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【アニメ放送中】ヘルモード ~やり込み好きのゲーマーは廃設定の異世界で無双する~【2026年1月より】  作者: ハム男
第13章 魔王城の攻略と攫われた天使

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第836話 時空管理システム①※魔王軍視点

 キュベルはヘルミオスたちのいなくなった宝物庫に現れた。


『さてと……。バスク君の調整に間に合わなかったゲヘナバンドを回収しなくっちゃね』


 究極兵器になったバスクをゲヘナバンドは装備することを拒否した。

 あれこれ調整していたがアレンたちがやってくるまでに装備させる調整が間に合わなかった。

 だが、強力な防具ということもあり別の活用方法があったため、戦いが佳境に進む中、ゲヘナバンドを活用するためにやってきた。

 ヘルミオスたちの気配があったため、身を隠していたのだが無事気付かれなかったようだ。


 キュベルが全長10メートルの石像を見上げるとあるべきものが腰にないことに気付く。


『ちょ、ちょっと!? 無くなってる! あれれ、やっぱり、ゲヘナバンド盗られたんですけど!! なんで~。暗黒神様の貴重な防具なのに~』


 石像の周りを見て回るがどこにも落ちているわけではないようだ。


『変だな~。あれは使い手を選ぶ。僕でも扱いに困るのに、どうやって持っていたんだろ。まさかだけど、そうなんだろうな。装備して走り去っていく奴を見たけど、あのお方は……』


 バスクは創造神エルメアから「フル装備」の加護が与えられ、職業や才能を無視して全ての装備を装着可能とし、最大限の効果を発揮することができる。

 そのため、ゲヘナバンドの抵抗を押し切ってバスクは装備できた。


 しかし、究極兵器になりオヌバとギイを取り込んだところ、ゲヘナバンドはバスクの魂の変化を嫌って装備できなくなった。


 キュベルの中で1つの可能性が芽生える。


『やはりあの巨人の召喚獣の腰に巻かれていたのは見間違いじゃなかったか。アレン君の召喚獣がなぜ、だけどあの召喚獣はきっと僕のよく知る「お方」だよね……。そもそも見た目がそっくりだし』


 キュベルが見上げたのは、かつての主によく似せて掘られた石像だ。

 法の神アクシリオンに仕え、永遠の寿命を持つ第一天使キュベルは、リオンが何者かようやく理解したようだ。


 道化師の仮面の下でキュベルは真剣な表情になる。


『まさか、ネスティラドを媒体に召喚獣を作るとは。全くふざけているね。ルプト君には狂気すら感じるよ。もっと常識があると聞いていたんだけど、メルス君を殺しちゃったって執念が凄まじくなったのかな』


 これまでの計画を崩される可能性が出てきたのだが、思考が進むにつれて口元が緩んでいく。


『クックック、だけど、その後の計画を考えれば、これほどのことはないね。これは考えようによっては完璧に近いんじゃないのかな。なんら不自然さはなく計画は順調、あとはシノロム所長に時空転移システムの状態に問題がないか確認しなくちゃだ』


 ニヤニヤが止まらないキュベルはその場から魔法陣で転移し、シノロムの研究施設にやってきた。

 足元にはいくつもの太い配線のようにルキモネと思われる目玉のついた触手が這っていた。


 ブウウウウウウン


 白衣を来た魔族の研究員が何十人もこの研究室におり、触手の配線の先の計器やキューブ状の物体を見つめながら、何やら口々に呟いているようだ。


「魔力注入安定! 時空管理システムは正常に作動中!」

「神界からの干渉は確認されていません。座標軸に歪みはありません!」

「転移先の空間は安定しており、魔力を充填し次第、起動できます!」


 魔族の言葉を遮るようにキューブ状の物体は悲鳴を上げるように警戒音を鳴らしていた。


『魔力充当率8・03%まで充填されました。起動するための魔力が足りません』

『魔力充当率8・04%まで充填されました。起動するための魔力が足りません』

『魔力充当率8・05%まで充填されました。起動するための魔力が足りません』


 白衣を着た角の生えていない研究員の魔族の1人がキュベルの転移に気付き、慌てて駆け寄ってくる。


「こ、これはキュベル様!?」


『お疲れ様。しっかり最終点検をするんだよ。起動すべき時に確実に起動できるようにね。それで、シノロム所長はいるかな』


「あちらでございますので、ご案内します」


『いいよ、いいよ。君たちは自分らの仕事を全うするんだ。この時空管理システムを奪うために多くの同胞たちが死んだんだ。決して最後の最後まで気を抜くことはないようにね』


「は!!」


 キュベルは研究員に確認漏れを起こさないよう念を押すと、指し示された場所へと歩みを進める。


 魔王軍は上位魔神と魔神合わせて1000体に達する被害を出した。

 魔王軍の幹部であるビルディガ、マーラ、ガンディーラが戦いに敗れ、六大魔天の半数を失った。

 これは、魔王軍の今後の活動をする上で少なくない被害であった。


 それを超える価値がこの時空管理システムにはあるようだ。


「ふぬふぬ……。10日で正常に起動させよとはふざけたことを言ってからに……。起動するのに魔力が足りんぞい。あと1000万以上の魔力をどうするつもりじゃの。儂は何の責任も取れんぞ」


