終わりは唐突で
出会いの時があるのと同様、必ず別れの時は来る。
そんな事、わかり切った事だった。
居心地は非常に良くて毎日が楽しくて、永住しても良いと思う位には、精一杯時間を使い楽しんだ。
悔いがないとは言い切れない。
むしろもっともっとと思う気持ちもある。
だけど、そうもいかない。
具体的に言うならば、蓬莱の里に介入するから邪魔しないで待っていてくれとだけ報告し、後は放置した結果アウラがクロス達の事と蓬莱の里の事が心配で心配で仕方がなくなっていて……そろそろ軍を派遣に移そうと考えているなんて手紙がアウラの父グリュンから送られてきた為、クロスはようやく帰る事を決意した。
後悔は多い。
出来るなら、玉藍……ではなく翡翠ちゃんとめくるめく一夜を堪能したかったし、アンジェちゃんと再会してきゃっきゃうふふしてワンチャンデートしたかった。
そしてなにより……雲耀とハクがどうなるか、それは出来るならば、見ておきたかった。
いや、どうせ雲耀が平伏して頼み込み、ハクが仕方ないという感じで受けて一生尻に敷かれるなんて事はもう未来予知クラスの精度でわかっている。
そこに恋愛としての愛情はないだろう。
だが、一生を共にしても問題ない位の絆は見えていた。
だから、心配はない。
ただ、それを実際にみて……そして雲耀を想うがままいじり倒してから帰りたかったと、クロスは本気で悔やんでいた。
とは言え、仕方がない。
ヴァールを紹介した時点で、クロスのやるべき事はもう終わっている。
むしろ、忙しい中急に帰るなんて言ったのに雲耀やハク、ヴァールにローザ、そして玉藍と見送りに来てくれたのだ。
それだけで、終わりとしては十二分に満足な結果と言って良いだろう。
「ま、楽しかったしな。エリーはどうだった?」
蓬莱の里がまだ背に見える位の時、クロスはそう尋ねる。
その言葉にエリーは言葉ではなく、態度で示した。
瞬時に鎧姿から艶やかな着物姿に変わり、ドヤ顔で歩くなんて態度で。
「見ての通りです」
「そりゃ良かった。ああ、単純な疑問なんだけど……何時でもその服に着替えられるの?」
「はい。普段着二着と、ドレスとこの着物、それと鎧姿にならいつでも」
「便利だねぇ。俺も覚えられる?」
「どうでしょう……? これ着替えている訳ではなく位相をずらしているだけなので……まあ精霊特有の行動ですので理解する事すら難しいかと。ただ出来ないとも言い切れないですが……」
「オーケー。難しいのはわかった。まあ、覚えられたら楽だろうななんて気持ちで言っただけだしあんま気にしないでくれ」
「了解です。ところで……」
そう切り出すエリーの言葉に被せる様、クロスは後ろを向き呟いた。
「皆忙しそうだったなぁ。無理してでももう少し残った方が良かったかなぁ」
その言葉に、エリーは少し困った顔をしてみせた。
「いえ。アウラ様は相当無理をして私達を……というかクロスさんをスルーしてくれていたのでこれ以上の迷惑は……。今回も成果で強引にごり押すつもりですが、それでも相当な迷惑をかけたかと……」
「だよなぁ……。でも、あの玉藍が見送りの場で早く帰ってくれって言う程だったもんなぁ……」
クロスの言葉にエリーは苦笑いを浮かべた。
「礼儀作法に厚い方があの言葉ですからねぇ……相当過酷な目に合っている事でしょう……少しだけ、同情します」
「うーん。帰った後困ってそうな事ないか尋ねてみるか。と言っても、後出来る事はアウラに頼む位なんだけど……」
「それでもやるのとやらないのでは全然違いますよ」
そうクロスとエリーが話していると、一歩後ろから付いて来ていた宗麟は口を挟んだ。
「失礼。玉藍様は『早く帰れ』ではなく、『おはようおかえりやす』とおっしゃっていた様な」
