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魅了魔法持ち王女は、女嫌いの皇帝に一途に溺愛される  作者: 青空一夏


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45/50

44 俯瞰視点

カミラはその噂――“皇妃は魅了魔法を使って皇帝を虜にしている”に烈火の如く怒った。

「どこのどいつがそんなことを言っているのか……! もし正体が分かったら、二度とそんな大嘘を口にできないよう、根性を叩き直してやります!女神様になんてことを言うんでしょう!」


カミラは幼い頃から、可愛いものや綺麗なもの、とくに“儚げな美しさ”に目がなかった。だが鏡に映る自分は尊敬する父にそっくりで、骨太でがっしりとした体つき。その度にため息がこぼれ、せめてもう少しだけ女性らしく生まれていれば……、と胸の奥で思った。


だが、カミラは自分の人生を卑下することはなかった。

最強と謳われる第一騎士団長である父のもとで剣を学び、素手の戦い方も叩き込まれ、さらに母や家庭教師からは高い教養を授けられ、努力を怠ったことは一度もない。


ただ友人作りだけは、どうにも上手くいかなかった。

可憐で愛らしい令嬢たちと友達になりたくて勇気を出して近づいても、熊のように大きな体と、精悍すぎる顔立ちのせいで驚かれてしまい、 “異質な存在”として受け取られることが多かったからだ。


そんな彼女の世界が変わったのは、アウレリアの専属侍女になってからだ。

自分の理想そのものの「儚げで美しい女性」が主になり、毎日優しく声をかけてくれる。


努力を褒めて気遣ってくれ、ときには素晴らしい贈り物までくれる。

皇帝が“皇妃として必要なものを好きなだけ作れ”と莫大な量の上質な生地を買い与えたとき、アウレリアはその一部をダリアとカミラに分け、外出用のドレスに仕立てて贈った。 カミラは涙をこぼして喜んだ。推しが、自分のためにドレスを……。これは彼女にとって天地がひっくり返るほどの奇跡なのだ。


あれ以来、カミラは遠慮なくアウレリアを“女神様”と呼び、ダリアとともに“皇妃様の素晴らしさ”について何時間でも語れる崇拝者になったのだった。


そんなカミラだからこそ、今回の噂の件も心の底から怒り狂っており、指の関節をポキポキさせながらも怒気を撒き散らしていた。


もちろん、ダリアの怒りは言うまでもなく、メラメラと怒りの炎を瞳に宿す。

「カミラ、犯人が捕まったら私たち二人でお仕置きしましょう!」


シルヴァンはそんなダリアとカミラを落ち着かせるように宥め、余裕の笑みを浮かべてこう言った。

「俺に考えがある。心配はいらないぞ。もうすぐ“帝国の守護星”に感謝を捧げる星祭りが開かれるだろう?アルシオンの民が一年で一番楽しみにしている祭りだ。あの祭りでは、仮面をつけた若者たちが“直感だけで”相手を選ぶ出会いの催しがある」


「はい。あれは平民たちが大盛り上がりになる遊戯ですよね。そこで出会って、そのまま結婚までいく人も多いと聞いております」

アウレリアが軽く頷いた。アルシオン帝国の主だった行事は、もうすでに頭にしっかりと入っていたのだ。


「その通り。その催しに、俺の嫁が参加する」

「……え? わ、私が、ですか?」



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