長い付き合いだから分かるんですけど
「で?犯人の目星は付いたのか?」
「ギャド。私は死の淵から生還したばかりなんだが?もう少しゆっくり休ませてくれないか?」
本当にギャドは相変わらずいいタイミングで来ますね?
私の調子が大分戻った事を見越して来ましたね?
「デズロ様を騙して飛び込んで死にそうになってまで確認したかった事があったんだろ?それで?何が分かった?」
「・・・・お前、あの石を持って帰って来た時、それをジョーイに見せたと言っていたな?」
「ああ。一応危ない物かも知れないからな。まぁでも初めて見る物だったし石そのものは魔力も何もないみたいだったから・・・・・ん?待てよ?」
異空間の割れ目を作る原因があの石だと分かった瞬間に、私は犯人が特定出来ました。昔はこんな事する様な者ではなかったのですが。
「石を、途中ですり替えられた可能性がある」
「は?何の為に?」
まぁ、勿論私を貶める事が目的でしょうね?
そして恐らく、他の者の耳打ちもあったのでしょう。
「まさか。最初からお前を嵌めるのが目的で?」
「恐らく。お前があの石を私に渡すと勘違いしたんだろうな?実際お前はよく分からないものを私に持ってくる事が多い」
普通鑑定は危険なので二人以上で行いますが、あの時は人がいない事を理由に私の部下ジョーイが一人でそれを行なっています。
彼はそれなりの魔力保持者です。彼が素手で触れば確実に異空間が開いたはず。それなのに何も起きなかったのは、それを知っていて対処方法がわかっていたからですね。
「その石が何処に繋がっているかも、恐らく知っていたんだろうな?確実に私かデズロ様を仕留めるつもりだったんだろう」
ギャド?またカッとなって暴走はやめて下さいね?
流石に私、まだまともに立てないので。
追いかけられませんから。
「繋がった先では魔法は殆ど意味を成さなかった。全てあの空間に吸収されてしまうんだ。それも、全て計算した上での犯行。まさか自分の部下に殺されかけるとはね?」
それに、さっきから気になっているのですが、ギャド少しおかしくないですかね?私を心配し過ぎて、どこか悪くしましたか?
「それで、どうするんだ?」
「アイツは私とデズロ様を殺す事に失敗した。次に狙われるのは、恐らくティファかエリスだ」
「・・・・は?なんだそれ?ティファはともかく、なんでエリス?」
「私達に復讐する目的かな?エリスはジョーイに気に入られていたんだが、彼女が嫌がっていたから私が手を付けてジョーイを遠ざけた。そうでもしないと諦めなさそうだったからな。アイツは一度執着すると中々諦められない性格なんだ」
まぁ私もエリスに挑発されて大人気なくムキになった事は認めますが。勿論ちゃんと全て引き受ける覚悟はあったんですよ?思い切り鼻で笑われましたがね?
「無理矢理ではないよ?ちゃんと同意のもと・・・・」
「ざっっけんな!!おまっ!エリスが幾つだか知ってんのか?知ってて?」
「ギャド。お前、いい歳して。どんだけピュアなの?気持ち悪い」
まぁ確かに、年の差を考えればそうかも知れませんが、あの子の境遇からして、そんなものすっ飛ばして来ているのは間違いないですよ?君はあの国での女性の扱いの酷さを全く理解していないんですよね。知る必要ないし絶対耳に入れさせませんけどね?面白いから。
「お前しっかりしてる様に見えて、そうでもねぇよな?手段を選べよ。もっとまともな方法あっただろ?」
「そうだね。私も少し後悔している。まだまだ精神的に未熟だったみたいだな」
確かに面倒だったから手っ取り早く片付けました。
それで、後悔しています。今更ながら。
色々読み違えてましたから。私は。
「デズロ様はこの事を?」
「知らないが、勘付いているだろうな?私が起きてすぐ、ジョーイが姿を消した。父親が倒れて実家に帰ったそうだ。デズロ様が気付かないと思うか?」
あの人もかなり疲弊している筈だから休ませたいんだが、私がこんな有様ですし、あの顔を見るとどうも、引き止め難いのです。かなり、心配をかけたみたいなので。
「それに、ティファもエリスも強力な魔力を持っている。ティファはデズロ様の血を引いているから、ティファも狙われるだろうね。ジョーイは人の魔力を奪うことが出来るんだ」
「すまんササラ。俺の聞き間違いか?今ティファがデズロ様の血を引いてるとか聞こえたけど?」
「ああ?ギャドはまだ知らされてなかったか。そうだよ。ティファはデズロ様の実の娘だ」
「でもよ?ティファにはちゃんと両親がいなかったか?」
「デズロ様の弟夫妻がティファを育てたんだよ。ティファの母親はティファが生まれてすぐ亡くなっている。赤ん坊のティファをこちらに連れて来ることが出来なかったんだ。ティファがデズロ様を助けたのは本当に偶然だったらしいが、デズロ様はすぐに自分の娘だとわかったらしい」
本当に世の中何が起こるか分からないものですよ。
他国で生き別れた娘と遭遇する率って、どの位でしょうね?
「あれか?あの、とっちゃん坊やキャラが恥ずかしくて今更父親だと名乗り出る事ができなくなったのか?」
「ギャド達の、その何事も面白い方向に向かう思考。私はとても羨ましいと常々思っているよ?それ天然だよね?」
いや。ギャド・・・・やっぱりお前なんか変だぞ?
私が寝ている間に、一体何があったんでしょうね?




