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追放されなかった男~二度目の人生は土下座から始まりました~  作者: あらまき
新天地を生きる二度目の男

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幼きままに時を過ごした少女(後編)


 この小さな村の住民は自分が魔物というくくりの中にいる事は知っていても、自分の正しい種族を誰も理解していない。

 とは言え、わかっている事もある。

 異なる種族が混ざりすぎて『雑種』と差別された者達が集まって逃げ、生まれた村という事。

 そしてそれが自分達が生まれる前の出来事である事。

 つまり、皆が雑種を親としている為ほぼ間違いなく自分も雑種だという事である。


 ただ、現在この村で正式に種族不明であると直接言われた者はほとんどいない。

 村を作った初代の住民達は住んでいた場所から追い出される前に種族不明であると直接診断を受けたが、後の子々孫々、この村で生まれた者達は逃げ続ける生活であった為外部との連絡はほとんどなく、種族を調べる事なんてとても出来る事ではなかった。

 と言っても、雑種から生まれるのは大半が雑種の為診断を受ける必要性などある訳がなく、また全員が『再起動者』という祝福された(呪われた)特徴を持っている為どうあがいても差別対象である事に変わりはない。

 だからこそ、この村は今でも誰かから逃げ回りながら受ける必要のない差別を受け続けていた。




「そうね、何から話しましょうか……。回りくどい事はせず直接で良いかしら。私はね、この村で腫物扱いをされているの」

 世間から腫物の様な扱いを受ける非正規無学の村の、更にその中の腫物。

 言葉にすると最悪極まりなくて笑えて来る位だった。

「……そりゃまたどうして」

 そんな訳ないとか大丈夫とか、安易な事を言わず、クロスはそう理由を尋ね返した。

 その言葉を聞き、ローザは遠い目で空を見る。

 クロスと同じ物を見ているはずなのに、その瞳には綺麗な青空は映っていない様な、そんな表情をしていた。


「私は貴方の目から見てどう見える?」

 そうローザに言われてクロスが真っ先に思ったのは、やはり子供だった。


 艶やかな黒髪にあどけないながらも愛らしい顔立ち。

 どこか蔭のある表情もまた背伸びする少女らしく、どうみてもローザは『大人ぶっている子供』にしか見えなかった。

 だが、おそらくそうではないのだろう。


「……まあ、外見で言えば十歳……位?」

「そうね。私もその位だと思うわ。……話の流れでわかると思うけど、私、それなりに長生きしてるの」

「どの位?」

「前の村長が、私と同い年だったわ」

「……百年位?」

 クロスの発言にローザを目を丸くして驚き、そしてくすりと笑った。

「貴方の種族はそんなに短命なのね。……もう数えるのも億劫になったけど……まあ、八百年は前の事よ」

 その言葉に、今度はクロスが驚いた。

 人間の常識で考えていたのも間違いではあるが、それにしても予想以上に長すぎだった。


「そんなになのか」

「そうね。でも、それだけなら気にもしないわ。寿命が長い魔物どころかない魔物だっているんだもの。……でもね、私は特別なの。悪い意味で」

「悪い意味で?」

「そう。小さな子供の外見で成熟する魔物もうちの村にはいたわ。でも、私はその子とは違う。……私はいつまでも本当の意味で子供のまま。貴方が私を子供と思ったのも実は間違いじゃないわ。だってどれだけ歳をとっても、私は心も体も子供のままなんだから」

