夢現と安堵とポンコツと(後編)
「まず、状況やらタキナとやらのことを説明する前に……私がしなければならない事は謝罪だ。クロス自身は当然として、その従者であるエリーに対し不義理を働きクロスを危険に追い込んだ。すまない」
そう言葉にし、メルクリウスは頭を下げる。
メルクリウスは冷たいと称される事が多い。
表情は飄々とし、凛とした顔立ち、雰囲気である事も理由だろう。
ただでさえ銀色の長髪高身長という容姿をしている上に普段笑わず、冷ややかながら威圧的な話し方をする。
だからこそ、怖い、冷たいと言われる事が多くブリザードと例えられる。
今回も、謝罪と口では言っているが外見で見れば全く悪びれた様子は見えない。
何時も通りの上から目線の態度だからだ。
だが、クロスもエリーもメルクリウスが本気で謝罪している事がわかった。
エリーは精霊である為、魔力や魂の揺らぎや移り変わりという物が見える。
それを見ると、暗いネガティブな感情で溢れていると理解出来た。
クロスにはそんな物見る様な能力はない。
だが、クロスはメルクリウスが口の割にメイドとしての職務に対し真摯に取り組んでいる事を知っている。
そのメルクリウスが、クロスに対し『ご主人』と呼ばない。
この魔王城の中ではクロスがご主人であるとアウラに命令されているにもかかわらず。
だからこそ、クロスのメイドである事を辞退しようとしているという事がわかり、同時にどれだけ自罰的な気持ちになっているのか理解出来た。
「私は先程も言いましたが、何一つ思う所はありません」
エリーはきっぱりと、そう告げる。
それはドラゴンに対しての畏怖や遠慮などではなく、本心である。
「何故だ? 自らの主が自分のいない場所で危機に陥ったのだ。恨まれても仕方がないと思ってるのだが……。私なら……きっと怒りに身を焦がすと……思う」
「何故かと言われましても……クロスさんに選択肢を提示し、クロスさんがそれを選んだ。それだけの事だからですよ。むしろ私はメルクリウス様ではなくクロスさんの方に不満を持ってます」
そう言って、エリーはクロスをジト目で見た。
「え? お、俺?」
「そうですよ! クロスさん。命を粗末にしないって約束しましたよね? 覚えてますよね? 覚えてないって言うなら泣きますよ? 覚えていてその上で破るなら本当に魂を共有しますよ?」
表情をくるっと切り替え、ニコニコとした笑顔でエリーはそう告げる。
むしろ笑顔だからこそ、エリーが本気で怒ってそう言っているのだとクロスは理解出来た。
「ひぇっ。だ、大丈夫! 覚えてるし破る気ないから!」
「本当ですかー?」
再度ジト目に戻り、疑いの表情を見せるエリー。
それにクロスは何度も首を縦に振った。
「ああ。本当だ! だから安心してくれ!」
「安心出来ませんけど……今は引いてあげますよ。駄目な主様を立てる立派な騎士様ですから」
そう言って、エリーはふふんと鼻を鳴らしクロスに優しく微笑みかけた。
『しょうがない人。それでも、何があっても私は見捨てませんから』
その笑顔は、そう伝えている様な様クロスには見えた。
「……本当に、表情豊かになったな。エリー」
メルクリウスは、ぽつりとそう呟いた。
「元々がこうだったのかもしれませんけどね。環境での無理がないから」
「少し、羨ましいな」
「何がです?」
「さて、何がだろうな」
苦笑しながらだが、どこか寂しそうにメルクリウスはそう呟いた。
「あー。こほん。メルクリウス、一つ良いか?」
クロスの言葉に、メルクリウスは顔を向け頷いた。
「ああ。何だ?」
「悪いが、わかった上でただの我儘を言わせてもらう。俺はメルクリウスが綺麗だと思うし欲しいと思う。だからこそ、メルクリウスにはメイドとしても世話して欲しい。距離感が良いし……何より楽しいんだ。単純に。メルクリウスと一緒にいる時間が」
