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惚気は結構です

「セラ久しぶりですぅ」


「ペティ、久しぶりです。最近宮廷は大忙しでは、ないのですか?」


ペティとこうやってお茶するのも久しぶりです。

彼女は宮廷図書館の司書をしている私の学院生時代の友人です。今日はわざわざ彼女が会いに来てくれたんです。

忙しいのに私の我儘の為に申し訳ないです。


「それがぁ、私達はそうでもないのぅ。あ、調べものの為に来たりはするんだけど、ほらぁ。あの宮廷、普段真面目に仕事なんて皆してないじゃない?だからサボりに来る人が減って私達の仕事も何故か減るという・・・・」


なんでしょうかそれ。

普通、逆だと思うのですけれど?あ、散らかす人がいないからですのね?司書の仕事も大変ですね。雑用とも言いますが。


「それでぇ?セラは婚約者様とラブラブなんですってぇ?

筋肉モリモリ騎士団長さまとぉ?」


きゃあ!ラブラブ?やっぱりそう見えます?そうですよね?これはもう決まりですわよね?

挙式はいつ頃がいいかしら?きゃあ!


「・・・・セラぁ?貴方また勝手に暴走してなぁい?ダメよぉ〜?貴方の暴走は犯罪行為スレスレなんだからぁ?」


バレなければ大丈夫です。

ギャド様なら気が付きません、きっと。


「その人って騎士団長なのよねぇ?だったらハイト・ゼクトリアムって人知ってるかしら?」


「え?ハイト様ですか?勿論、彼は副団長ですから。私も存じておりますが、ハイト様が何か?」


あら?ペティとハイト様はお知り合いなのでしょうか?まぁ同じ宮廷内で働いてますから、知り合いでもおかしくはないですけれど、ペティは親しい人間としか、まともに会話をしない筈なのですけれど。いい加減改善されたのかしら?


「それがねぇ?この前とても不思議な出来事に遭遇したのぉ!聞いてくれるぅ?!」


あ、はい。聞きますよ。これはきっとオカルト話ですわね。彼女そういうのが大好物なのです。学院生の時も散々、聞かされました。不思議話。


「それは仕事を終えて図書館の戸締りをしていた時だったわぁ。誰も居ないはずの奥の金庫から人が扉を開いて出てきたのぉ」


「・・・・・・はい?」


え?なんですかそれ。奥の金庫って、それは陛下しか開ける事が許されない秘書庫では?そんな訳ないですよね?


何故ならそこの鍵は陛下しか所持しておりませんもの。


「そりゃあもう驚いて、私ぃ、固まって動けなかったのぉ。そしたらぁその女の人が私に何かの本を手渡してきたのぉ。そしてそのまま歩いて、出て行っちゃったのよぅ」


「・・・・・・ペティ」


いくら暇だとはいえ、そんな作り話はやめて下さいませ。

真面目に聞いてしまったではないですか。全くもう。


「それが、困った事に嘘ではないのぉ、これがその本」


「え!!持って来たのですか!?」


「だって、あの後金庫に戻そうとしても扉は開かなかったのぉ。あの扉には術が施してあるから開ければすぐに気付いた管理官が駆けつける筈なのに一向に来なかったしぃ。でも、明らかにこれは普通の図書館の本ではないのぉ」


とても古い本ですわね。

これは、一体何年前ぐらいに書かれた物なのかしら。


「それでねぇ?中を読んでみたら、また興味深いというか。どうもこれは、一番最初にこの国の大樹の種を植えた方の記録みたいなのぉ」


「へぇ?それは確かに・・・とても興味深いですね。でも、それとハイト様が何か関係が?」


「それがねぇ?その、ゼクトリアムが、大樹の種を植えたんですってぇ」


「え!そうなのですか?」


私、てっきりハイト様のお家は神官様か何かの血筋なのかと思っていました。貴族ですが大きな行事の儀式にしか、お顔を拝見出来ないので・・・・。ゼクトリアムは貴族でも平民とほぼ変わらない地位ですので、私達とは関わる事がまずありませんし。


あ、でも、唯一ヴァンデル家とは交流があると言っておりましたね?ご両親がとても仲が良いとか。しかもあのお屋敷は平民街の奥地にあって目に入る事がないので忘れられているのだと思います。


「それでねぇ?その記述によるとぉ、その大樹、人を惑わして操る事が出来るんですってぇ」


「・・・・・・え?」


まさか?だってあれは精霊ですよね?

精霊は人を惑わしたり乗っ取ったりしません。

そんな事をするとすれば、それは魔物の類ですよ?


「どうも、ゼクトリアムは精霊との盟約を破ったらしぃわ。それが精霊の怒りを買ったらしいのぉ。しかもぉそれにどうやら今の皇家の先祖も絡んでるらしいわぁ」


・・・・・・・それは、とてもまずいのでは?


精霊との盟約は果たされるまで永遠に続きます。

それを放棄したとなれば彼等は死に物狂いでそれを手にしようとする筈。だって、そうしなければ彼等は本来の役割を果たす事が出来ないですもの。


え?じゃあ・・・・。


「この国が、こんなに豊かなのに、変事が多いのはそのせいで?」


本来精霊は決まった土地で生み出され、その場所を見守っていきます。魔の者と均等にバランスを保ち、生き物達にささやかな恩恵をもたらす存在。魔力の根源とも呼ばれています。私はこの手の専門的な勉強をしていましたから、その事を知っていましたが・・・・。


「それでぇ本題だけどぉ?その前に場所変えましょうか?」


え?場所を変える?私の屋敷では何かまずい事が?


「・・・・・・・!そうですわね。美味しいお菓子屋さんを知っているので食べにでも行きましょうか?」


「さぁすがセラ!分かってるぅ」


・・・・いつの間に。

我が屋敷にあんな術がかけられてるなど。


流石ペティ。さり気なく術が解けるように踏み消してくれてますが、他にもあるかも知れません。

一体何者でしょう。こんな事が出来るなんて。


「陛下は確実に操られてるわねぇ。そこに書かれている記録と同じなのよぉ。豹変の仕方がぁ」


早急にお父様に知らせて、もっと詳しく調べなければ。

ギャド様が危険ですもの。お父様の憂いが少しでも減ればとペティに内情調査を依頼していたのですけれど、思いもよらない物が出て来てしまいました。


それに。


夫の危険を遠ざけるのは妻の役目ですものね?きゃあ!


「セラ。惚気はちゃんと付き合う事が決まったら、聞いてあげるわよぉ」


え!これはもう、付き合っていると言っていいのではないのでしょうか?そうですよね?ギャド様!!

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