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【アニメ化】ヘルモード ~やり込み好きのゲーマーは廃設定の異世界で無双する~【2026年1月放送】  作者: ハム男
第13章 魔王城の攻略と攫われた天使

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第804話 桟橋

 ヘビーユーザー島内の動力が致命的に破壊されていながらも、忘れ去られた大陸の海岸線にかじを取り真っすぐ向かっている。

 だが、まだ1キロメートルほどの距離があり、大陸に到着できるのか予断を許さない状況だ。


 魔王軍の超メガロン砲による魔導兵器の攻撃を3発受けたおかげでこの島はまもなく墜落する。

 アレンはヘビーユーザー島を忘れ去られた大陸へ接近する際のいくつか考えた作戦のうち、プランCを選択した。


『墜落後、速やかに行動に移します。後衛も含めて全員、一時的に耐久力上昇する指輪に切り替え、衝撃に備えてください! ここからが本番ですよ!!』


 アレンはアレン軍全員に耐久力1万上昇する指輪2つに魔法具を付け替えるよう指示する。

 アレンはアレン軍の将軍たち、ヘルミオスやガララ提督などと、今回の作戦のため、魔王軍との戦いで守勢に回ったり、撤退時、そしてプランCの際に必要な耐久力上昇のための指輪だ。

 S級ダンジョンで手に入れた耐久力5000上昇する指輪を、魔法具師のカサゴマに加工して効果を2倍にしてもらったものだ。

 耐久力1万の指輪はアレン軍の生存率を上げるため、2つずつ全員に持たせている。


 指示に従いアレン軍の兵全員が腰に付けた魔導袋から速やかに事前準備した魔法具を取り出して交換する。


(各兵に多少の動揺が見られるが動きに問題なしだな。クワトロ、要塞の魔族どもに特別な動きはあるか?)


『激突しますので要塞の外壁の上は予想通り、大変混乱しておりますわ』


「助かる。俺たちは大事な拠点を1つ失うんだ。きっちり有効に活用させてもらおうか」


 忘れ去られた大陸の海岸線の断崖絶壁に接するように魔王軍の要塞が1つある。

 その要塞の北東と北西10キロメートルに超メガロン砲の魔導具のある要塞がそれぞれ1つずつある。

 さらに北東と北西の要塞の背後50キロメートル離れたところに、アレン軍と魔王軍がそれぞれ攻撃圏外に1つずつの要塞がある。


 複数ある中で断崖絶壁の要塞は必死になって砲弾をうち、既に1キロメートルを切っているとあって、投擲系のスキルや攻撃魔法を数百、数千と放ち続けている。

 30キロメートルと離れた位置にあるときはアレン軍のいるヘビーユーザー島の上部目掛けて攻撃していたのだが、今は下から島本体を狙って破壊しようと攻撃している。


 ヘビーユーザー島はアレン軍も虫Aの召喚獣たちも防御に回っていないため、攻撃されたい放題で破壊された大小の岩が大量に海に落ちていく。


 だが、ヘビーユーザー島は全長10キロメートルもある八丈島ほどの島だ。

 貫通力の高い超メガロン砲を放つ魔導兵器はないようで、要塞の戦力で島を完全破壊できないようである。


(まあ、今更破壊しても間に合わないだろうけど。接岸まで航行できて良かった)


 要塞の外壁の上の魔族たちの絶叫がアレンたちのいる場所まで聞こえそうだ。

 駆動室から魔導具師団のドワーフたちが全員撤退しているため、ヘビーユーザー島は自動運転中で、まっすぐ断崖絶壁の上の要塞目掛けて突き進んでいた。


 お昼過ぎの時間、雲が澄んだが日の光が断崖絶壁の要塞に届かない。

 ヘビーユーザー島が要塞目掛けて真っすぐ突き進んでいたからだ。


 魔王軍の要塞は1つあたり数キロメートルにも達し、建物の内外には何万人もの魔族がいる。

 外壁の上の魔族の中には、既に攻撃を諦めている者もいる。


『胴体着陸します。……はい、着地。回復職の皆さんは速やかに回復を振りまいてください!!』


 ズドオオオオオオン


 断崖絶壁の要塞をヘビーユーザー島が飲み込むように捻りつぶしていく。

 島の先端から中部まで忘れ去られた大陸に乗っかったが、後ろ半分は元々超メガロン砲で貫通してヒビが入っていたこともあり、ポキリと折れて巨大な水しぶきを上げながら海に沈んでいく。


