お祝い
「アウルム! 結婚おめでとう! 乾杯!」
「あ、ありがとうございます。あと二人を預かってくれてありがとうございます」
イーリエさんが個室を用意してくれた。デカいテーブルにはいつも通り料理が端から端まで並んでる。これは見た事ない光景だ。アリス様とシルヴィアは無言で食べていた。
「良い食いっぷりだ」
「あんなに走った後ならいくらでも入るよね」
二人は無我夢中で食べていた。追加で届いた料理をイーリエさんが受け取り二人に差し出す。
「ほれ、お嬢様。貴族様だとこういう雑な料理は食べないだろう? でもこれが冒険者の味ってもんだ」
「いや、美味しいわよ。私、好きだわ」
「そうか、そりゃ良いや。いっぱい食えよ」
「これ、どこかで食べたわね」
「クロム兄さんのところだよ、シルヴィア」
「もう二年以上経つのか、なんだか懐かしいね」
イーリエさんが空いたジョッキを店員さんに渡しながら話題に食いついて来た。
「クロムも最近儲けてるらしいなぁ。何してんだかわからんけど‥‥‥、なんだ? どうした、アウルム?」
「ププ‥‥‥、いえ、なんでも無いです」
そこは知らないらしい。まぁ、黙っておこう。
「おい、アウルム。個室だし、ここにいる奴はみんなお前のスキルを知ってるだろう? 詳しくやってみてくれないか?」
おお、確かにそうだな。よし。
「やりましょう。じゃあこの鉄の塊をこうして‥‥‥」
うにょうにょと形を変えてみる。
そうだなぁ、イーリエさんの像でも造ってみようかな。
絵で描いてみろって言われたから残念な絵にしかならないだろうけど、イメージ通りに鉄の像を造れと言われたら出来るわ。
イーリエさんそっくりの鉄像を造り上げた。
「おお!! 俺の像か!? すげぇ!」
「いやぁ‥‥‥!! そっくり‥‥‥!」
「これが枕元にあったら眠れないわ‥‥‥」
「おいおい、お嬢たち! どういう意味だよ!?」
イーリエさんは笑いながら二人にツッコんでた。
悪ノリしてストレージから金塊を少し取り出して、鉄像に金メッキをしてみた。
なるほど、よりイーリエさん感が増してしまった。
「「いやぁ!!」」
二人とも本気で引くなよ。似てるけどさぁ。
イーリエさん、少し凹んでるぞ。
「ねぇ? 私たちのも出来る?」
「あぁ、もちろん。好きなポーズしてみてよ」
二人ともよく知ってるからな。ちゃんとイメージ通りに作れたよ。
「わあああ、ありがとう!! アウルム」
シルヴィアは喜んでくれた。
「‥‥‥、アウルム、私はこんなの貰って何を支払えば良い?」
「アリス様、何も必要ございませんよ」
「‥‥‥ねぇ、そのアリス様ってのもやめてよ!! 私の事なんだと思ってんのよ!?」
アリス様の手に持っているコップには‥‥‥あれ? ブドウジュース‥‥‥じゃない?
「アリス様、あれ? 飲んでます‥‥‥かね?」
「飲むわよ!! 私だって冒険者なんだから!」
「いいぞ! お嬢、飲め飲め〜!」
「イーリエさん、煽らないで下さい!」
「アウルム! 私の事どう思ってんの!?」
シルヴィアも飲みながら煽ってくる。
「ほらほら、答えてあげなさいよ」
「シルヴィア、これはどうなんだ?」
「アウルムがいいなら構わないわよ、アリスも家族になってもらいたいし」
ふむ、そういう事であれば。
「アリス様、私は正直アリス様の事は主人だと思っていました。私とは身分も立場も違いますから‥‥‥」
アリス様が分かりやすく凹んでいる。
「アリス様は今でも公爵令嬢です。タイタン王国の情勢によっては変わるかも知れませんが、現状はそうです」
アリス様は今にも泣き出しそうだ。
「しかしアリス様の気持ちに今の今まで気が付かず申し訳ありませんでした。少し考える時間を下さい。私も気持ちの整理をつけさせて欲しいです」
アリス様がパッと顔を上げた。
「ホント? ダメってわけではないのね!?」
「まぁ、嫌いだったらお側で二年も勤めてませんし‥‥‥、ただし公爵様と奥様から許しが出たらですからね」
「それならもう許可もらったから問題ないわ」
「ファッ!?」
また変な声が出た。
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