『やあやあ、シノロム所長、様子を見に来たよ~』


「なんじゃ『見に来たよ~』じゃないわい! こんなにこき使いおってからに!!」


 視界に入るなりシノロム所長が罵声を浴びせる。


『もう、そんなに怒らないでよ。それで順調で良いのかな?』


 シノロムが時空管理システムの調整に10日かかるという話があってから、ルプトを救出するまでに10日という猶予期間になった。


 決してアレンたちとの交渉の結果でも何ものでもなく、最初から時空管理システムを中心に今回のアレンたちと魔王軍との戦いの時間の流れが進んでいる。


 第一天使ルプトを救出するためにアレンたちは魔王と戦っているが、魔王軍にとって別の目的が時空管理システムにはあった。


「全く問題ないわい。転移先の座標は人間界を超えることができたのじゃ。これなら人間界を超えて時空転移が可能なはずじゃ。マーラの情報を元に作った転移システムとはわけが違うのじゃ」


『無の世界への干渉ができるってわけだね。それで、転移先の空間は大丈夫なのかな? ブレマンダ監獄長の作った魔力空間は彼が倒されても、消えると困るんだけど。張り切っていて危なそうだからドライゼンを一緒につけたけど、当たったチームによっては倒されるかもしれないし、怪しいんだよね』


 魔王城を迷宮に変えたブレマンダ監獄長の力は今回の時空管理システムに関わるキュベルの作戦に関わっていた。


「ふん、奴の役目はこのシステム調整の時間稼ぎのための魔王城の迷宮化と転移先の空間を作ったところで終えておる。奴の生死にかかわらず、空間の効果は変わらん。他の魔法と同じじゃて」


 土魔法で作った土壁が、使い手が死んでも残るように。

 火魔法で殺した相手が、使い手が死んだからと生き返らないように。

 ブレマンダの力は死んでも有効であるとシノロムは言う。


『それを聞いて安心したよ。一応、作戦を完璧にするためにオルドーを倒さないと魔王へは会えないようにしたんだけど、ゲヘナバンドの保険は大丈夫そうなんだ』


「そうかい、まあ、その辺は知らんの。儂はこの世界の理の果てに力が及ばせれば、それでよい。間もなく儂の理論が証明されるときじゃて」


『ああ、そうだね。理が壊れ、新しい世界が始まる。時空管理システムが確実に起動するよう最後まで調整しておいてね。僕は各方面の状況が問題ないか確認してくるよ。ねえ、君もそう思うだろ?』


 キュベルは、時空管理システムの下に這うように絡みつく触手の束を見た。

 時空管理システムの下を持ち上げるように何十もの触手が絡んで1つの束になっているのだが、触手の隙間からキュベルを見る者がいた。

 キュベル目掛けてかき分けるように手がゆっくりと出てくる。


『くっ……』


『ふふ、まだ、そんな力があるんだ。君はこの時空管理システムの起動するため、せめて魔力だけでも充填して上げて。何たってこれの起動には膨大な魔力が必要だからね』


「ひひひ、そうじゃて。10日間で魔力充填まで間に合わなかったしの」


『魔力充当率8・12%まで充填されました。起動するための魔力が足りません』


 ニュルニュルッ


 笑みを零す2体を前に、力なく伸ばした手は触手に取り込まれて吸い込まれ、束の中に消えていく。


 キュベルはその様子に満足して、シノロム所長に時空管理システムを任せ、この場から転移したのであった。


***


 キュベルが魔王軍の中で策謀する中、ヘルミオスたちは通路を進んでいく。


 クイクイッ


 スキル「宝物探検」を発動したロゼッタが頭上で新たな高価なアイテムの在処を指し示す。


 ヘルミオスたち案内に従ってやってきたのは、巨大な扉だった。

 扉には3つ目の髑髏が掘られており、目玉の代わりにはめられた宝玉がこちらを睨んでいるような気がする。


「気持ち悪い扉ね。でもお宝はこの扉の先にあるわね」


「よし、ドベルグ。扉を開けよう」

「うむ。押戸だな」

『儂も手伝おう』


 全長10メートルの巨躯のリオンがヘルミオスとドベルグの2人の頭上に手を当て、自らの身長よりも高い扉を押し開いていく。


 ゴゴゴゴッ


 扉の先は長い通路となっているのだが、広間に繋がっているのか、遥か先で明かりが見える。


「……行こう。陣形は崩さないようにね」


「うむ!!」


 扉を開けただけで全員に何やら緊張感が増していく。

 魔力の手は通路の先を指し示しており、導かれるように先へと進んでいく。


 クイクイッ


 ヘルミオスたちは通路を抜け大きな広間に辿り着いた。

 広間の奥には魔法陣が床石に描かれており、その中に1つの「鍵」が浮いている。

 どうやら魔力の手はこの「鍵」が高価なアイテムであると指さしているようだ。


 そして、魔法陣の横に立つのは魔王軍の最高指揮官の1体だ。


『……ほう、ヘルミオスたちが我との相手というわけだな』


「オルドー!!」


 いつも笑みを絶やさないヘルミオスの表情に憎悪が溢れてくる。

 対照的に余裕があるのかオルドーは余裕そうにヘルミオスたちをニヤニヤと見つめるのであった。


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ヘルモードコミック13巻
発売日:2026年1月9日
ISBN:978-4803022483

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囚われて魔力タンクにされてるのルプト?
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