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アルカディア・クエスト~死にゲーを極めたRTA廃人が駆け抜けるMMORPG『理想郷探索Any%盾使いチャート』~  作者: 蒼唯まる
雄飛する新参、動乱の幕開け

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四苦八苦の仲間集め

【お知らせ】

 明日、金曜の夜にアルカディア・クエストで一緒に戦ってくれるメンバー募集。

【内容】

 変異エリアボス悪樓討伐レイド

【条件】

・ネクテージ渓谷未攻略

・基本職レベル30(ジョブ問わず)※レベルが足りない場合は要相談


 参加希望者は以下のリンクにDM求む。

 https://……




 チャンネル名『RTA配信用』――登録者数僅か二十一人、固定リスナーたった数人(※1人は白城でおまけにROM専)の小さな無名コミュニティ。

 それが俺の動画チャンネルだ。


「まさかこんな形でコミュニティ機能を使うことになるなんてな」


 帰宅直後の自室。

 いつもRTAの配信を行っている動画サイトのチャンネル画面を眺めながら、俺はしみじみ思う。


 前回の『しばらく配信休止します』って投稿の次が、アルクエのレイドボス討伐の協力要請とか、チャンネルの趣旨から思いっきり逸れまくってるよな。


 掲示板での募集に頼りたくはないが、どうにかしてレイド戦のメンバーを集めなければならないというこの状況下。

 まだゲーム内での人脈が形成できていない以上、苦肉の策として考えたのが自身のチャンネルを使って人員を募ることだった。


 とはいえ、正直効果はあまり期待できないだろう。


 呼びかける母数がまず少な過ぎる上に、たった数人しかいないリスナーが都合よくアルクエをやっているとは限らない。

 仮にやっていたとしても、もうとっくにクレオーノ以降まで攻略を進めている可能性の方がずっと高い。


 やらないよりはまだマシ、という藁に縋る思いでの投稿だった。


 こうなるんだったら、もうちょっとリスナーを増やしておくべきだったな。

 ま、今更悔やんでも仕方ねえけど。


「しかし、まあ……未だにこのチャンネル登録者数は酷えな」


 配信を始めてから一年と少し経ってこの様なのだから、ストリーマーとしてはど底辺もいいところだろう。

 改めて、苦笑が漏れる。


 とはいえ……なんでこんなに視聴数が増えていないかは、自分の胸に聞くまでもないんだけどな。


 チャンネル名、サムネ、概要欄……etc.

 最低限弄らなきゃならないことすら放棄しているのだから、新規勢が増えてくるわけがない。


 これで「収益化目指してます!」なんて言おうものなら、それで飯食ってる配信者に鼻で笑われるか、ブチギレられても仕方ないレベルだ。


 ワンチャン、インフルエンサー級の人物が俺のことを紹介してくれたら登録者数も増えるかもしれないが、そんな現実味のないことを考えても仕方がないか。

 今はそこまで登録者数に興味はないしな。


「後は現地でどれだけスカウトできるに賭けるしかないか。……ぶっちゃけ全然上手くいく気がしないけど、やれるだけやるしかないよな」


 リンク先に貼ったチャットアプリのメッセージに通知がないことを確認してから、俺はログインする前に速攻で夕飯とシャワーを済ませることにした。






「――スカウトするつっても、どうしたもんかな」


 ビアノスの広場でどこか浮き足立った様子で行き交うプレイヤーたちをぼーっと眺めながら、俺は小さく溜息を吐く。


 現実の繁華街でたまに見かけるキャッチみたく、手当たり次第に声を掛けるわけにはいかないもんな。

 迷惑行為で通報されるリスクがあるし、単純に時間効率が悪過ぎる。


 そうなると……フィールドやエリアでレベリングするついでに、動きの良さそうなプレイヤーを探して直接声をかけるのがベターか。


「ま、どのみち辛いことには変わりないけど」


 そう考えるとプロデュースする系の育成ゲーの主人公って凄えよな。

 極大の原石をピンポイントで探し当てるのもそうだけど、ちゃんと説得に成功してるんだから。


 そういうシナリオになっているんだから当然ではあるんだけどさ。

 でも、いざ実際にやろうとしても中々できることじゃない。


「にしても……どこもかしこも悪樓の話ばっかだな」


 悪樓発生から丸一日が経過して、プレイヤーもNPCも話題にするのは悪樓のことばかりだ。

 プレイヤーからすればゲーム進行にガッツリ影響が出ているからで、NPCからすれば伝承の中の怪物が復活したからと、理由はちょっと異なるが、最早一種ののイベントみたいになっていた。


 ちなみにちょっと前にコミュニティに投稿した仲間募集だけど、ログインした時点でも何一つコメントは付いていないし、チャットアプリにもメッセージは届いていない。

 端から期待はしていなかったから、特に落胆するとかは全くないのだが、それはそれとしてちょっとだけ物悲しくはある。


 でもまあ、それだけ気にするわけにもいかねえか。


「さてと、……んじゃ、そろそろ動くとするか」


 シラユキと合流するまで、まだ一時間以上ある。

 これくらいの時間があればフィールドとエリアを一通り見て回るついでに、悪樓の行動パターンを把握しに行けるはずだ。


 有望そうなプレイヤーがいれば声をかけてみればいいし、見つからなかったら試しに悪樓に戦いを挑んでデスポーン(タクシー)で帰ればいい。

 連続で死ななきゃデスペナもそう重くはならないし、集合する頃には解除されているだろうしな。


 などと考えながら広場から移動しようとした時、突如として広場にいるプレイヤー達が一斉にざわめきだした。


「ん……どうした?」


 彼らの視線を追った先にいたのは、金色の刀身が輝くレイピアを携えた重厚そうな騎士風の装いをした金髪の女プレイヤー。

 もう一人は、それぞれ白と黒の二本の短槍を背負い、白黒ツートンカラーの髪が目を引く長身痩躯の優男っぽいプレイヤー。


 確実にずっと先まで攻略済みであろう二人組が、広場の中心に向かって歩いて来ていた。


「あれは……ガチ勢、か?」


 なんとなくライトやひだりと似た雰囲気を感じる……いや、それ以上だな。

 となると、ガチめのトップ層ってことか。


 そして、広場の中心に辿り着くと、女プレイヤーはぐるりと周囲を見回してから、この場にいるプレイヤーに向けて声高に告げるのだった。


「諸君、私はクラン『アルゴナウタエ』のリーダーを務めているレイアという者だ。今回、私たちがここに来たのは他でもない。——君たちの中から一人を新しくクランメンバーに迎え入れたいと考えている」

以前、ヒロインちゃんとやり取りしたチャットアプリと今回、コミュニティに投稿したリンク先のチャットアプリは別物です。

LのアレとDのアレみたいな使い分けをしています。

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