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スキルトレーダー【技能交換】 ~辺境でわらしべ長者やってます~  作者: 伏(龍)
第2章  旅路編

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戦闘 → 新スキル

更新遅くてすいません。

「さがって!」


 ふたりを後ろに庇った僕はさらに前に出て、目の前に飛んできた火球を素手で打ち砕く。『火無効5』を持つ僕には火の魔法は通用しない。


「リミ! そっち行ったよ!」

「うん!」


 魔法の攻撃に合わせて側面に回り込もうとする棍棒をもったゴブリン1体と、それに付き従うコボルト2体の対処を剣を持ったリミにお願いする。リミは『魔術の才』がある魔法使いでもあるけど、『剣術』と『槍術』のレベルも3で近接戦闘も十分強い。ゴブリン1体とコボルトの2体くらいは問題ない。


「シルフィは後ろのゴブリンメイジを出来れば殺さないように弓で無効化をお願い」

「はい! やってみます」


 正面のゴブリン2体とコボルト3体を槍で牽制している僕の後ろでキリキリと弓を引き絞る音が聞こえた次の瞬間、風切り音とともに矢が放たれてゴブリンたちの後ろでさらに魔法を使おうとしていたゴブリンメイジの肩を射抜く。


『グギャァ!』


 矢が刺さった痛みでのたうち回るゴブリンメイジにはもう魔法を使う集中力はないだろう。


「ありがとうシルフィ。リミの援護に回って! モフ! タツマ! あのメイジを逃がさないように抑えといて!」

「はい!」

『きゅん!』 

『任しとけ!』


 魔法さえなければ、ゴブリンとコボルトがこのくらいいても僕たちの敵じゃない。ゴブリンとコボルトには目ぼしいスキルもないし、粛々と一体ずつとどめをさしていく。最後にコボルトが一体逃げそうになったけど、逃がすと仲間を呼ばれる可能性もあるので『風術』で風の刃を作って首と足を狙って放つ。……うん、うまく命中した。リミたちは……。


 コボルトの首が血を噴くのを確認してから、リミたちが対応していた側面の戦況を確認すると、こっちも問題なくカタがつきそうだった。剣に関してはリミのスキルレベルは僕より上だし、ここ数日魔物との戦いにも慣れてきていたから心配はしてなかったけどね。


 そんなことを考えている間に最後のコボルトの喉にシルフィの矢が刺さっていた。


「お疲れさま。じゃあ、いつも通り魔晶の回収をしておいて」

「は~い」

「お任せください」


 魔晶の回収はグロくて面倒な作業で女の子に頼むような仕事じゃないんだけど、これは解体の一種だから頑張れば『解体』のスキルを取得できるんだ。これは交換用のスキルとしてはちょうどいいスキルだからふたりには常時取得していて欲しいスキルの1つなんだよね。

 ふたりもそれを分かってるから、いつも文句ひとつ言わずに解体をしてくれる。もちろん僕も魔物との交換で解体を出したら一緒に参加する。


「タツマ、そいつまだ生きてる?」

『ああ、問題ないぜ。モフが抑えつける時にちょっと力入れ過ぎて肋骨バキバキみたいだけどな』

「っと、じゃあ早くしないとね」


ゴブリンメイジ

状態: 瀕死  

LV: 11

技能: 火術1 


 うん、危なかった。張り切りすぎちゃうと最近のモフの強さだと加減が難しいみたい。まあ、頼もしい限りだけどね。


技能交換(スキルトレード)

 対象指定 「火術1」 

 交換指定 「採取1」

【成功】


 よし、成功。久しぶりの新スキルゲット。火の魔法があればこれから火を熾すのとかがだいぶ楽になるし……あ、もちろん攻撃魔法としても火は有用だよね。ついつい生活のほうに利点を見出してしまうのは田舎暮らしの(さが)なんだろうな。内心で苦笑しながらスキルを取り終わったゴブリンメイジを槍の一突きでとどめをさす。


「りゅーちゃん、あっちの解体は終わったよ」

「ありがとう、リミ。タツマ、この死体の処理が終わったらあっちの死体の処理もよろしく」

『了解』


 じわじわと広がってゴブリンメイジを覆っていくタツマ。死体の処理が終わるまでは休憩かな。最近はタツマの死体処理速度もかなり早くなっているからそんなに時間はかからないだろうし。


「リミ、今ゴブリンメイジと『火術』を交換したんだけど、どう?」

「あ、欲しいかも。お料理するときに火がすぐ着けられるのは嬉しいな」

「あはは、やっぱりリミもそっちからなんだね」

「え? どういうこと?」

「ううん、なんでもない」


 首をかしげるリミをみてほっこりしながら、リミにはこれからもそうであってほしいと思う。さて『火術』をリミにあげるのはいいんだけど……リミと交換するスキルがないんだよね。しばらくは僕が持っておいたほうがいいかも。


「リミ、『火術』の交換だけど、今リミのスキルで交換できそうなのがないからしばらくは僕が預かっておくね」

「あ、そっか。わかった、急ぐものじゃないしりゅーちゃんが使えるなら別にリミが持ってなくても一緒だから、全然大丈夫だよ」

「リューマ様、魔晶です」


 笑顔のリミの後ろから、回収した魔晶をシルフィが持ってきてくれる。


「ありがとうシルフィ」


 受け取った魔晶をアイテムバッグにしまうと、ふたりに休憩を告げる。木々の隙間から見える太陽はそろそろもっとも高い位置を通り過ぎようとしている。この半日にも満たない時間にも関わらず、さっきの戦闘は既に三回目……。

 昨日タツマが言っていたように、なにかがあるのは間違いみたいだった。早朝に偵察に行ってくれたタツマとモフの報告ではこの先にゴブリンたちが出てくる洞窟のようなものがあるらしい。

 取りあえずは、いったんそこまで様子を見にいってから今後の方針を決める予定だけど、大きな巣だったら手は出さないつもり。


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