 アレンの魔導書に膨大な数の魔族たちを倒したことを表示するログが流れる。


(魔王城へ向かうため、忘れ去られた大陸へ乗り込むための「桟橋」が出来ました。アレン軍の損失はほぼないとみて良いか)


 ヘビーユーザー島は断崖絶壁の要塞に前部から突っ込み、中部が折れ、後部から海に沈み最後尾は海の底に沈んだ。

 アレンは召喚獣たちの視界を共有し、アレン軍の損失を確認するが、被害の少ない前部に隊列を集中させていたため問題は発生していないようだ。


『……つぶれた要塞に反応はなさそうです。ですが、お急ぎください。要塞を1つ失った情報を共有し、攻勢を進めようとしています』


 高さ1キロメートルはあろう巨大な要塞が完全に捻りつぶされており、クワトロが特技「万里眼」で確認しても、魔族たちの反応はないようだ。


『着陸に問題ないため、プランCの作戦は継続します! ヘビーユーザー島は胴体着陸に成功しました。最前列にアリポンたちを壁に、上空をハッチたちが遠距離攻撃を防ぎつつ前進しろ。アレン軍は召喚獣たちを壁に前進を! ここからが本番です!!』


『ギチギチ!!』

『ギチギチ!!』


「全軍前進だ。前線は盾使いが務めようぞ! 我らはついに忘れ去られた大陸への攻撃を開始したのだ!!」


「うおおおおおおおおおおおおおお!!」

「うおおおおおおおおおおおおおお!!」

「うおおおおおおおおおおおおおお!!」


 アレンの掛け声に兵たちの士気は最高潮になる。

 中央大陸を含め魔族たちの侵攻を50年以上受けてきたが、とうとう忘れ去られた大陸に足をつけ、攻めに転じる瞬間だ。


 事前に打合せたプランCの作戦のとおり、ヘビーユーザー島で一団となって待機していた3000体の虫Bの召喚獣たちと上空を飛ぶ、25000体ほどに数を減らした虫Aの召喚獣たちが胴体着陸したヘビーユーザー島から大陸海岸線へと移動を開始する。


 後を追うように最前列にはライバック将軍率いる盾使い、機動力のあるルド将軍率いる獣人部隊が続いていく。

 ほかの種族も含めて、まずは胴体着陸したヘビーユーザー島を背にして陣形を構築するようだ。


 さらに、4つの戦略艦のうち2つが海に半分沈んだヘビーユーザー島の左右に接岸している。

 接岸した戦略艦の上部が前面から後面にかけて、天井を中央の線から大きく持ち上げるように全長500メートルの戦略艦が、開閉していく。

 それぞれの戦略艦の中には待機していた3万人にも達する兵たちが待機していた。


 2つの戦略艦を任せられているのはヘルミオスと「セイクリッド」のパーティーとガララ提督と「スティンガー」のパーティーだ。


 パーティーの背後には勇者軍、ゴーレム軍の2つの軍が控えている。

 片目を失い眼帯で覆うドベルグは視界が開け、やる気をたぎらせる。


「いよいよ出番だな」


 天井が開いた戦略艦の正面には最後尾が海に沈んだヘビーユーザー島の後部が見える。


「よし、島を経由して僕らもアレン軍に合流するんだ!」


「おららああああ! とうとう出番だぞ! 前線目指して移動開始しろ!!」


「うおおおおおおおおおおおおおお!!」

「うおおおおおおおおおおおおおお!!」


 バフの掛かった両軍が戦略艦からヘビーユーザー島に飛び移り、そのままアレン軍の後方目掛けて移動を開始した。

 怒号を上げながら雪崩のように、移動を開始し、アレン軍の後方目掛けて駆け抜けていく。


(うしうし、これで全軍での攻略体勢が整うか……。ん?)