「……クロス。それは……」
「辞める気なのはわかってる。だからただの我儘で、俺の都合でその意思を曲げてくれと頼んでるんだ。綺麗な言葉とか納得させる様な説得とか思いつかん。ただ、俺はそう望んでいるからとしか言えない。頼む」
「……本当にただの我儘だな。自分がこうしたいからをただ伝えるだけなんて……。会話の意味がまるでないぞ」
メルクリウスはそう呟き、苦笑いを浮かべた。
「だって他に思いつかなかった訳だしな」
クロスだって多少は交渉の術を持っている。
相手とのすり合わせをする事だって出来る。
だが、今回はそれを一切しなかった。
何故かと言えば、思いの丈をぶつけないと逆に失礼な気がしたからだ。
そして、ドラゴンに対してのアプローチで言えばそれが最適解であるのもまた真実だった。
綺麗事や上手い会話ではなく、熱を帯びた真の言葉。
どれだけ酷い内容で、どれだけ自分本位な物であっても、熱がある本意こそがいつだってドラゴンの心に火を灯す。
そんな弱者の熱に、いつだってドラゴンは焦がれ飛び込み、そして殺されて来た。
それを知らないドラゴンは、一体もいない。
「それがわかっていても……その熱に焦がれてしまう。そういう物だから」
「ん? メルクリウス。何か言ったか?」
「いや。何も言ってないぞご主人」
あっさりと、当たり前の様に、メルクリウスはそう言葉にする。
それに、野暮は事を突っ込むつもりはクロスにはなかった。
「――そうか。ありがとう。とりあえずだけどさ、メルクリウス。メイドとして一つ頼んでも良い?」
「ああ。メイドとしての仕事なら何でも言うと良い。しっかり聞いてやろう」
「……そこの果物適当に一口大に切ってくれない?」
「うむ。任せろ。……面倒だから爪で良いか?」
メイドとしてのあるまじき言葉。
とは言え、メルクリウスもただ面倒だからそう言った訳ではない。
少しでも早い方が栄養を求めるクロスの為になると考えた末の言葉である。
そんな事クロスには絶対わからないが。
「ん。構わないよ」
メルクリウスはバナナの皮を剥き、爪を数度動かしバナナを輪切りにしてフォークを乗せクロスの膝の上に置いた。
「ほれ。さっきの小娘みたいにあーんしてやろうか?」
「いや。少しずつだけど動く様になったから大丈夫」
「そうか」
「ああ。ありがとう。……ああいや、やっぱりあーんを……」
「私に甘やかされたいとか近づきたいとかではなくて、体を動かす事が本当に辛くて無理ならやってやっても良いぞ。それで……どっちだ?」
「……自分で食べます」
「うむ。そういう甘い行為は私に勝ってからにしてくれ」
「……したい事が増えて行く一方だ」
「餌で釣ってやってるんだ。やる気見せてくれよ。私のご主人」
ふふんと鼻を鳴らし、楽しそうな表情をしたまま、メルクリウスはエリーの方を見た。
「羨ましいか?」
「いえ、求める物が少し違うのであまり……」
平然とした口調のエリーに少しだけ拍子抜けしたメルクリウスは苦笑いを浮かべた。
「そうか? エリー。貴様は良くわからなくなったな。前の方がわかりやすかった。だからこそ、良い性格になったもんだと思うけどな」
「お褒めに預かりなんとやら……っと」
エリーはクロスが落としそうになった皿を受け止め、そっと膝の上に戻した。
どう見てもクロスはバナナを食べるのに苦戦している。
だけど、二体共手を貸そうとしない。
だからこそ、それが確かな信頼だった。
クロスなら出来るところまで自分でやるという、そんな信頼。
そして――クロスの手が動かなくなりギブアップした後はあーんをする役を二体で奪い合った。
