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スキルトレーダー【技能交換】 ~辺境でわらしべ長者やってます~  作者: 伏(龍)
第2章  旅路編

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階段 → お風呂

『おいリューマ! さっそくこいつ喰っていいか!』


 ゴブリンナイトが持っていた剣と盾をダンジョンに吸収される前に取りあえずアイテムバッグに入れる。誰も触れていない状態で物を長く放置すると無機物でもダンジョンがいずれ吸収しちゃうらしい。魔晶も放っておくといずれ吸収されるみたいだけどなぜかこれだけはなかなか吸収されないみたいなのでそっちはあとにする。

 そしてゴブリンシャーマンを倒したみんなのところへと駆けつけた僕に最初に声をかけてきたのは、リミでもシルフィでもなく薄くなってゴブリンシャーマンの下に広がっているタツマだった。


「ちゃっかりと潜り込んでるし……」

「え? なにか言った? りゅーちゃん」

「ううん、なんでもないよ。お疲れ様、リミ、シルフィ。想定外のこともあったけど思ったより楽勝だったね。リミの動きも、シルフィの機転も凄かったよ」

「へへぇ、ちょっと怖かったけどね」


 リミが小剣をしまいながら耳をぴこぴこと動かしている。あれは……照れくさいのと喜びが半々くらいかな?


「ありがとうございます、リューマ様。リューマ様が土の精霊魔法の使い方を教えてくださったおかげです」


 シルフィはお姉さんの貫録なのか落ち着いた雰囲気で微笑んでいる。


『なあ! リューマぁ、食べていいだろぉ』

 

 あぁ、もう! うるさいな! ちょっと待っててってば!


「えっと、じゃあまずはいろいろ片付けよう。タツマがああしてるとダンジョンに死体が吸収されないみたいだから、【解体】スキルのためにもまずは魔晶の剥ぎ取りをお願いしたいんだけど……」

「それでは、私がやります」


 シルフィが立候補してくれたのでシャーマンの魔晶は任せることにする。シルフィは普通の金属武器は装備できないから、オークの牙から削りだしたナイフを使うからちょっと大変なんだけどね。


「じゃあお願いするね。そうしたらリミは僕の槍を貸すから入口で閉じ込められているコボルトを倒してきてくれる?」

「わかった! いってきます」


 リミに槍を渡すと尻尾を振り振りしながらリミが走っていく。か、可愛い……っと、にやにやしている場合じゃなかった。


「じゃあ、僕は魔晶を拾いつつ部屋を調べてくるね。魔晶の剥ぎ取り終わったら残りの死体はタツマに食べてもらっていいから、シルフィはリミのところで柱の解除と魔晶の回収をしておいてくれる?」

「はい、わかりました」


 天井の【光術】で造った明かりはまだ明るさを保っているけど、奥の方は薄暗いのでもう一つ明かりを造って浮かべると死体が吸収されてしまったナイトとモンクの魔晶を回収して奥のスペースを歩く。

 ぱっと見た感じでは宝箱のようなものがあったりはしないのはわかったが、ここがダンジョンの最奥なら核がどこかにあるはずだし、そうでないならどこかに……


「……あった」


 部屋の一番奥、やや下り坂になった先に下り階段が口を開けていた。となるとやはりさっきの魔物たちは第一層のフロアボス的な位置づけだったってことかな。問題は同じようなボスがまたリポップするのかどうかってことだけど……それはいま考えても仕方ないか。

 とりあえずひとりで下に行くわけにもいかないし、一度みんなのところに戻ろう。様子見で二層の雰囲気だけを確認して本格的な探索は明日からかな。



◇ ◇ ◇



「りゅーちゃん! 気持ちいいよ~」

「すいません、リューマ様。先に頂いてしまって」


 拠点に新しく増設した小部屋の向こうから2人の嬉しそうな声が聞こえてくる。拠点との境目は大きな布を垂らしてあるだけなのでふたりの話し声や水音が普通に聞こえてきてちょっとドキドキしてしまう。なぜならあの布の向こうではリミとシルフィはなにも着ていないはずだから。


 そう、拠点に新しく作ったのはお風呂場だった。シルフィに拠点に付属する形で精霊魔法で部屋を増やしてもらって、焼成したかのようにつるつるな風呂桶を設置して貰ったんだ。

 あとは僕が【水術】で熱湯をイメージして水を生み出せば……お風呂の完成。ダンジョンの中はやっぱり息が詰まるし、拠点に戻ってお風呂でリラックスしておくことは翌日の探索にいい影響があると思う。


 そんなわけで完成したお風呂には女性陣に先に入ってもらって、僕は交換に使ってしまった【料理】スキルと【解体】スキルの再取得のために作業中。


 あのあと様子見のために降りた2階層で出会った魔物がファングウルフという牙の大きな狼系の魔物で、降りて早々に3対3の戦闘になったんだよね。結構不意打ちで襲い掛かられてシルフィあたりが危ないかと思ったんだけど、【格闘3】の効果はしっかりとシルフィにも反映されていて、ひらりひらりと攻撃を避けるその姿は森の妖精と言われるエルフの貫禄を備えていた。


 となればあとは僕とリミの敵ではなくて、あっさりと3体のファングウルフを倒すことができた。そこで一旦拠点に戻ることは降りる前に決めていたので、倒したファングウルフを1体だけ担いで持って帰ってきた。それをいま僕が一生懸命に解体して料理しようとしているところ。


 タツマと一緒に再取得期間を短縮するためにいろいろ試行錯誤してきた僕なら、これだけの大きさの狼をまるまる一頭ひとりで解体すれば…………よし解体終わり。毛皮も牙もちょっと傷が付いちゃったけど、【鑑定】してみれば、うん【解体】ゲット!

 といってもこれくらい簡単に再取得できるのはあとは【裁縫】と【採取】くらいなんだよね、【料理】のほうはいくら【早熟】があってもすぐには無理だから交換したくなかったのにな。


 解体した狼の毛皮と牙はアイテムバッグへ、取り出した内臓はタツマへとあげる。加食部位は、とりあえず味とは関係ない下処理まではなんとかやっておこうかな。食べて寝たら明日からは二階層に挑戦しよう。


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