ゼクトリアムの秘密
ヨシュア・アルカディアの語りです
「さて。来たはいいが、どうやって会ってもらうかなぁ」
「とりあえず。素直に状況を話してみるしかないな」
「・・・・大きい家なんですね?」
「ああ。ティファは初めてだもんな。でも、これでも小さい方だぞ?ギャドの実家はこの倍ある」
ギャドの家も謎といえば謎だよな。
俺はギャドの家に行った事はないが、あの家はギャドをどうしたいのかさっぱりわかんねぇんだよ。
まぁ、マッカローニ家とアルカディア家仲悪ぃから知らなくて当然だし俺もギャドも勘当同然で家を出てるからな。
いや、ギャドん家はギャドが家出したんだっけか?
何度かあそこの家の母親が押しかけて来てたもんなぁ。
もうずっと昔の話だけどよ。すっかり忘れてたぜ。
ギィィーーーーー。ガチャン。
「え?門が開いた?」
「え?俺まだ何もしてねぇぞ?」
「お客様、お待たせ致しました。どうぞ中へお入りくださいませ」
ここの執事も久しぶりに見たぜ。落ち着いて見えるけど食えない奴なんだよなぁ。
ハイトの父親のヘリム様もおっとりしてると見せかけて偶に豹変しやがるからな。ハイトお前父親に似たんだな!納得!
「お客様って。俺達、事前に連絡はしてないんだが?」
「はい。ですが奥様はご来訪をお待ちしていたようです。ハイト様の事でございましょう?」
バレてたな。ま、当たり前だな。あれだけ街で騒ぎがあれば誰だって気付く。それに、ハイトの事はある程度監視していた筈だ。たまに見張られてる気配を感じたしな。
初めて屋敷の中に入ったがとても落ち着いた雰囲気の屋敷だ。何だろうなこの感じ。とても懐かしい。
なんだか、心が穏やかでいられる、そんな空間だ。
「どうぞ、こちらの部屋です」
緊張するな。
俺はハイトの母親には会ったことねぇからな。
フィクスは昔会ったことあるって言ってたが。
どんな人なんだろうな?
「失礼します」
「・・・・・・・っ」
え?ベッドに眠っている?
これ、寝てるんだよな?でも、なんだ?魔力とは違う何かが、眠っている女の人の体を覆っているのが見える。
これは、加護?
「・・・え?」
「お待ちしておりました」
「これは、一体、どういう事でしょう?ヘリム様」
皆意味が分からなくて混乱してるぞ。
この人ハイトの母親なんだよな?なんで寝てるんだ?
「どうもなにも見たままです。彼女がハイトの母セシリア。
もうずっと眠ったままですが、まだ、生きています」
・・・・つまり。もうずっと生きたまま眠り続けてるのか?一体何年?ゼクトリアムの当主は元気だと聞いてたんだけどよ?
「君がティファですね?ハイトから、話は聞いています」
「え?」
「ティファ、セシリアに触れてみて下さい」
おいおい大丈夫なのか?ギャド?いいのかよ?
ティファも迷いなく行ったな?
「・・・え?ティファ?」
なんだ?急に動かなくなったぞ?どうした?
「今は喋りかけないで下さい。彼女は今、セシリアと話しています。ハイトが何故人間になったのかを知る為に」
「ヘリム様・・・・ハイトは取り戻しに行ったんだよな?そうしないと、ハイトは自由になれないんだろ?」
だよな。この流れだと、そのはずなんだが。
「さぁ。それは私にも分かりません。私はセシリアと違いただの人間です。ただ、一つ言えることはハイトは確かにセシリアと私の子供です。ただ、セシリアがハイトを流産しかけた時、突然封印されていた大樹の核が暴走しました。そして結果ハイトは助かり、そして産まれたのは男の子だった」
「核がハイトを助けたと?それは確かに、おかしい話だな。それに、男の子だったら何か問題が?」
ん?え?あれ?まさか?