「うん。だから早く帰れって事だろ? ……どした宗麟。眉間に皺を寄せて」
「……いえ。私如きがどう言えば良いのだろうかと。ただ……色恋沙汰については、私にとってあまりに苦手な分野に属する話であると……」
「? 良くわからんがまあそういう事なら気にしないでおくさ」
そう言ってクロスは正面を向き歩き出した。
「あの、クロスさん。その……さっきから気になって……」
「そうそう! エリーは土産買えた?」
「へ? え、あはい。色々と買わせて頂きました」
「俺達からのじゃなくって、自分が誰かに出す用の奴だよ?」
「ええもちろん。クロスさんと選んだ団子やらの甘味等以外にも色々と」
「どんなの買ったか聞いて良い? ちなみに俺は酒」
「あ、はい。化粧品とかかんざしなどのアクセサリーです」
「あー綺麗だったもんねぇ。化粧品も蓬莱の里って良いのがあったの?」
「自然成分を中心としたナチュラルな基礎化粧品が結構良かったですね。私みたいな精霊にはこっちの方がありたがい位です。ですので植物系等の自然由来の方が肌に合いそうなお友達に配ろうと」
「そかそか。つかさ、今更で気づいたけど、俺と一緒にいたから友達とあんまり会う時間なかったよね? ごめんね気が遣えなくて。今度から気にせず言ってね。それで友達いなくなったら悲しいし、俺が俺を怒りで殴りたくなる」
その言葉にエリーはくすりと微笑み、そしてそっと頷いてみせた。
まさかその忙しい時に、クロスと出会った時に、一日の大半をクロスと共にしていた時に出来た友達だなんて、クロスには知る訳がない。
アウラの騎士であった時精神的余裕などなく友と正しく呼べる者などいなかった。
いるのは同じ派閥の者か部下位。
それなのに昔の友達を大切にしろという主の優しい勘違いがエリーにはどこまでも面白く、そしてどこまでも嬉しかった。
ただ……それはそれとして、エリーはさっきから気になる事があった。
とても気になって、凄く聞きたくて……だけどその度にタイミングを逃して……。
「宗麟。宗麟は土産とか買った?」
「いえ。すいません。外に出る事が初めてで、土産を買うという発想がなく――。いえ、そもそも私の場合土産を渡す相手もおりませぬな」
「そりゃそうか。悪い、失礼な事を聞いた」
「いえ。構いませぬ」
そう答え、無表情で低くお辞儀をする宗麟。
そこで、エリーの我慢の限界が解かれた。
「だから! あのですね! そのやたらと渋いお方どなたですか!? さっきからずっと後ろを付いて来ているこの方は!?」
声を荒げ息を荒げ。
そんなエリーにクロスはきょとんとした顔をした。
「何を言ってるんだ? 己龍一刀羅刹宗麟じゃないか」
「左様。私の名前は己龍一刀羅刹宗麟です」
「エリーと同じく俺の従者でずっと一緒に旅をしていたじゃないか」
「してないですよ!? 従者は騎士である私だけでしたよ!?」
「いやいや。なあ宗麟」
にこやかな様子のクロスに、宗麟は頷いた。
「……ふむ。そうですな。えりぃ殿と共に主殿に仕えておりますな」
「そうそう! 旅の仲間を忘れるなんてどうしたんだエリー? やっぱり長旅は疲れが溜まったのか?」
そう言ってニコニコするクロスを見てエリーは頭を抱え混乱した様子を見せる。
そして一呼吸を置いた後、クロスにこう尋ねた。
「それは、何か面倒な事があったから強引にごり押ししようとしているのですか? それとも、私をからかって反応を楽しんでおられるのですか?」
クロスは、にこやかに答えた。
「後者」
エリーは満面の笑みを浮かべた。
主を殴るというのは、騎士にあるまじき行為であろう。
だが……今位はぶん殴ってもきっと騎士として間違っている事にならないのではないだろうか。
