表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
スキルトレーダー【技能交換】 ~辺境でわらしべ長者やってます~  作者: 伏(龍)
第3章 辺境都市編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

104/134

冒険者 → 初仕事

 食事を終えた僕たちは装備を身に着けて宿を出た。勿論、リミとシルフィはフード付きの外套を纏って耳とかを隠している。街の中には堂々と歩いている獣人さんたちもいるんだけど、リミとシルフィの場合、異種族であることを差し引いても可愛すぎて人の目を引きすぎてしまう。さらにいえば、そのことを当人たちがあんまり自覚していないから隙があるように見られがちなんだ…………全部タツマの受け売りだけど。


 そういう意味でも外套はあったほうがいい。それにリミたちが装備しているスキル付きのレア装備も隠せるしね。僕に関していえば、龍貫の槍はアイテムバッグの中で、魔盾の籠手は装備しているけど、その他には防具らしい防具は身に着けていないという初心者スタイルだから、まさか籠手がスキル付きのレア装備だと気が付く人はあんまりいないんじゃないかな?


 いつも外套を被らなきゃいけないふたりには申し訳ないと思うけど、冒険者ギルドでしばらく働いて、ランクが上がって、名前も売れて知名度が上がったら……そのときは堂々と街を歩くこともできるようになると思う。それまでは安全が第一かな。


「レナリアさんのおっしゃった通り、昨日とは違って落ち着いた雰囲気ですね」


 到着した冒険者ギルドに入ってすぐにシルフィは空気の違いに気が付いたらしい。確かに早朝のギルドは昨日のような喧騒はなくて、何人かの冒険者が静かに手続きをしているだけだった。


「そうだね、教えてくれたレナリアさんに感謝しなくちゃ」

「あ、りゅーちゃん。レナリアさんがあそこで手を振ってるよ」


 昨日は全部のカウンターに冒険者たちが並んでいたけど、今日はまだまばらでレナリアさんのカウンターもいまは空いている。そのタイミングで僕たちを見つけたらしいレナリアさんが手を振っていた。


「うん、じゃあいこうか」


 慣れてきた冒険者なら依頼板に掲示された依頼を自分で選ぶか、ダンジョンに潜って取ってきた魔晶や宝物を換金する。でも冒険者の初心者である僕たちは、街の生活と冒険者に慣れるまでは、レナリアさんと相談してなにをするかを決めることにしたんだ。そのほうが無駄なく依頼をこなせて、結果としてランクアップも早くなるらしい。


「おはようございます、リューマさん。昨夜はよく眠れましたか? もしかしたら今日は休養日になるかなと思ったりもしていたのですが……」

「はい、疲れていたみたいでぐっすりでした。でも田舎育ちの僕たちは陽が昇ると目が覚めちゃうんで、なんだか損してしまった気分です」

「ふふふ、でも早く起きたぶんだけ人よりもいろんな経験をすることができますから、ある意味では得をしたと思うこともできますよ?」

『けけけ、これは一本取られたな。「早起きは三文の得」ってやつだ』

「確かにそうかも知れませんね、『早起きは三エルの得』っていいますしね」


 この世界では言わないけど、とりあえずタツマに乗っかっておこう。


「あら、面白い言い回しですね。今度からほかの冒険者さんたちに早起きを促すときにちょっとお借りしたいくらいです」

「言葉は誰のものでもありませんし、こんな言葉でよければどんどん使ってください」

「ありがとうございます。さて、挨拶はこれくらいにしてお仕事の話を始めましょうか」

「はい! よろしくお願いします」


 楽しそうに微笑むレナリアさんに元気よく返事をする。だって、とうとう冒険者としての活動が開始できるんだから、興奮しちゃうのは仕方がないよね。


「では、まずは初級冒険者として誰もが通る道、常時依頼『薬草採取』です。魔物を倒すことに憧れて冒険者になった人たちは嫌がるのですが、薬草を見分け、正しい形で採取できるようになることは、冒険者として長くやっていくためには必須の技能です。薬草はポーションなどの原料になるだけではなく、そのままでも穢れを祓う効果があるとされ、すり潰して傷口に塗っておくだけでも傷から体が腐っていくのを防止してくれます。うっかりポーションなどを使い切ってしまったときに怪我をしてしまったとき、野生の薬草を自分で見つけられれば、それだけで生存率が上がるんです。だからこそ、初級冒険者が中級冒険者に上がるための条件の中に必須項目のひとつとして『薬草採取』達成回数、十回というのが定められているんです」


 レナリアさんがものすごい勢いで『薬草採取』の大切さを語っている。多分僕たちが『薬草採取』を嫌がる前提で、話を進めているんだろうけど、僕たちにとっては【採取】スキルを取るために腐るほど繰り返してきた行為。すでに嫌がるとかを考えるような段階はとっくに通り過ぎている。

 それにレナリアさんが話す内容も、ためになる内容で傾聴に値する…………んだけど、実はほとんど知っている内容ばっかりだった。例えば穢れを祓うっていうのは殺菌効果が高いってこと、つまり薬草は消毒するのに使える凄い草なんだ。この世界ではまだばい菌とかは知られてないから、この世界の人たちは経験からそれを発見したってことだよね、人間って凄い。


「……ということで、最初は『薬草採取』を頑張りましょうね、リューマさん」

「はい、僕たちの村では薬草はとても重宝されていましたから、よく知っています。レナリアさんの言う通りに『薬草採取』を受けようと思います」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