二階層 → 三階層
二階層に到達してから一週間が経った。
僕たちは戦闘経験を積みながらレベルを上げ、有効なスキルを見つけたらトレードするということを続けた。とはいっても一階層のゴブリン、コボルトはほとんどスキルを持っていないし、二階層から加わったファングウルフも目新しいのは【敏捷】ぐらいしかなかった。
もともと交換用のスキルも無くなってきてたし、リミのレベルの問題もあったからしばらくは二階層の探索に時間を費やすことにしたんだ。ちなみに一階層のボスはリポップしていたけどレベルも質も下がっていた。どうやら長い時間、人が入らなくて放置されているとボスが徐々に強くなっていくらしい。
となるとこれから探索を続けていったときに、最初のボスとの戦いは気をつけなくちゃいけないということになるのかな。
二階層の探索自体は、特に問題もなく3日で終ってボス部屋と思われる扉を見つけた。覗いたらホーンウルフという大きな狼がボスでレベルもそんなに高くなかったから、翌日に挑戦して倒した。取り巻きの狼が多くてちょっと危ない場面もあったけど、なんとかボスを倒して三階層へと入ったんだ。
三階層も基本は探索優先。ここで出てくるようになったのはジャイアントバットという蝙蝠と鳥の混ぜ合わさったような魔物だった。ここにくると一階層のゴブリンやコボルトは出てこなくなり、二階層のファングウルフとジャイアントバットだけになったんだ。タツマの予測だと階層ごとにメインの魔物がいて、その魔物が次の階層までは出てくるんじゃないかってことだった。
このジャイアントバット、空中を飛びまわるので戦い難い。リミの剣だと攻撃が届かないことも多かったので、リミに【風術】を渡して風で刃を作って放つイメージを教えて魔法での攻撃を混ぜるようにしてもらったら、かなり戦闘が安定したので三階層も問題なくなった。
それにこのジャイアントバットは、もれなく視界系のスキル【明暗】を持っていた。これは便利なスキルなので是非全員に持っていてもらいたかったからリミとシルフィの分をゲットしておいた。
三階層の探索もやはり三日で終わり、ボスの部屋もすでに見つけてあった。ボスはギガバットっていうジャイアントバットよりも大きな蝙蝠鳥だった。明日はこいつを倒してボス部屋を突破して四階層へと向かう予定。
現在の僕たちのステータスがこんな感じ。
名前:リューマ
状態:健常
LV:18
称号:レッツわらしべ
年齢:14歳
種族:人族
技能:剣術2/槍術5/棒術3/格闘2/盾術3
水術1/光術2/火術1/回復魔法1/精霊魔法1
統率2/威圧2/敏捷4/調教3/指揮1
行動(水中1/樹上2/隠密3)
視界(明暗2/俯瞰2/遠見2《4倍》)
耐性(毒2/麻痺2/風2/水2)/火無効5
木工2/掃除2/解体1/裁縫1/採取1
特殊技能:鑑定/中2の知識
固有技能:技能交換
才 覚:早熟/目利き
僕はレベルがひとつ上がった。【技能交換】による目新しいスキルはないけど、シルフィから寝る前に精霊言語を教えてもらっていたら【精霊魔法】を覚えていた。とはいってもこれから各属性の精霊たちを説得して協力してもらえるようにならないと実際に魔法は使えないみたいで、もう少し流暢に精霊言語を扱えないと説得は難しいみたい。
それと、ゴブリンナイトと交換した【指揮】。これはどうやら僕の仲間たちに命令や指示を聞かせやすくするものみたいで、指示の内容も細かく説明しなくてもあるていどイメージが伝わるようになるスキルだった。【統率】は自分のスキルの効果を味方にもちょっと波及させるものだから合わせると自分のパーティが結構強化されるから、いいスキルだった。
名前:リミナルゼ
状態:健常
LV:11
称号:愛の狩人(思い人の近くにいるとステータス微増)
年齢:13歳
種族:猫人族