 その言葉の後、小さな声で、懺悔する様ローザは呟いた。


「亡くなったお父さんとお母さんに、孫を見せてあげる事もできなかったわ……」

 恋愛をする気にもなれない心に、月の物が来ない体。

 亡くなるその時まで自分の所為で不安な表情のままだった年老いた父と母。

 そして取り残される自分。


 家族がいた。

 心配そうな顔で亡くなった。

 友達がいた。

 変わらない自分を置いて先に先に行き、そして村が襲われた時に亡くなり帰ってこれなかった。

 ちょっとだけ異性として気になる子もいた。

 だけど、その子は成長してもうその子の子供すら自分より年上である。


 ローザは家族だけでなく、時間からも取り残されていた。

 その異質さは寛容なこの村ですら、彼女を腫物扱いするに十分だった。

 嫌がらせをしたり無視をしたりするわけでもないが、それでも彼女と村の住民との間には時間の流れにより分厚い分厚い壁が生まれていた。


 自分の成長出来ない醜さ、愚かさを淡々と自嘲めいた笑みで伝えるローザ。 

 そして一通り自虐が終わった後、ローザはクロスの方に顔を向けた。


「ねぇ。私はどうやったら生きていられるかな? 貴方凄い魔物なんでしょ?」

 それは問いかけというよりも、諦めに近かった。

 どうにかしたいというよりは、自分のどうしようもない現状を再確認する行為に近いだろう。

 だからこそ、クロスはそれを認められなかった。


 クロスは自分の事を馬鹿で能天気だと思っている。

 逆に言えば、馬鹿で能天気でいる為にも、周りには笑っていて欲しかった。

 いや、笑っていてもらわなければいけなかった。


「エリー」

 ぽつりと、そう呟く。

 エリーがこの場にいない。 

 それでも、必要になったら来てくれると、何故かクロスは確信していた。

「はい。ここに」

 いないはずなのに、エリーはそこに、当たり前の様に立っていた。

 まるで必要とされるのが分かっていたかのように。


「彼女の体を調べ、場合によっては改善させられるか?」

「魔力側からの調査なら可能です。ただ、それでどうなるかは」

「最悪の場合はアウラに泣きつく。だからとりあえず出来る事をやってくれ」

「仰せのままに」

 エリーは頷くとローザの傍に寄り、しゃがみこんで目線を合わせると騎士らしい紳士的な仕草でその手を取った。

「少々お時間を頂きます」

「無駄しかない時間よ。何百年でも使って頂戴」

「では、貴女の一瞬を頂きましょう」

 そんな言葉を返して微笑んだ後、エリーはそっと目を閉じた。


 精霊種であるエリーにとって魔力とは身近な物であり、むしろ体その物と言っても良い。

 だから他の種族が魔法と呼ばれる技術を行使してようやく使える魔力を、そっくりそのまま加工せず利用出来る。

 それは間違いなく他種族にはない大きなアドバンテージだった。


 とは言え、出力や応用力という意味で言えば魔法に敵うものではなく、またエリーを含む精霊は大体が魔法という技術を好まない為どっちが優れているという話では決してない。

 ただ、今回の様に魔力を流す事で体調の異変を調べたり治療を施したりという意味ならば、間違いなく魔法使いでは精霊に勝てないだろう。


解放(キャスト)……解放(キャスト)……解放(キャスト)……」

 繰り返し呟き、魔力をローザの体に浸透、変質させる。

 エリーにとって魔力とは自分の体同然。

 だからこそ、その魔力を浸透させる事でその全てを見通す事が出来た。


 ローザの体は魔力が微量しか流れていないにも関わらず、恐ろしい程魔力を流しやすかった。

 まるで太いパイプが体内にあって、そこの水が常に枯渇している様な、そんな印象である。

 そして幾ら魔力を流しても際限なく流し込まれて行き、なかなか浸透しきらない。

 恐ろしい程に膨大な魔力許容量をエリーは感じていた。


 ここまで巨大な魔力許容量を持つなら間違いなく、無色であっても魔力はそれなりに流れている。

 実際クロスがその例であり、魔力を扱う事になれていなくても戦闘能力が向上する程度には膨大な魔力が溢れ常に全身を駆け巡っている。

 だが、ローザの体には魔力が枯渇して最低限以下しか流れていない。

 それは子供としてという以上に、魔物という種族においてであっても明らかに異常な事だった。


 とは言え、魔力不足が成長を妨げている可能性は限りなく低い。

 何か別の理由があるはずだ。


 そう思い、エリーはとにかく魔力をローザの体に染み渡らせていった。


 


 長い長い、時間が過ぎた。

 それは一分か二分か……精々五分程度の時間だと思うのだが、エリーが黙り込んで静かにしている重い空気の中である為、酷く時間が遅く感じる。

 一時間か、二時間か。

 それ位の体感時間の後……ぴくりとエリーが動く。


 その時のエリーの表情は――とても一言では良い表せない、そんな変な表情だった。

 歯に食べかすが詰まった様な表情と背中から大声を出され驚いた様な表情が入り交じり、それに加えて奇跡体験をしたかのような……そんな不可思議な間抜け面。


 どこか唖然としつつも小首を傾げながら、エリーはぽつりと呟いた。

「なんでここに……純血(ピュアブラッド)が……」

 その言葉に、ローザとクロスは同時に首を傾げた。


「ぴゅあ、ぶらっど?」

 それは生まれてまだそれほど月日の経ってないクロスと長く生きてもずっと村で避難生活をしていたローザ、両名の乏しい社会常識の中に聞き覚えのない言葉だった。

 そっと、エリーは小さく溜息を吐いた。


「ピュアブラッド、大いなる血族、偉大なる血筋、高潔たる血、純血の一族、真血等々。まあ色々な呼び方がございます。そしてそれはただ一つの種族を表す言葉。わかりますか?」