ゆっくりとした食事というリハビリを取り、体に活力が戻りつつある辺りでメルクリウスは温めのお茶を持ってきてクロスに渡した。
「さて、話を戻そう。先程の狐の小娘……いや、そんな年齢でもないか。まあアレについてだったな」
「あーうん。その前にさ……メルクリウスはタキナさんが嫌いな感じ?」
明らかに不機嫌かつ敵意を見せているメルクリウスにそう尋ねるクロス。
その言葉を聞き、メルクリウスは首を傾げた。
「いや。別にそんな事ないぞ? どうしてそう思うんだ?」
「……いえ、何でもないです」
「? 変なご主人だな」
そんな二体の会話を見て、エリーはくすりと微笑んだ。
「んでアレだがな。私は大した事は知らん。何と言ってもアレの名前すら知らんからな」
「え? タキナって名前が――」
「それは偽名だ」
そう言葉にし、メルクリウスはタキナについて話し出した。
優秀な妹がいるから軍に入らずこんな場所にいる。
以前タキナはクロスにそう説明した事がある。
それが全て嘘だったという訳ではない。
実際軍に入るだけのスペックをタキナは持たない。
不安定な力を除けばタキナはテイルフォックスという優秀な種族とは思えない程に弱い。
だから――タキナは諜報活動側に進んだ。
アウラフィール魔王軍独立情報機関『サイクル』。
タキナがそこに入ったのは半分やけっぱちで、もう半分は自暴自棄から。
体を売り、情報を集め、拷問されむごたらしく殺される。
そんな末路を考えながら、タキナはそこに足を踏み入れた。
と言っても……そこは想像をしていたスパイ世界とはまるで異なった場所だった訳だが……。
確かに、養成所は地獄とも思える様な過酷な訓練を行うが、命に危機は全くない。
厳しい養成所で同士と共に手を取り合い、時に和気あいあいとした学校の様な空気で情報を扱う技術、知識を学んでいく。
そしてそんな苦しさ七割楽しさ三割の養成所を出た後タキナが向かった先は――商会や友好的な貴族の館等、命の危険が全くない場所だった。
そこには、タキナの想像する様な殺伐さはまるでなかった。
後にタキナも知ったのだが、別の情報機関がありそちらの方には想像通りの殺伐さがあるらしい。
対してこちらサイクルはむしろ味方側の調査、監視が主な任務。
要するに、仕事内容は国家承認の企業スパイである。
幸か不幸か軍の兵として働くよりもよほど性に合っており、数年間一度も見破られず活動を行う事が出来た。
自分で思うのもアレだがそこそこ程度には優秀ではないかとタキナは自負があった。
だが……そんな日は思ったよりも早く終わってしまう。
タキナが情報機関で活動を始めて数年……。
そこで、タキナのスパイとしての活動は終わりを迎えた。
タキナは家族からしっかり者の姉として認識されている。
また、情報を丁寧に扱うその能力やスパイとして笑顔を作り相手に警戒心を持たれない事など基本的能力にも長けている。
そんな優秀な彼女だが、彼女は自分の事になるとその丁寧さが発揮されない場面が多々あった。
『しっかり者だけど思い込みが激しくうっかり癖がある』
それが、家族からのタキナの最終評価である。
そんな彼女だからこそ、情報機関に卒業があるというのは卒業する三日前に知る事となった。
同じスパイを使い続けたら見つかるのだから卒業するのは当然の話だが、タキナはそんな事考えてすらいなかった。
そして土壇場で雇い主であるアウラと相談し、右往左往した末やりたい事はないかという話になった末、タキナはアウラと繋がりが深いエリート幼稚園の先生となる事を選択した。
アウラ陣営としての繋がりを残し、籍を情報機関に残したままという形で。
「そんな訳で、半分スパイで半分一般。それがアイツの正体だ」
メルクリウスの言葉にクロスは感心するような声をあげた。
「はー。そうは見えなかったなぁ……」
