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元ツンデレ現変態ストーカーと亡き公国の魔女  作者:
2章 変態宰相公爵の、魔女への溺愛ストーカー記録
94/103

94話 初の国家連合国際裁判

 一つ咳をし手で押さえたサクの姿に血の気が引いた。

 掌が血に染まっていたから。

 一気に体温が下がって僅かに震えた。鼻血を出すのは繋がりから身体を酷使した結果だった。この人数を転移するのに繋がりの力を使っていたとしたら? 今までここまで形になるほど大きなことはしてなかった。この吐血は無理をしすぎた反動なの?


「サク」


 やめて、もう繋がらないでと言おうとすると血に染まってない手で私の手を握った。声を出せない。

 血に染まった掌を隠して笑ってくる。そのまま少しの浮遊感と一緒に視界が変わった。


「!」


 目の前には二階から上が消失したウニバーシタス、ポステーロス城がある。転移した途端、ヴォックスとユツィの管轄する騎士達は帝都側を通れないよう並んで待機した。見ればフィクタの護衛騎士や侍女が拘束され一所に纏まっている。


「すみません。今だけはステリモリス公爵として立ち会って下さい」


 サクが申し訳なさそうに言う。城側に控えていたのは、ウニバーシタスで夕食をとった店でサクに話しかけてきた人ばかりだった。国家連合の代表たちだ。


「……第一皇子」


 城を前にした大きな広場に半円を描く形で各国の代表が城を背にして立つ。拘束された第一皇子が対面する形で半円の中心にいた。


「フィクタ嬢、あちらへ」

「なにを」

「拘束されて連れていかれたいですか?」

「……」


 黙って第一皇子の隣に立つ。ヴォックスの騎士が数名二人の後ろについた。


「では裁判を始めましょうか」


 笑顔で最後の宣告が始まる。


「こんな場所で?」

「ふざけるなよ」

「第一皇子殿下については先程議会室で決まりました。ここで行うものはその周知も兼ねた再上映ですよ」


 再上映という言葉の意味が分からないだろう第一皇子は眉を顰める。彼は私がフィクタと向かい合っている間に処遇が決まってしまったらしい。サクの言う周知と言う言葉通り、帝都側に逃げないよう塞いだと思っていた騎士たちがギャラリーの統制を行っていた。そこには多くの記者がいる。開戦の記事を差し止める代わりに議決の結果を周知する気?


「初の国家連合国際裁判になりますね」


 二人に言い返す余地なんてないだろう。十年前のサクの冤罪の件もあるから、今回サクは容赦しないはずだ。


「まずは直近、ウニバーシタス・イルミナルクス国境線におけるウニバーシタス帝国騎士への攻撃についてです」

「それはイルミナルクスがやったことだろう」

「第一皇子殿下、今は貴方に発言権がありません」


 何を言った所で先程の議会で決まった事は覆らないと連合国家代表の一人が冷たく宣告する。


「ウニバーシタスの騎士を攻撃した者達だ」


 ヴォックスが捕らえていた。やっぱり仕事が早いのね。


「え?」


 周囲も同じようにざわついた。

 捕らえられた複数の騎士の顔が皆同じだったからだ。


「フィクタ嬢の護衛騎士ですね」

「……」

「元々双子だったこの騎士たちはフィクタ嬢の本来の故郷にいた人間です。双子以外の騎士については顔を変えた。そうですね?」


 双子であると利点がある。

 単純にアリバイ工作がしやすい。フィクタは護衛が双子だと周知していなかったし、いつも一人だけ連れていた。誰も護衛が双子だと気づいていなければ片方は外で動き、見られたとしてもフィクタの側にいたというので外でのことを証明しづらい。しかも護衛騎士の一部だけが同じ顔で、顔を変えていない者もいる。後は配置や印象操作で秘密裏に動きやすくしていけばフィクタのやりたい放題になるわけだ。


「フィクタ嬢自ら、騎士の顔を変える処置をしましたね?」


 後宮から処置に必要な器具が見つかった。うまく警備の穴を抜けて持ち込んだらしい。

 騎士も騎士でどうして抵抗しないのだろう。犯罪に加担する為に顔を変える。それだけフィクタを信奉していたのか別の理由があったかは騎士たちが語らないので分からない。ヴォックスが捕らえた時は自分達のしたことを話したみたいだけどこの場ではだんまりだった。


「どの顔がやったかの特定は今ここで語りませんが、十年前と今の酒の粗悪品を売り裁いていたのが、フィクタ嬢の騎士だと確定しています」


 粗悪品が出回る販促ルートを止めることと売買自体だけを止めることしかできなかったのが十年前。今では複数同じ顔の人間がやっていることが知れた為、全員を捕縛することができた。陽動か印象操作なのか、同じ顔の中には何もしていない人間もいたけど精査を重ねればすぐに知れることになったという。


「同じ顔の人間のうち、片方がアリバイを作って片方が実行するなんて小説でよくある話ですよ」


 と、サクが私にだけ囁く。本をよく読むけど見た試しがない。それは繋がりの先にあるのではと思ってしまった。

喀血の件は置いとくスタイル(笑)。

ということで、御都合断罪裁判開始です。同じ顔の件はもっと分かりやすい感じで護衛騎士たちの話出しておけばよかったです…全編を通してあまりにも印象が薄いけど重要なのはそこじゃないので過去分の加筆はしない予定です。ご都合でもなんでもいいから裁判すすめようぜ!

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