。
次話は早めに更新できると思います。