「だろうな。だから優秀だったんだが……どうしてあんな事に……。やはり一般に落ちたからか。それとも先生が板に付き過ぎたからか……」
「さあ、俺にはわからんなぁ俺には良い先生で良い女ではあったぞ」
メルクリウスは少しイラっとした顔をした後、言葉を続けた。
「閣下はご主人を幼稚園に放り込む事になった後も不安を覚えた。ご主人にとって全く知らない世界であるからだ。だからご主人をサポート出来て、尚且つ信頼出来る相手を探した。そしてあいつに白羽の矢が刺さったという訳だ」
「なるほど」
「あいつならご主人に対して裏から迫ってくる馬鹿共を止められるから尚都合が良かったしな」
「裏って? 暗殺とかか?」
「色々あるが……ご主人に最適なのはハニートラップだな。私が敵なら迷わず選択する」
「ああうん。そのトラップに俺勝てる気しないわ。よくご存じで……」
「ご主人だからな。ま、あいつに関してはそんな感じだ。何度も言うが、あいつも閣下も別にご主人に隠しているつもりはないぞ。見つからない方が自然体でいけるから都合も良いだけだ。そもそも、例えバレても閣下のお墨付きな訳だしな。だからどっちでも上手くやれるだろうと思って放置していたんだが……何だがポンコツになっていた……どうしてだ……」
そんなメルクリウスの言葉にクロスとエリーは困った様な顔をする事しか出来なかった。
「ま、楽しそうにしているのは良い事だ。良い事だが……閣下には正式に幼稚園養護教員にしておくよう進言しておくとしよう。今のあいつにスパイでいられるとは思えないし……その方がアイツの為になる」
つっけんどんな態度ではあるものの、どこか優しさが見えるメルクリウスの様子を見てクロスとエリーは顔を見合わせ、内緒話をする様二人でこっそりと微笑みあった。
数時間という時間に加えてタキナの持って来たフルーツ詰め合わせを全て食べたことにより、クロスの体調は立って歩ける程度には回復していた。
元々ただの疲労状態でしかない上に現在クロスの体にはこれでもかと治癒魔法と魔力が循環している為、異常な速度で回復している。
食事さえちゃんと取れば明日には全て元通りに戻る程度にはクロスの治癒は上手く進んでいた。
ベッドから起き、自分の足で床を踏み、屈伸をして体の調子をクロスが確認するとメルクリウスはクロスに尋ねた。
「自宅に戻るか? その体調でかつエリーが傍にいるなら許可は下りると思うぞ」
「あー。どうしようか……。戻ったら飯作らないといけないからなぁ……」
「私買ってきますよ!」
きりっとした口調でそう言葉にするエリーにメルクリウスは小さく溜息を吐いた。
「そこは作ります位言える様になれ」
「私が作ると別の理由で入院になりますよ?」
「……おい。そこまで酷いのか?」
クロスは顔を反らし、何も言葉にしなかった。
言葉にしない事以上の優しさが、クロスには思いつかなかった。
「……はぁ。ご主人の騎士たるものがそれでは先が思いやられるだろう」
「目下誠意努力中です。……ナメクジの歩行速度位ですけど」
メルクリウスは再度溜息を吐いた。
「あのさ、メルクリウス。驕っていて、それでいて馬鹿馬鹿しい言葉だけどさ、ちょいとのたまってみて良いかな?」
クロスの言葉に、メルクリウスは不敵に笑った。
「何だご主人。聞いてやろう。ただし、私のプライドは刺激しない様にな。ドラゴンはこれでも気性が荒い事で有名だ」
「うん。それは見てわかる。そういうのじゃなくってさ、俺、あの時の行動に何一つ後悔ないし改める気もないから」
「あの時とは?」
「アリスと戦った時だ。あの時は倒れて無様を晒したが……次はそんな事にならない。次は……俺が何とかする」
そう、クロスは言い切った。
相手は格上。