 エリーはそう二人に尋ねる。

 そこまで言われたら、流石にクロスも何となく察する事が出来た。

 全ての言葉に血が入っているという事は血に深いかかわりがある種族。

 それはつまり……。

「吸血鬼か」

 エリーは頷いた。

「ちょっと待ってよ。流石に物知らずの私でも吸血鬼位は知ってるわ。でもさ、私血なんて吸った事ないわよ?」

 慌てた様子でローザが否定するも、エリーは首を横に振った。

「ピュアブラッドは血を吸わなくても死にません。というよりも、理論上は不老不死ですね」

 そう言って、エリーはピュアブラッドについて説明を始めた。


 ピュアブラッド。

 要するにそれは、吸血鬼の王の一族の事であり、もっとわかりやすく言えば、吸血鬼の始まりの一族、始祖の血を継ぐ者を表す言葉である。

 ただし、それは本当の意味での『血を継ぐ者』を意味しており、一般的な親子などの血縁関係とは少々以上に異なる。

 親がピュアブラッド同士であっても、子供がピュアブラッドという訳ではなく、むしろ大体が普通の吸血鬼。

 だからこそピュアブラッド以外の吸血鬼が数を増やして主流となり、その普通の吸血鬼とは異なるという意味で始祖はピュアブラッドと呼ばれる様になった。


 ピュアブラッドの数は吸血鬼の総数の一厘にも満たず、数で言えば二百という個体数を切る。

 それほどに始祖の血は希少であり、そして受け継がれにくいものだった。


 ではピュアブラッドと呼ばれる者はどうやって生まれるかと言えば、大まかに分けて二種類である。

 一つは、吸血鬼から成る者。

 本来の吸血鬼が長すぎる時を吸血鬼の本分を全うし続けながら生きた末に至る先の形。

 それは全ての吸血鬼の憧れではあるものの、そこに至れる者は結局億に一つすらない程の狭き道である。


 そしてもう一つ吸血鬼同士の子供の中に極々稀でありえない程の天文的な確率ではあるが生まれながらのピュアブラッドも存在している。

 親がピュアブラッドである場合もあるがそうでない場合もあり、普通の吸血鬼同士の子供にもかかわらず唐突にピュアブラッドとして生を受ける。

 それは本当に珍しく、長い歴史の中でも五人程度であり()()()()()()()()()()と語り継がれる程度のレベルの話で、確認数が少なすぎて与太話にも近い内容だった。


「……いや、私の両親ただの雑種だったんだけど」

 ローザがきょとんとした顔でそう言葉にした。

「先祖返りぃ……ですかねぇ……」

 実際に目にした初めての事例であるからこそ、エリーは確証が持てず首を傾げながらそう呟いた。

「え、えぇ……」

「いや、ですが種族が混じりすぎてわからない方同士の子供の場合、偶に先祖返りする事ありますから。……それが吸血鬼で、しかもピュアブラッドなんて事普通あり得ない事ですけど」

「……貴女の勘違いって事はないの? ぴゅあぶらっど? とか本当に希少な存在なんだしそんな事……」

「私、過去にピュアブラッドの方の治療をした事あるんですよ」

 そう、だからこそエリーは確証を持って言えた。


 過去、アウラの元に来る前の話だが、エリーにピュアブラッドと呼ばれている吸血鬼が体の調子を調べてくれと相談に来た事があった。

 真っ白い髭と髪をした、柔らかい笑みを浮かべた老爺。

 ただし、その圧の強さとカリスマ性、そして良くわからない恐ろしさをその優しそうな顔の老爺は持っており、今でもその恐怖は忘れた事がない。


 相手は天上の天井、始祖の一族の方。

 恐ろしい上に恐れ多くて……緊張でがくがくになるエリーだったが、そのピュアブラッドのお爺ちゃんはとても優して、仕事の終わったエリーに孫を見る顔であめちゃんをくれた。

