愚かな父だったんだ
私には直ぐに分かった。
父がオリヴィエの事を親戚の子供としてではなく、女として見ていた事を。
オリヴィエは、それに気付かず私の父を一途に尊敬し続けた。
レインハートは昔から妃を他国から招く事になっている。
何故なら、その血が濃くなると、とても危険だからだ。
我々は血が近い者ほど、その相手に惹かれやすい。
だから決して近しい者同士では結婚しなかった。
特に我等皇族の者はその血に酔いやすい。
私は父の気持ちに気付いていたが、それを見て見ぬふりをした。私は父を信じていた。そして、オリヴィエも真面目で潔癖な女性だった。だから、安心していたのかもしれないな?それがいけなかった。
まさか大樹に二人して狂わされるとは・・・しかも、その事でオリヴィエが壊れるとはな。
「お前は父ではなく自分の子供の血に強く惹かれたのだ。お前は許せなかったのだろう?自分が父だと思っていたものが自分にした事を」
「な、にを・・・ちがっ・・・ちがう・・」
「言い訳だったんだ。父の事など愛していなかっただろう?お前が愛したのは正しくギャド一人だ。それを認める事が出来なかった。だから父の事を言い訳にギャドを縛り付けた。誰にも奪われないように」
「違う!!違う!!私は、ノア様を・・・」
「では、何故ギャドが生まれた後、父に会いに行かなかった?父を愛していたのなら、何故父を求めなかった?」
そう。お前は父を嫌悪した。まぁ当然だな?
そして、お前がギャドから嫌悪される事もまた当然の事だ。全く同じ事をしたのだから。
「お前は、もうとっくに正気だっただろう?頭がおかしいふりをしていただけだ。お前は我々に自分の愛する者を奪われるのが我慢ならないだろう?だから、敢えて奪ってやろう。そして、私の父のように深く反省するがいい」
なんだギャドもセラもメルローも顔色が真っ青だぞ?
大丈夫だ!俺がギャドを目一杯可愛がってやるぞ!弟とか実は欲しかったんだ!あっはっはー!
「えっと・・・ちょっと・・・頭がついて、いかねぇんだけどよ?」
「そうだな?お前の頭じゃ直ぐ理解するのは難しいかもしれんな?」
「ギャ、ギャド・・・わ、私は・・・」
「私はな、デズロに言わせると頭がおかしいらしいぞ?愛情深くて優しい癖に血も涙もないらしい。意味がわからんだろ?だから、お前がこの後どうなろうが、興味が湧かん。自分の事は自分で何とかしろ。もう父上も死んだからどうにもならないしな?」
さて、用も済んだし、さっさと行くか。
近くに約束を破ったデズロ達も隠れてるしな?
アイツら後で、たんまり叱ってやらんとな?
「さぁ、セラも行くぞ。もう、ここに用はない」
「え!あ、はい・・・」
しかし、参ったなぁ。
出来ればギャドの前では殺したく無いのだがな?
「エルハドォォオオオオオオオ!!!」
まぁ、ほっておいてもティファ達が飛び出してくるし、仕方ないな。・・・・・・残念だ。
キンッ!
「コラコラ?駄目だよ?ティファ、エルハド?レディには丁寧に接しないとね?」
「え?ゴルド?」
「・・・・な!に・・・・」
この者は・・・ゴルド?竜の子供がどうしてここに?
「随分と苦しそうだね?マダム。何が、そんなに苦しいのかな?」
「・・・・・・わ、たし・・は」
「うん。何かな?」
これは、精神操作か?
いや、違うのか?急にオリヴィエの様子が変わったな?
「あの子を・・迎えに・・行かなければ」
「そうだね。君に助けを求めてる。君が帰って来るのを待っているよ?」
「ええ。ええ。でも、もう足が動かない。手もあの子に届かないの」
これは・・・・オリヴィエ?
「じゃあ、君の代わりに僕があの子を助けてあげよう。あの子が連れて行かれないように、安全で幸せに暮らせる場所へ」
「・・・・・本当に?あの子を、助けてくれる?」
「・・・・母・・様?」
「ギャド様・・・」
これは一体どういう事だ?オリヴィエは正気に戻っていたのではないのか?父は、元に戻ったのだぞ?
「・・・・良かった・・・じゃあ、あの子を連れて遠くに逃げて頂戴。決してあの子がレインハートに見つからない場所に・・・そうしないとギャドはあの人に殺されてしまうもの」
「ああ。君の望みを叶えてあげよう。約束するよ?もうすぐ君も解放される。ずっとずっと苦しかったね?でも、きっとその時が来たら、その時こそ君は耐えられないだろう、だから」
・・・・まさか。おい。まさか彼女は。
「・・・・・ギャド」
「な、んだよ」
「幸せになりなさい。もう、何も怖い事は起こらない」
大樹の呪いが解けていなかったのか!!
「お休みオリヴィエ。永遠に」
「ゴルド!待て!!止めろ!!」
しまった!私とした事が・・・大樹の効果が吸収される場所によって違うなど聞いてないぞ!!!
「ギャド様!」
「ゴルド!!」
「ま、待て!危ない!!」
ああー!これはアレだ・・・妻と息子達に、叱られそうだ。




