表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
スキルトレーダー【技能交換】 ~辺境でわらしべ長者やってます~  作者: 伏(龍)
第2章  旅路編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

91/134

雑貨 → 逸品

 朝食を食べて、後片付けをしてから雑貨屋に向かう途中で村長さんに会ったので、馬車の到着をどうやって知ればいいかと聞いたら馬車が来れば荷卸しなどで騒がしくなるからすぐわかるし、アキーナさんからもくれぐれもよろしくと頼まれているから、ちゃんと教えてくれるらしい。


 安心して雑貨屋へ向かう。昨日見たときは遠目からだったので品揃えは勿論、店の雰囲気とかもわからなかったんだけど、あらためて訪れてみると……。


『一昔前の駄菓子屋のおばちゃんって感じの店だな』


 そう! まさにタツマのいう通りだった。当然品ぞろえもたいしたものが置いてあるわけじゃない。農具だったり、布地だったり、毛皮だったり。小さな村じゃお客も少なく、いつ売れるかわからない。だから食料品などの傷むものは置かないらしい。当然趣味、嗜好に関するものも少ない。

 これはまずったかも……かえって逆効果になる予感がするよ。


「あ! りゅーちゃん。これ可愛い」

「え、嘘!」


 こんな店に可愛い物なんてあるわけないと思っていた僕は、思わず出てしまった言葉に慌てて口を押さえてるが……店の奥のおばあちゃんの視線がギロリとこちらを向くのを見てしまった。


「ホントダネー、カワイイネー」

「ちょっとりゅーちゃん。なんでカタコトになってるの? ほら見てってばこの木彫りのブローチと髪留め」


 石化の魔眼もかくやという視線をなんとかやり過ごし、リミたちが三人集まってきゃいの、きゃいの言っているものをのぞき込む。


「あ……本当だ。凄い」


 リミが手に持っているのは綺麗に意匠された猫のブローチと緑睡蓮の髪留めだった。僕も【木工】スキルを持っているからわかる。これを作った人は【木工3】を持つ僕よりも上だ。


「でしょう? 私にはリューちゃんが作ってくれたペンダントがあるけど、シルフィとメイちゃんに買ってあげたらどうかな?」

「いやいや、リミだって初めてのお買い物したいでしょ? いいのがあれば買ってあげるよ」


 雑貨屋のおばちゃんに聞いたら魔晶も魔物素材も使い道がないから買い取ってもらえなかったが、山菜系の山の幸と薬草なら買い取ってくれるとのことだった。山菜は村人に好きな人がいて、入荷したらすぐに買ってくれて、薬草は干しておけば加工が楽になるし劣化もほとんどしない。冒険者が新人研修をするような村なら買い手はつくそうだ。理由はどうあれ買い取ってくれるならこっちはありがたい。

 どっちもアイテムバッグにたくさん入っているから、不自然じゃないくらいの量をさっそく買い取ってもらった。【鑑定】があればだいたいの価値はわかるから騙されることもないしね。まあ、相場より三割くらい足元を見られたけどそれは仕方ないかな。

 売ったのは銀貨十枚分、一万エル。だいたい一エル一円かな? 一万エルは金貨一枚なんだけど、これから買い物するのに金貨でもらってもすぐに使っちゃうから銀貨で払ってもらったんだ。だから僕たちは初めてお金を持ったことになる……なんだかちょっと緊張する。


『ん? リューマ、ちょっとそのアクセサリ【鑑定】してみろよ。ちょっと面白いものが見えるぜ』

『え……ていうか雑貨屋の商品をチェックしてたの? タツマ』

『あったりまえだろうが! むしろしてないお前を疑うぞ俺は。こんな世界だぞ、どこのどんなもんにスキルが付いているかわからないだろうが。もし掘り出しもんがあったら安くゲットできるかも知れねぇだろうが! これみたいにな』

『え! 嘘! こんな木彫りのアクセサリにスキル?』


 慌てて鑑定してみると、確かに猫のブローチには【冷気耐性1】が緑睡蓮の髪留めには【毛艶1】が付いてる。他にも並べられている木彫りの作品の中には【食欲増進1】や【疲労軽減1】などが付与されたものがあった。


『これ本当に! しかもスキルの付いていないやつと一緒に並べられてて全部一個二百五十エルで売られてるよ!』

『とりあえず全部買いだな。使い道がなさそうなスキルだって交換要員にはなるし、アイテムのスキルスロットは貴重だからな。あんまりがっつかないようにして四つともその値段で買え!』

『わ、わかった』


「リ、リミ? せっかくだから買おうよ。そんなにた、高くないみたいだし、女の子なんだからアクセサリのひとつやふたつ持ってて当たり前だよ?」

「いいの? 別に全部じゃなくてもいいよ?」

「え? いや! 大丈夫! そのくらい全然問題ないから。ちょうど四人だし、ひとり一個ずつってことでいいんじゃないかな? でも、買うのは僕に選ばせてくれる? 皆にプレゼントしたいから」


 やや挙動不審になっている自覚はあるが、彼女にプレゼントを贈る男の子という位置づけならさほど不自然じゃないはず……


「……うん、りゅーちゃんが選んでくれるの嬉しい」

「リューマ様……ありがとうございます」

「リュー、なんかよくわからないけどありがとー」


 うん、みんな可愛いくて素敵だけどそのまっすぐなお礼がなんとなく後ろめたく感じちゃうよ。

 とにかく思いがけずスキル付きの装備をゲットできそうなのはラッキーだった。タツマのいう通り、街にいってもちゃんと買う物とかは【鑑定】するようにしよう。

 


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