勝手な奴なんだ
「ギャド!セルシスは!」
「エルシャナ様、大丈夫だ。怪我はない。枝は離れたが、まだ大樹の意思が残ってる可能性があるからな。ケルベナ様と見張っててくれ。騎士を何人か残して行く」
「分かった。お前は早く・・・・」
「・・ギャ・・・ド」
セルシス様?目を覚ましたか?
大丈夫なのか?
「いそ、げ。大樹は、かなり、追い詰められてる。このチャンスにかけているよ。なんとしてもハイトを手に入れるつもりだ!」
ドン!!
ドドドドドドドドド!!
なんの音だ?地鳴り?違う!これは!!
「あれは・・・大樹の・・・根?」
「急げ!!ハイトを奪われるな!!ギャド!」
いい顔するじゃねぇかよ。セルシス様。
頼むから・・・・・そのままこの国のいい皇帝になってくれ。
「ああ。行って来る!」
カスバールに向かうには一度サンチコアの街を抜けねぇといけない。街が危険だ。くそ!ハイトが街を出るまでなんとかしねぇと・・・ん?ハイト?なんで立ち止まって・・・。
「僕を信じて。ティファ」
「・・・・・え?」
ーーーーーーーーードッ!
・・・・・どうして。なんでそこで立ち止まった?
「「「ハイト!!!」」」
考えろ。ハイトが意味のない事をする筈がない。
これは、何か意味があるんだ。ハイトが、連れて行かれる、その先に何かある。
「は、は?・・・・ハイトさ・・・・・」
「くそ!!待て!離しやがれ!連れていくな!」
「マジかよ!!洒落になんねぇぞ!ハイト!起きろ!!」
「コイツ!!硬い!!」
もしかして、ハイトと大樹を引き離しても、なんの解決にもならないのか?ハイト、そうなんだよな?
「・・・・待って・・・ハイト、さん・・・」
そうだよ。ハイトの核は大樹なんだ。元々一つだったんだから、片方だけでは機能しないのかもしれないんだ。
「いやです!!連れて行かないで!!!やだぁぁぁ!!」
「ハイト!!」
「ヨシュア!?」
くそ!俺達ちょっと考えが浅はかだったか?
それなら、このやり方じゃ駄目だった。
ハイトはまだ長い期間国外に出た事がない。
長い間大樹とハイトを引き離した時、何が起こるかなんて、わかんねぇじゃねぇかよ!誰か一人ぐらい気づけ!
「・・・・駄目です。もっと・・・」
まずい!!あれは見た事があるぞ!くそ!ティファ魔力は使えない筈だろが!!
「キルト!!ティファを止めろ!!」
「ああああああああああああ!!!!」
なんて脚力だよ!!もうあんな所まで飛んで行きやがった!ティファ!早まるな!!
「くそ!出遅れた!ティファ!!待て!」
「ギャド!どうする?!」
「大樹を傷つけるな!あれはハイトだ!!」
「ギャド!手を貸す!」
ササラ!!お前なんていいタイミングで!
エリス辺りが知らせてくれたんだな!偉いぞ!
後で好きなだけ飴かってやるぞ!!
「ササラ!俺をティファの所まで運んでくれ!」
「皆んな纏めて飛ばすよ?体がひっくり返らないように気をつけろよ!」
ぐっ!ティファはどこだ?間に合え!・・・見つけた!!
ガキィィィィイイイイイン!!
いっ!重ぇ!お前なんて力だよ!流石元最強騎士だな。
「ティファ!止まれ!!」
やべぇ。こいつ、目が正気じゃねえな。完全にハイトしか目に入ってねぇ。ティファ!駄目なんだそれじゃ。
キィィィン!
「どいて下さい!ギャドさん!!」
「駄目だ!大樹に傷をつけるな!ハイトが傷つく!」
「!!」
そうだ。落ち着け。そして考えろ。どうやったらハイトを助け出せるか・・・助け出す?いや、そもそも、本当にそれで合ってるのか?
「ハイト!起きろ!!」
「ハイトさん!」
「・・・・・」
ハイト。教えてくれ。
お前、何をするつもりなんだ?何の為にわざと捕まった?
「・・・・・・・・バー・・カ」
「「「!!」」」
「ハイトさん!今そこから助けますから・・・・え?ギャドさん?」
「・・・・一時撤退する。ティファ、今はまだ無理だ」
そうか。お前分かったんだな?
俺達はお前を信じて待てばいいんだな?
「ハイトを信じる。・・・・ティファ」
メキメキメキメキ。
「・・・・・あ」
泣くなティファ。ハイトは絶対お前を一人で残したりしない。あいつは、一度決めた事はやり通す。
必ず、帰って来る。
「ティファ!!」
「あああああああ!!」
悪いティファ。
こんな事なら最初からティファに、こんな事頼むんじゃなかったかもな。でもよ、多分ハイトはもう、ティファ無しじゃ生きられないと思うぞ。だから、今は辛抱してくれ。
ゴゴゴゴゴゴゴゴッ
「ティファ、ハイトを信じろ」
「うぐぅ〜ぅぅぅぅ〜」
「俺達を、信じて欲しい」
"お前らには無理だから俺が特攻する。後は任せた"
いいぞ。俺は泣く女が苦手だけどよ。これはしょうがねぇよな。好きなだけ、泣いていい。そんでティファにさっきから殴ったり蹴られたりしてるが、俺は敢えて受け入れるぞ。
「おい!周りの枝が枯れ始めてる!降りるぞ!」
「・・・ヨシュア」
「ティファ。ハイトは自分を取り戻しに行って来るってよ」
「・・・・とりもどす?」
ゼクトリアム。
今まで触れないようにしていたが、今回はそういう訳にはいかねぇな。いつも訪ねても誤魔化されて出てこねぇが、今回はちゃんと説明してもらう。
「ハイトの母親に会いに行く。ティファ、一緒に行こうぜ」
「ハイトさんのお母さん?」
「きっとその人なら全てを知ってる。でも、簡単には話を聞かせてくれないと思うんだ、俺達は皇帝に仕える人間だ。でも、ティファは違う。ティファは・・・・」
「はい!!私ハイトさんの奥さんになるので!他人じゃないです!!」
だよな?そう言うと思ったぜ。
ハイトが取り敢えずお付き合いしましょうとか、そんな事言う筈ねぇからな?あいつの愛は、正直重いと思うぞ!!
大樹のデカさ並みにな!!頑張れティファ!
「だぁぁ!そんな面白い瞬間を俺は見逃したのかぁ!!一生の不覚!!俺がハイトにくっついてればよかったー!」
メルロー。良かったな、その現場に居なくて。
多分だけどよ、きっとお前でも軽く引くレベルではなかったかと俺は想像している。