それも体感が正しいなら実力はメディールクラス、つまり、勇者の正式な仲間と同等であり、まるで追いつける気がしない格上の敵。
勝てるという手応えがあった訳ではない。
あの時ですら、相手が油断しなければ勝ちの目など一ミリもなかった。
だけど、それでも……。
「どうしてご主人がやる必要あるんだ? アレは私や閣下が相手にする様なそんな次元の相手だ。言い方は悪いがご主人では力不足過ぎる」
「だろうな。だけど……そうしたいんだ。自分の為、あの時のメルクリウスの期待に応える為。そして……何より、あいつ自身の為に」
相対した時間は、限りなく短い。
だけど、クロスはアリスと名乗る女性に対し何か一目ぼれと運命の様な物を感じた。
別に恋をした訳じゃあない。
だけど、その生き方に、信念に、恰好良いとさえ思えてしまった。
誰よりも、正しいのだと思ってしまった。
だからこそ、クロスはアリスを終わらせたかった。
正しい事を貫く彼女の正しさを認めたまま戦えるのが、きっと自分だけだから。
「そしてエリー」
クロスはメルクリウスからエリーに視線を動かし、じっと、その顔を見つめた。
「格好つけて何とかすると言っておいてなんだが、俺では力不足だ。いや。力云々じゃあない。あらゆる意味で俺だけじゃあ多分駄目なんだ。だから手伝って欲しい。騎士として、アリスを打ち倒すのに、その手を貸して欲しい」
まっすぐ、恰好も付けず、見つめながら心を吐露するクロス。
それが心からの言葉であるなら、従者であるエリーが否定する訳がない。
いや、否定出来る訳がなかった。
エリーはクロスの膝元に傅いて、その手をクロスの手に重ねた。
「仰せのままに我が主。私は貴方の剣であり盾であり、そして同時に貴方のその意思を貫く代弁者でもあります。どうぞ思うがまま、我が忠誠をお使い下さい」
そう言葉にした後、エリーは心からの笑みを浮かべクロスの方を見た。
「ただし、寿命以外で私より先に死ぬ事は許しませんからね? 私の主様?」
「俺もエリーの死に際なんか見たくないからな。精々気張ってみるさ」
そう言って微笑みあう二体。
それをメルクリウスは恨めしそうに見つめる。
何が羨ましいと感じているのか、メルクリウスは少しだけ理解出来た。
一緒に戦う事が、メルクリウスは羨ましいと思ってしまっていた。
本気を出した時はいつも独りっきり。
共に戦う相手が存在しないメルクリウスだからこそ、その全力で戦う時も比翼の様にいられるその関係が羨ましく、そして美しく感じた。
「ま、恰好つけて言っておきながらアリスと次会えるかもわからないし何かが起きると決まった訳じゃあないんだけどな」
そう言って、クロスは楽しそうに笑う。
そんなクロスに対し、エリーとメルクリウスは信じられないという様な顔を向けた。
そして、クロスのその妄言が本気であるとわかると二体は同時に苦笑を浮かべた。
「おめでとうご主人。そのあるかわからないとのたまう次は必ず来る」
「へ?」
「私の所為でご主人はアリスから唯一の脅威でかつ最大の敵としてロックオンされた。閣下すら面倒な邪魔者程度にしか思わないアリスから正しく敵と認められた。そんなのは後にも先にもご主人だけだろう。流石我がご主人。私も鼻が高いぞ」
明らかな軽口でのメルクリウスの言葉。
だが、その中身はまごう事なき本当の事だった。
「……まじで?」
二体が同時に頷くのを見てクロスはそれが本当の事だと理解した。
「……やばい?」
再度二体が同時に頷く。
それに対し、クロスは苦笑いを浮かべる事しか出来なかった。
だが、不思議な事に嫌とは思えなかった。
アリスと再会する事も、狙われた事も、殺し合う事になる事も。
その理由はわからないが、とても嫌という気持ちになれなかった。
ありがとうございました。




