竜も色々大変なんですよ
「食事をしながらですまないね。だが決してこの事を他の誰にも口にしないで貰いたい」
久しぶりの上質な食事に私は大満足だよ。
しかもそれが人助けになると言うんだから、こんなにいい話はないだろうね。
「その姿は元々の姿か?」
「そうだね。先程の姿のままだと魔力が上手く吸い出せないからね?少し大きさを元に戻したが部屋が壊れる事は無いから安心したまえ」
「お前子竜なんだよな?実際何年ぐらい生きてるんだ?」
「そうだね。人間の数え年だとたった50年くらいだね。まだ成竜になるまで何百年もかかるんだ」
「な、なんびゃく?」
そう。私は住処に近づいた魔物の作った時空の狭間にうっかり落ちてしまったのだよ。一度巣から落ちた竜は子竜のまま戻っても受け入れられないんだ。
世知辛い世の中なんだよ?我ら竜の世界も。
「私は体が育ち、成竜にならなければ住処に戻る事が叶わないんだ。しかし、その間、私の存在が人間の住処に有ると知られてしまえば、珍しい私を手に入れようとするだろう?だから私はあえてあそこに留まっていた」
「そうだったのか。結構大変だったんだな?ゴルドも」
分かってくれるかい?それは助かる。
君の事は結構信用しているのだよ?
セラやティファからよく話を聞かされるからね?
「つまりね?私はティファと私を住処に戻すという契約をしたが、ティファが生きている内にそれが叶う事はないだろう。だが、一度した契約は破棄される事はない」
「それで?俺は何をすればいいんだよ?」
ほぅ?やはり話しが早いね?
君なら私の言いたい事が分かるだろうとは思っていたよ?
「この国に、私を祀る碑を建てて貰いたい。つまり、この国を守る竜神として私を、この国で保護してもらいたいのだよ」
「ちょっ!ちょっと待て?何でそれを俺に言うんだ?それは俺じゃなくて陛下に・・・エルハド様に言ってくれよ」
「ん?そうなのか?しかし・・君はこの国の王だろう?」
「ーーーーーーーーーっ!!」
私は人間とは違う生き物だ。
文化も違えば味覚も嗅覚も聴覚も、全てが異なる。
だが、匂いでそれを判別できる。
君の血はこの地を治めると定められた血族の血が最も濃い筈なのだが?
人間の王はその血が最も濃いものが継ぐのだろう?
「な、なん・・・・で、おま、え」
「・・・そうか。成る程。ではこの話をそのエルハドという者に伝えて貰えるかな?私は人間の世界に興味はないのだよ。少し勘違いをしていたようだ。しかし、私が君に頼んだ事は、この国にとっても、とても重要な事柄だ。ティファがこの先その血を繋ぎ、私との契約もその子供達に引き継がれていく。子が増えれば増えるほど、その責務は何も知らない者達に継がれていくのだ。何も知らない者達がもし、私を裏切りその契約を破棄しようとしたならば、それはとんでもない災いをもたらす事になりうる。私の意思とは関係なくだよ?」
これは失敗したようだ。
どうも、私はギャドの暴かれたくない事情を思い切り暴いてしまったらしいね。本当に悪気はなかったのだが・・。
「・・・・分かった。・・・俺から、エルハド様に事情を説明する。その事ティファは?」
「知っているよ。彼女はあんな感じだから深刻に考えていないが、私はこの国の人々を結構気に入っているからね?念には念を入れておきたかったのでね?」
「そうか。・・・・ありがとな。ゴルド」
おかしな人間だね?
私は少しばかりでは有るが人間達を観察していた時期もある。皆自分勝手で私利私欲の塊のような者達ばかりだったんだ。この話だって勝手な事をと、怒りにまかせ、私を牢に繋ぐぐらいの事をしてもおかしくはないんだよ?
でも、君もティファもセラも笑って私に礼を言うんだね?
「ギャド」
「・・・なんだ?」
「私は人間の世界に興味はない。だから、君の事もね」
「・・・・・・・・・・・・ああ」
だから、そんなに怯えなくていい。
君が何をそんなに恐れているのかは知らないが、ちゃんと知らない振りをしてあげるよ。
可愛いセラの想い人だからね?
「あと、私の住む場所なのだが是非このままセラの下に・・・」
「宮廷内がいいな?俺の家も空いてるし別に宿舎でもいいぜ?」
「いや、私は今のままでも・・・」
「じゃあ俺の家だな?宿舎だと色々心配だろ?」
ギャド。ギャド君。
嫉妬は醜いぞ?そんな調子で君は大丈夫なのかい?
まぁセラは可憐で可愛いらしくてボインボインだから心配なのは良く分かるよ?君、大人気ないな?
「では宿舎でお願いしよう。ティファとなら会話も常に出来るからね?緊急時には、こちらでお世話になるとしよう」
「本当物分かりが良くて助かるわゴルド。てっきりセラから離れないとか言い出すかと思ってたからな」
あっはっはっ!そんな野暮な事はしはしないさ?
宿舎にいれば常に可愛いい女性達に会えるからね?
私は全ての女性達の為に存在しているのだよ?ギャド君?