そう思い、エリーはクロスにどこから出したのかわからないスリッパで思いっきりその頭を叩いた。
「という訳で、この方の名前は宗麟。雲耀の父親で、色々あって里を出る事にした」
「いやいや。その色々を教えて下さいよ」
そうエリーが言うと、クロスはちらっと宗麟の方を向いた。
「理由で言いますと、無知蒙昧である自らの見聞を広める為と言うべきでしょうか……生きる理由を探す為と言いましょうか……。はたまた恩義あるクロス殿に尽くす為と申しますか……。少々難しいですな。大本の原因を語ると……少々以上に長くなりますね」
「……それって、暗い話になります?」
「さて。それは当事者からは何とも。ただ、クロス殿がああいった顔をする位は重い話題なのかもしれませぬ」
そう言われた時のクロスの顔は、何とも味の染み出た顔となっていた。
目は閉じているのではないかという位細く、眉間に皺が寄り、口元はレモンでも齧ったのかと言わんばかりで……。
「あ、もう良いです。聞かない方が良さそうという事がわかりましたので」
そうエリーが言葉にする位には、クロスの顔から苦労がにじみ出ていた。
少し考え込む仕草をした後、宗麟はぽつりと呟いた。
「……ふむ、失礼。私は不器用な生き方しか出来なかった。故に、察するのが遅れてしまった。つまり、お二方は男女の仲で私は今馬に蹴られる様な事をしていると――」
「違います」
照れ隠しでも何でもなく、素のままエリーはそう答える。
実際エリーにそういう感情は全くなく、宗麟がいなければなんて思ってはいなかった。
「その気遣いは私にもクロスさんにも不要ですので大丈夫です。それにクロスさんが突拍子もない事するなんてのは最初から知ってますしクロスさんが決めた事なら私も喜んで従います。ただ……共に旅をするなら、宗麟? さんの事を教えて頂きたいなと思います。もちろん、私の方も気になる事があれば何でも聞いて下さい」
「忝い。確かに、名乗りもしないのは不作法であった。本当に、申し訳ない」
そう言葉にし、宗麟は頭を下げる。
「いえいえ。それで、貴方の事を教えて貰えますか?」
「無論。隠す事もありませぬ。ただ……」
「ただ?」
「何から話せば良いものか……あいにくあまり他者との交流はこれ以外苦手なもので……」
宗麟は腰に携えた刀をちゃきと鳴らせながらそう呟いた。
「では自己紹介から始めましょう。私の名前はエリーです。貴方の名前は何で、どう呼べば良いでしょうか?」
そう言って愛想良くするエリーに感謝を示す一礼の後宗麟は少し考え、こう名乗った。
「己龍、宗麟。もはや家の名にしがみ付く必要もなし。故に、宗麟と呼んでいただけたら」
「わかりました宗麟さん。よろしくお願いします」
そう言ってにこりと微笑んだ後も、エリーは自分から積極的に交流を進め相互理解を深めていく。
その間、クロスは少し寂しそうにしながらもエリーの方を見て嬉しそうに微笑んでいた。
旅をする際、クロスは時計を持たない。
人間界では携帯出来る時計なんて物存在していないが、魔物界では高級ではあるが手が出ないものでは決してない。
それは知っているし正しい時間を知るメリットがどれほどの物かも知ってはいるのだが……それでも、クロスは携帯型の時計を決して持つ事がない。
人間だった頃の冒険で持っていなかったという理由もあるが、一番の理由は値段の問題。
金銭管理をしているエリーは必要な物だから出すと言ってくれているが、それもクロスは断っている。
要するに、わざわざ高い金で買った物を壊すのがとても怖いからだ。
クロスの中では時計という物は非常に繊細で壊れやすい物に分類され、そんな物持ち歩くとおっかなびっくりで走る事すら出来なくなる。