技能:剣術3/槍術3/格闘2
回復魔法2/水術1/風術1
敏捷2/明暗1
採取3/料理4/手当2/裁縫2
特殊技能:一途
才 覚:魔術の才
リミも順調にレベルが上がっている。出来れば15くらいまではダンジョンにいる間に上がってほしいな。スキルとしては渡した【風術】と【明暗】くらいかな? でも実戦経験は物凄い勢いで積んでるからスキル以上に動きがよくなってる。
いまリミと模擬戦をやったら全勝は難しいかも。
名前:深森のシルフィリアーナ《通称:シルフィ》
LV:22
状態:健常(隷属:リューマ)
称号:深森の友
年齢:21歳
種族:ハイ・エルフ族
技能:細剣術2/弓術2/格闘3
精霊魔法3(木3/水3/土3/風1)
敏捷2/明暗1
手当2/解体1
特殊技能:精霊化
精霊の道
才 覚:従者の才《潜在》(心から仕えるべき主を見つけた時、成長に補正がかかる)
シルフィはレベルは据え置き。戦闘はリミがメインだし、もともとのレベルが高いからそれは仕方ないかな。でもスキルはホーンウルフと交換した【敏捷2】を渡してあるし、【明暗】も渡せた。そして、僕の精霊言語の勉強中にいままで奥深い森の中にいてあまり接点がなかったらしい風の精霊の説得に成功していた。まだ三階層だけど、三人とも順調に強くなっていると思う。
名前:モフ(従魔)♀
状態:健常
LV:13
称号:リューマのペット兼護衛(リューマの近くにいる時愛嬌+1、ステータス微上昇)
種族:角耳兎
技能:蹴術2/槍術2
跳躍4/敏捷3
冷気耐性2
愛嬌4(+1補正)/毛艶4
主人:リューマ
名前:タツマ
LV:4
称号:異世界の転生者(スキル熟練度上昇率大、異世界言語修得、****)
へたれ転生者(悪運にボーナス補正、生存率上昇)
年齢:―
種族:スライム
技能:採取1/再生1
特殊技能:―
才 覚: ―
モフもタツマもちゃっかりとレベルがひとつ上がっていた。しかもタツマはまた【再生】を再取得していた。二度目の取得に比べたら随分と早い再取得だった。本人いわく『コツを掴んだ』とか言っていたけど、いざというときはまたお世話になろうかな。まあ怪我をしないことが一番だけどね。
「リューマ様、お先に失礼しました」
「あ~気持ちよかった。ポルック村でも毎日なんてお風呂入れなかったのに、まさか旅に出てから毎日入れるようになるとは思わなかったよ」
お風呂から出てきた女性陣がタオルで髪を拭きながら、ほかほかした顔でお風呂から出てくる。やっぱりお風呂を造ったのは正解だったみたいだ。
ダンジョン通いが長くなってきてもふたりには、あんまり疲れやストレスが見えないからね。
「うん、今日もお疲れさま。明日は三階層のボスを倒して四階層を目指すからゆっくり休んでおいてね」
「わかりました」
「はーい。りゅーちゃんもいつまでも作業してないで早く寝てね」
「わかってる。これが終わったらお風呂入って寝るよ」
「すいません、リューマ様。私のために……」
濡れた髪を押さえながら頭を下げるシルフィに僕は笑って手を振る。
「謝る必要なんてないよ。パーティのために必要なものなんだからさ。それに木を加工するのは好きなんだ」
僕が考え事をしながらなにをしていたかというと、【木工】スキルを活かしてシルフィの矢を作っていた。倒した魔物は消えるから回収は簡単だけど、矢は折れるし歪むからそう何度もは使えないからこうして僕が補充していんだ。触らなければシルフィも金属が使えるから矢じりは回収して鉄製のものを使っているけど、本数を稼ぐために石を加工した矢じりのものも作ってある。
「さ、これでおしまい。じゃあ、僕はお風呂にいくね。モフ! いくよ」
『きゅん!』
ふたりにおやすみとあいさつをしてから、モフと一緒に浴室に向かう。よし、明日は四階層だ頑張ろう。