「ゼクトリアム家の当主は皆女性なのです。何故なら女の子しか生まれないからです。その為ゼクトリアムでは外から婿養子をとります。そうやって、ずっと血を繋いできました。恐らく、大樹が男性の姿をしていたからでしょう」
「え?じゃあ・・・・ハイトはもしかして・・・」
「ええ。恐らくですが、女の子の筈でした。ですが、産まれたら男の子だった。それで、直ぐに気付きました。大樹はとうとう人になったのだと」
アンビリーバボ!マ・ジ・デ・ス・カ?
ハイト男で良かったな?中身あんな感じで育ってたら確実に婿養子、来なかったと思うぞ?ドMを除き。
「大樹とゼクトリアムの先祖の女性は同じものになって添い遂げると約束しました。しかし、彼女は他の人間を愛してしまったのです。大樹の姿が目に映らなくなり、彼女は大樹を待つ事が出来なかった。そして、自ら人間である事を捨てる事も出来なかった。彼女は知らなかった。自分がどれだけの罪を犯したのか。大樹の事をちゃんとわかっていなかった」
「そりゃまぁ若い女性にありがちな話だが、相手が悪かったなぁ。それで?そこでなんでレインハート家が絡んで来たんだよ?あの操られ方相当恨まれてそうだが?」
「彼等はこの土地を統治する為、我々を守ると約束したそうです。ですが、根付いた大樹がこの国の魔力を見境なく吸い込んでしまう為、それを阻止しようとゼクトリアムにどうにかして欲しいと要求して来ました。そして、彼女は昔大樹から言われた方法で大樹の核を取り出し、大樹が力を出せないよう、封印しました。しかし・・・・」
わぁー。すげぇ嫌な予感がする。
大樹を自分の立場に置き換えたら、俺でもキレると思うぞ。それ。
「大樹は彼女に裏切られたと思ったのでしょう。それは、精霊の弱点でした。そして彼女もその時やっと大樹がどんな想いであそこで立っていたかを知りました。しかし、その時もう全てが手遅れでした。盟約を破った我等ゼクトリアム家、そして、それを行わせたレインハート家はその瞬間、盟約違反の呪がかけられたのです。大樹は怒りで我を忘れてしまい、どんなに彼女が語りかけてもその声は決して届きませんでした。そこから、この国の度重なる厄災が繰り返されるようになります」
そうなのか?でもよ・・・・その割にこの国やけに豊かじゃねぇ?もし呪われたならカスバール並みに荒れてもおかしくねぇと思うんだけどよ?
「辻褄があわねぇな?その割に俺達割と今平和だぜ?」
「それは、この国の精霊のおかげです」
「「ん?」」
この国の精霊?なんだそれ。
この国を守ってるのは大樹じゃねぇの?
「誰も知らなかった。本来なら一つの国に精霊は一つだけ。サウジスカルには元々ちゃんと精霊が根付いていたのです。それなのに、ゼクトリアムの先祖は他所の国の精霊と知らず大樹をこの国に持ち帰り、あろうことか、それをこの国に根付かせてしまったのです」
「・・・・・・・・ちょっ・・と待てよ?それって、まさか?」
うわぁ。うわぁーーーー。俺わかっちまった。その、元々大樹がいなきゃいけない国が何処なのか・・分かっちまったぞ!ギャドの顔色も真っ青だぞ!これ、国際問題だよな?な?
「御察しの通りです。カスバール国があんな状態に陥った原因は我々ゼクトリアムの罪なのです。しかも、精霊は役割を全うするまで消える事が出来ません。消える事が出来なければ新しい精霊が生まれる事もありません。つまり、サウジスカル国はカスバール国に恨まれても当然なのですよ。彼等の恵みを一方的に奪ったのですから」
アィタタタタ!
これは土下座じゃすまねぇぞ。
ずっとカスバール滅べとか思っててゴメン!そりゃ恨まれるわ!
「しかし、やっと大樹は救われるかもしれません。予感はありました。デズロ様がこの国に現れた、その時に」
「「・・・・あ!!」」
ええええええええ!?
じゃ、じゃ、じゃあもしかして?そうなのか?そんな奇跡みたいなこと普通起こるか?
「・・・・ティファが、大樹の運命の相手だと?」
「貴方達は、どう、思われますか?」
運命がどうとかはわからねぇがよ?
ハイトにはティファ以外の選択肢はねぇからな!
それが答えだ!!