だからクロスは時計を持たないのだが、代わりに勇者達と共に冒険をした経験がクロスには有った。
盗賊メリーは例え洞窟内であろうと分単位で時間を測れ、その知識をマンツーマンで学んだクロスはそこまでといかなくとも、昼でも夜でも空の下でなら大体の時間を推し量る位なら出来る様になっている。
とは言え、そのメリーに教わった物以上に、ある意味正確に時を図る方法をクロスは知っていた。
今現在の時刻は正午手前位。
そうクロスの腹部が刺激されそろそろ音を鳴らすぞと警告を出す。
つまり、御昼時である。
この時と、夕食時だけは、クロスは正確に腹時計で時間を把握する事が出来た。
「んー、なあエリーと宗麟。今日ちょっとやりたい事あるし昼ゆっくり作っても良いか? 丁度良い木陰もあるし」
そうクロスが言葉にする。
エリーも宗麟も、それを否定する事はなかった。
急ぎの旅でもなく、同時にこれはクロスが主導の旅。
エリーはいつもの様に荷物を置いて料理以外の食事の支度を始めた。
「……ふむ。クロス殿、エリー殿。私は何をすれば良いでしょうか?」
わからないなりに素直に尋ねる宗麟にクロスは少し考え、答えた。
「椅子が欲しいな。んーあっちの木なら道の邪魔になりそうだし切っても怒られないよな?」
エリーに訊ねる様そうクロスが訊ねた。
「ですね。というかこれからこの道もっと拡大させると思いますし……というかこの辺り蛮族とか盗賊とかゴロツキとかしょっちゅう出るからあんまり気にしなくても良いですよ」
「そか。んじゃ宗麟。あっちの木を切って椅子を作ってくれないか?」
「それは構わないのですが……」
「ん? ああ、もしかしてそんな事の為に刀を使いたくない? すまん、そうだよな。俺みたいな我流と違って由緒正しい剣術にそういう事させるのは――」
「いえ、それは構いませぬ。剣の道と綺麗事を言いますが、結局のところただの殺しの技。むしろ旅の役に立てた方がよほど有意義であると私は考えます。ただ……」
「ただ?」
「その、椅子を作った事がないので、どうすれば良いのかわからず……」
「適当に腰かけられる高さの丸太を三つ」
「なるほど。そういうわかりやすい指示は助かります。ではお二方の足腰の高さを推測して……」
そう言葉にし、宗麟は腰に携えた新しい打刀を構え……抜刀する。
一閃……いや、ほぼ同時に五つの剣筋を立て、即座に納刀。
その直後、一本の木がバラバラとなり、椅子やらテーブルやらに適切な形状の丸太が転がった。
「このような感じで?」
クロスは親指を立てて微笑んだ。
「はえー。凄いですね。さすが蓬莱の里の方。綺麗な切断面でちょっとびっくりです」
エリーの言葉に同意に否定もせず、宗麟はぺこりと軽く一礼をして答えた。
食器を並べ終わると、エリーは宗麟と共に椅子に座り主自ら振舞う料理の完成を心待ちにする。
そんな中、手持ち無沙汰な上クロスにだけ料理をさせるという居心地の悪い状況を誤魔化す為に宗麟はぽつりと一言呟いた。
「クロス殿が作るのですね。エリー殿は……」
エリーはさっと顔を反らした。
宗麟は不器用な生き方しか出来ていない。
誰かを害し、いつか誰かに害されるまで許されないなんて、そんな不器用な生き方しか。
だから当然、宗麟は他者の気持ちを汲む事が非常に苦手である。
そんな宗麟ですら、それに触れない事が優しさである位は理解出来、自ら話の矛先を変えた。
「クロス殿に言われ改めて意識をしたのですが、やはり私は刀が好きな様です」
「ん? 好きだから極めたんじゃないんです?」
「いえ。家がそうだったからですね。正直自分の好みを物差しの中に入れた事すら今までありませんでした」
「……過酷だったのですね」