『魔王軍が次なる行動に移りました! 速やかに防御体制を!!』


 2つの要塞の動きをクワトロが叫ぶタイミングと同時にアレンが気付いた。


 海岸線の要塞が捻りつぶされ、さらに6万もの増援がヘビーユーザー島から間もなくやってくる。

 魔王軍にとって、受け入れがたい状況であることがすぐに分かったようだ。

 リオンの石Eの召喚獣を投擲した結果、吹き飛ばされた超メガロン砲の魔導具は既に元の位置に戻されており、魔族たちが集まって発射の準備を進め始めている。


(リオン!!)


『遠距離からの攻撃から自軍を守れと言うことだな。ぬん!!』


 リオンは側に待機していた石Eの召喚獣を掴み、アレンが伝えるクワトロの特技「万里眼」の補正によって正確に要塞の外壁の上に置かれた超メガロン砲の魔導具目掛けて投擲する。


 しかし、リオンから何度も石Eの召喚獣を投げられ対策が練られていたのか、100体を超える無数の魔族、また、魔王軍の指示を聞く魔獣たちの遠距離攻撃や魔法、ブレスを放ってきた。


『……』


 ドオオオオオン


 石Eの召喚獣はアレン軍の陣形と要塞の中間地点で体力が大きく削られ爆散する。


(対応が早いな。指揮官に切れ者がいるのか。まだまだ陣形が整わないぞ!)


『要塞からの攻撃が来ます!! ハッチたちも前進し、敵の攻撃の邪魔をしろ』


(いや、ここから距離がかなりあるぞ。10キロメートルの位置を埋めつつ、遠距離攻撃を防ぐには……)


 アレンが自軍の被害を最小限に抑えながら、敵の攻撃を防ぎ、邪魔をする作戦を練ろうと思考を巡らせていると、それぞれの戦略艦に乗っている霊Cの召喚獣が共有した意識に語り掛けてくる。


『アレン様、戦略艦が魔導コア砲の準備がそれぞれ整ったデス』

『アレン様、戦略艦が魔導コア砲の準備がそれぞれ整ったデス』


(よし、それぞれの戦略艦から左右の要塞に発射だ。座標は要塞中央に合わせてくれ)


『了解デス!!』

『了解デス!!』


 今回4つの戦略艦がヘビーユーザー島の背後からついてきていた。

 今回の作戦に備えて2艦については各3万人という膨大な兵を一度に運ぶための改造が施されている。


 さらに、もう2艦については、遠距離から敵陣要塞を叩くための魔導兵器をいくつか搭載している。

 勇者軍、ゴーレム軍が胴体着陸したヘビーユーザー島を桟橋のように渡って大陸へ乗り込みアレン軍と合流しようとすることを、魔王軍にとっては絶対に邪魔をしないといけない。


 お互いが攻撃の対象となる中、戦略艦に搭載したアレンの奥の手の1つの準備が整った。

 戦略艦内の駆動室では、遠距攻撃のための魔導具の管理を行っている。


『魔導コア砲への魔力充足完了!! 発射!!』


『魔導コア砲への魔力充足完了!! 発射!!』


 離れた2つの戦略艦が息を合わせるようにタッチパネルを操作し、2つの要塞それぞれに対して1発ずつの魔導コア砲が発射される。

 魔王軍とアレンたちとの攻防が続いていくのであった。


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ヘルモード12巻
発売日:2025年10月16日
ISBN:978-4803021981

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― 新着の感想 ―
さらば、ヘビーユーザー島…君の勇姿は忘れない…
ノルマンディー上陸作戦かはたまた銀河中心殴り込み艦隊か。随分とスケールのでかいラストバトルだ。...ラストバトルだっけ?
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