表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
スキルトレーダー【技能交換】 ~辺境でわらしべ長者やってます~  作者: 伏(龍)
第2章  旅路編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

61/134

四階層 → 新スキル

三階層のボスと倒したリューマたちは四階層へと向かう・・・・・・

 いままでと同じように、ボス部屋の奥にあった下り階段を下りると、そこはいままでとは雰囲気が変わっていた。


 三階層まではいかにも洞窟っぽい感じだったのに四階層は石壁の通路みたいになったんだ。ダンジョンていうのは不思議な場所だってことは父さんから聞いていたけど、本当におかしな場所みたい。


「うわぁ……なんかすごいね、りゅーちゃん」


 階段を下りたリミが感嘆の声をあげている。なんとなく洞窟は陰気な雰囲気があるから、小奇麗な通路に変わると開放感があるのかもね。


「あの……すいませんリューマ様」

「ん、どうかした? シルフィ」


 続いて四階層に降りてきたシルフィが周囲を見回したあとに、困った顔で声をかけてくる。トイレかな?


「すいません! ここでは土の精霊たちの声が聞こえなくて魔法が使えません」

「え? ……あぁ! そっか、ここは自然の土そのものの壁じゃないってことかな」

『だろうな、いわば石造りの家の中にいるようなもんなんじゃねぇか? だから自然の中に住む精霊なんかは出てこれないってわけだ』


 タツマも僕の推測と同じ考えみたいだ。土の精霊魔法が使えないとなると、三階層のボス戦のような後衛を檻で守って戦うような作戦はできないから、戦い方は考えなきゃならないかな。

 って! 気が付いたらシルフィがずっと頭を下げっぱなしだし!


「ああ! シルフィ、そんなの謝ることじゃないから頭を上げてよ。ここはどうやら自然な壁じゃないから土の精霊が出てこられないだけみたいだよ。シルフィが悪いわけじゃないから」

「……はい、申し訳ありません」

「だから謝らなくていいよ。みんながみんな、やれることを一生懸命やることが大事なんだから。できないことを嘆くよりもやれることを探そうよ」

「……はい!」


 シルフィが顔を上げて笑顔を見せてくれる。さすが母さんの言葉だよね、受け売りだったけど説得力がある。


「ちょっと試したいことがあるからふたりとも待っててくれる?」

「はーい」「承知しました」


 さて、じゃあ動き始める前にさっき交換した【音波探知3】を試してみよう。頭の中でスキルの発動を念じて耳を澄ませる………………あれ? なにも聞こえないぞ。


『リューマ、そうじゃない。そいつは音の波を探知するスキルなんだ。音のないところじゃ意味がないぜ! ……そうだな、そのままスキルを発動しながら指を鳴らしてみろ』


 知識としては僕の中にもあるけど、音が波とか言われてもイメージができなくてよくわからない。ここはタツマの言うとおりに試してみるしかない。

 

 目を閉じてスキルを発動してから、右手の親指と中指を使ってパチンと音を鳴らしてみる。


「おぉ! うわ! っと、あぐ……」

「りゅーちゃん? どうしたの、大丈夫!」

「リューマ様!」

「うわっ! ……ぐ、ごめん。ふたりともあとで説明するから音をたてないようにしてくれる?」


 これは……しんどいや。音の発生源から確かに水面の波紋のようになにかが広がっていく。広がった波は壁や僕、リミやシルフィにぶつかって跳ね返ってくる。それが横方向だけじゃなくて全方位に向かって広がる、跳ね返る。その波の全てをこのスキルは詳細に拾ってくるからたまらないんだ。


『どうだ? なんかわかるか?』

『これはしんどいね……頭がガンガンする。このスキルが死にスキル扱いされているのがよくわかるよ』


 タツマとの会話はやろうと思えば声を出さずにできるので、いまはとてもありがたい。


『いまお前がどんなふうに感じているのかは俺にはわからねぇが、それを使いこなせばかなりでかいと思うぜ。俺の知識の中に深い水の中を動く船があるだろ?』

『え? ……ああ、うん。潜水艦っていうやつだね』

『そうだ。水の中は深いとこまで行くと真っ暗になるし、水圧ってやつのせいで窓も作れないらしい。そんな船がどうやって周りの状況を知ると思う?』

『……まさか、それが音?』

『確かそうだったと思うぜ。発信した音波が跳ね返って戻ってくるまでの時間差でどこにどんな形のものがあるかを調べられるってわけだ。まあその作業は本来機械がやるもんなんだろうが……この世界ならスキルがそのヘンをカバーしてくれる可能性はあるだろ。これからはなるべくそのイメージを持ってどんどんスキルを使っていけよ』


 確かにタツマが教えてくれたみたいな使い方ができれば、疑似的に【気配探知】のような使い方ができるかも知れない。こっちから音を立てなきゃいけないっていうリスクはあるけど、結構小さな音でも波は遠くまで届くみたいだからうまく使えば有意義に使えるかも。


 周囲の波が治まったのでもう一度指ぱっちんをしてみる。……もう一度…………もう一回。

 …………ああ、なるほど。わかるかも……一番近いところで僕にぶつかった音が戻って、床、壁、天井、リミ、シルフィ……おぼろげながら周囲の状況がわかる。これなら慣れれば精度を上げられるかも知れない。


 ただ、こんなに早く見込みが立つのはスキルレベルの高さと、タツマの知識のイメージがあるからなんだろうな。そう思いながら一度スキルを切って目を開けると、ふらりとよろめく。やっぱりいまは負担が大きいか……ちょっとずつ慣らしていくしかないかな。


潜水艦やソナー系の知識は適当です。厨二のタツマが知っているうろ覚えの知識ですので^^;

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