「そうと感じた事はありませぬが……きっとそうだったのでしょう」
「それで、刀が好きと最近感じたと?」
「はい。以前の刀が折れたので新しい刀を選んでいた時、ふと思ったのです。どうせなら自分の足で探しに行ってみようかと。財という意味だけでなく、力という意味でも家がそこそこ恵まれてましたので業物の刀なら家に腐る程あります。されど、それでも敢えて探しに出かけてみました」
「ふむふむ。それで、その刀探しが楽しかったと?」
「はい。思ったより、心躍る物でした」
そう言葉にし、宗麟は腰に携えた刀をテーブルに置き、抜いてみせた。
「地味な刀ですよね。着飾る事を何も知らぬ私の様です」
宗麟はそう言葉にするが、エリーはそれに同意出来なかった。
真っ黒い鞘に白い持ち手。
装飾こそないものの、とても地味であるとは思えない。
「……いや、結構派手じゃないですか? ああでも、他の刀を想えば……」
「ええ。装飾を全て捨て、色も武骨な物。だから値段も大した事なかったのですが……刃が美しかった。気づけば買わされていた位には」
そう言って宗麟は苦笑いを浮かべた。
「名前とかあります?」
「打刀の一振り、剛刀で兜割で有名な一門の刀であるから……まあ影打でしょうな。銘は迅雷。それが刀工の名か刀の名かはわかりませぬ。何しろ、売っていた場所であまり大切にされていなかった様なので。ただまあ……非常に新しい刀である事と、これが業物……良い物である事は間違いないですけどな」
そう言った後、刀を鞘に仕舞い、腰に携え直した。
「なるほど。……うーん私ももう少し剣とか良い物選ぶべきですかねぇ。割と使い捨てにしてる感ありますし」
「どうでしょう。難しい話です。特に、他の武器ですと私には何も……」
そんな会話をしているのを割り込む様に、クロスは姿を見せた。
「お待たせ。初めての事だったからちょいと手間取ってしまった」
「いえいえ。私は何も言う資格ありませんので……はは」
料理が出来ない事が地味にダメージになっているエリーは乾いた笑いをしてみせた。
「ま、待たせた分、そう悪くない物が出来たと思うぞ」
そう言葉にした後テーブルに置かれた物を見て、エリーは首を傾げ宗麟はほぉと感嘆の声をあげた。
「……これ、何でしたっけ? 蓬莱の里で見た事あるような……」
黄色に輝く横に広い巨大な何か。
その何かに包丁を入れ、くるくると巻かれた断面図を見て、エリーもそれが何なのか思い出した。
それは、蓬莱の里で見た卵料理だった。
「だし巻き卵。まあ、卵焼きっていう奴だな」
クロスはふんすと胸を張って自慢げにそう答えた。
「頂いても?」
宗麟がそう尋ねるとエリーはナイフとフォークを使い宗麟の取り皿にそれを盛り付ける。
宗麟はそっと両手を合わせ、静かに箸を使い……ぱくりと小さく一口。
味わう様にゆっくりと咀嚼した後、ぽつりと呟いた。
「これは……お見事です」
宗麟は、口がそこそこは肥えている自信がありながら、掛け値なしの賛辞をクロスに贈った。
「いつの間に蓬莱の里の料理を覚え……あ、ほんとだとっても美味しい」
フォークで卵焼きを食べながらエリーはぽつりとそう呟いた。
「丁度良い事に料理の本があったからな。ついでに買っておいてこっそり練習しておいた。もちろん卵だけじゃねーぞ」
そう言って、クロスは三角形状の白い塊、おにぎりが山になった皿をテーブルに置いた。
「クロス殿は料理が得意なのですな」
「どうかな。とは言え、料理が得意になりたいとは思ってるかな。さて、俺も食うか」
そう言ってクロスはおにぎりを手で掴み思いっきり口に頬張る。
その料理は海苔を買い忘れた事だけが小さな心残りであり、それ以外は概ね満足だった。
ありがとうございました。