 その時ついでに、そのお爺ちゃんは寂しそうな目をしながらこう語った。

『どうか私の血を覚えておいてほしい。そしていつか、君の元に私と同じ血を持つ者が現れたら、どうか私達に紹介をして欲しい。我ら一族は……寂しがりやでね』


 そういった事があったからこそ、エリーはピュアブラッドと呼ばれる者の特徴を把握していた。

 吸血鬼の中の吸血鬼、淀みが少なくてあまりに純粋で、だからこそ化物と呼ばれる様な種族。

 高貴なる吸血鬼の中の最頂点に位置する気品。

 それがピュアブラッドと呼ばれる者達だった。

 とは言え、まさかこんな場所で会うとは思いもしなかったが。


「……うん。やっぱりそんな事ないわよ。ただ私の体が欠陥品なだけ。私はそんな偉そうな種族じゃなくてただの雑種よ」

 そうローザは言い切った。

 とは言え、分からない訳でもない。

 今日の今日まで雑種として差別され、何度も村を捨て点々と逃げ回る生活をしていたのだから納得出来る訳がなかった。


「ですけど、ピュアブラッドでしたら成長しない理由も成長させる方法もわかりますよ?」

「やっぱり専門家さんの言う事は聞くべきよね。そうか私は変わった種族だったのね」

 くるっと態度を変え、ローザはにこやかにそう言葉にした。

 それを見てエリーは苦笑いを浮かべ、クロスは何とかなりそうな状況を喜ばしく思い優しく微笑み頷いた。


「んで、どうしたら良いの?」

「そりゃ簡単ですよ。というかローザさん。過去に吸血衝動にかられた事ありません?」

「……えぇ。そんな事……ああいやあったわ。数百年前に」

 今と見た目は変わらないが本当に子供だった頃、ローザは誰かの血が吸いたくて苦しんだ時期があった。

 だけど、自らを雑種と思っていたローザはその衝動を恥ずかしい事として誰にも打ち明けず、あろうことか抑えきってしまった。

 少女特有の羞恥心と異端を嫌う気持ち。

 それは幼き吸血鬼の衝動に勝っていた。

 そして今日、数百年という時は決して短いものではなく、そんな事は過去の事としてローザは完全に忘却していた。


「ピュアブラッドは吸血鬼特有の欠点がない完璧な種族です。強いて言えば日中少し体調が悪くなる位ですね。ただそれでも、血液が栄養である事には変わりません。たとえ不老不死であっても、日々の糧、肉体への栄養は皆と同じ様に必要なんです」

「ん? ……つまりはだエリー。……ローザさんが子供のままなのって……栄養不足って事?」

 クロスの言葉に、エリーは気まずそうな表情でこくりと頷いた。


「え……えぇ……。私の体質とか欠陥とかじゃなくて……そういう事なの?」

「はい。残念ながらそういう事ですね」

 そうエリーが言葉にするとローザはやるせなさそうな、ながーい溜息を吐いた。

「はぁーーーーーーー。何だろう私の今までって。……んで、結局のところどうしたら良いの? 私は血を飲めば良いの?」

「ですね。とは言え……すぐにというのはちょっと難しいかもしれないですけど」

「どうして?」

「単純に、数百年も血を吸ってないからです。急に栄養を取ると体がびっくりするじゃないですか」

「じゃあどうすれば良いのよ?」

 改善の意図が見えながらも簡単にいかないもどかしさ。

 それは少女の心のまま永い時を生きたローザにとってとても腹立たしい物に感じていた。


「んー。そうですねぇ。……とりあえず、慣らしという事でクロスさんの血液を吸ってみます?」

「……どうして?」

「魔力が豊富で、若い男性の方なので」

「何で男なの?」

「異性の血の方が抵抗ないらしいですよ? それに間違いなくクロスさんの方が吸血鬼好みの血なんで」

「……貴女、本当に詳しいのね」

 その言葉にエリーは柔らかい笑みで答えた。


 ローザは申し訳なさそうに、同時に少し恥ずかしそうにもじもじとしながらクロスに話しかけた。

「んで……その、そういう事なんだけど……いいか――」

「――良し来い! 首か!? それとも腕とかまたは指に傷付けるか?」

 食い気味で、わくわくした様子で自分の指先に相棒の短剣を当てようとするクロス。

 ローザは若干引いた。

「……何でそんな乗り気なのよ?」

「吸血鬼に血を吸われた事ってないからな。ちょっと楽しみ。エリー。確認するけど別に血を吸われたからって吸血鬼になったり隷従したりっていう害はないんだろ?」

「はい。あれはお互いの契約の遂行ですからね。そういう契約が出来るのは上位の吸血鬼だけですし、それも抵抗している相手に無理やりってのは難しいです。……出来ない訳ではないですけどローザさんの様な吸血鬼として自覚なく生きた方には無理な芸当です」

「ならば問題なし! さあどうやって吸う?」

 楽しそうにするクロスにありがたくはあるが呆れる気持ちを持ちながら、ローザはエリーの方を見た。

「どうやって吸えば良いの?」

「がぶりと噛みついてそのまま吸えば良いですよ」

「……ごめん。ちょっと噛みつくのは抵抗あるから悪いんだけど指先に傷とかつけてくれない?」

 その言葉にクロスは嬉しそうに反応した。

「良しきた」

 その言葉と同時に短剣を人差し指をちくりと刺し、赤い液体が小さな丸い球体を作る。

 それを期待に込めた瞳と共に、ローザに差し出した。


「……別にこう……襲いたくなったり喉が渇いたりってのはないしどうとも思わないなぁ。本当に私吸血鬼なんだろうか」

 酷く面倒くさそうに、ローザはクロスの人差し指を軽く口に含んで吸ってみた。

「ふぉら。別に……」

 そう言葉にするローザはつまんなさそうな顔をしていた。


 そこから五分、十分と、しばらくローザは退屈そうな顔のままをしていた。

 にもかかわらず、一向に人差し指から口を放す様子を見せなかった。


ありがとうございました。

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