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元ツンデレ現変態ストーカーと亡き公国の魔女  作者:
1章 新興国のツンデレショタっ子は魔女に懐かない
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9話 ドラゴンとフェンリルのことがばれる

「え……え?!」

「……まさか、魔物か?」


 伝説の代物かと思ってたがいるもんだなと冷静にサクが話を進めてくる。これはいけない。


「ち、ちがうよ? こ、この子はフィーで、大きな犬だよ?」

「肩のは?」

「珍しい異国のトカゲ」

「蜥蜴に羽は生えていない」

「い、異国には羽生えたのがいるんだよ!」

「さっきもお湯が温かかったのが気になった。そいつらがやったのか?」


 あー! サクってばお子様のくせに鋭いよ! むしろなんでドラゴン見えてるの!

 ちらりとフェンリルに視線を送る。お座りをして、サクから肩に乗るドラゴンに視線を移した。ドラゴンがもそりと動く。


「クラス、無駄だ。サクは元々見える家の者だ」


 試しにクラスの肩に乗っていたがやはり見えたなとドラゴンが頷きながらフェンリルの近くに飛び移った。


「そういうのあるの?」

「クラスも同じだ。昔馴染みだった者の子孫だと見える」

「そ、そんな……」

「喋れるのか」


 サクが目を丸くしている。大きい目がさらに大きくなってて可愛い……じゃない。驚いているものの、これまた冷静にドラゴンとフェンリルを見ている。


「お前達はなんだ?」

「私がドラゴンで、あっちはフェンリルだ」

「我々が見えているという事は君も魔法の才があるのだろうな」

「それは俺が繋がっているからか?」

「まあそれもあるが」


 繋がる?

 サクに聞こうにも、考えているようで口元に手を当てている。話しかけても聞こえなさそうね。


「何故昨日はいなかった?」

「ここの王族の前には基本出ないな。見える可能性がある」

「見られて困ることがあんのかよ」

「そういうわけではないが、変に話がこじれても問題になるだろう? 相手は皇族だ」

「我々の存在故にクラスが不利な立場になっても困るしな」


 もっとも、城内の魔法が使える一部の人間にドラゴンが見えることはなかったし、フェンリルが犬ではないと知られることもなかった。これは二人が実験といって現れた頃によくやっていたことだ。この城の中で、皇帝と皇子たち、皇太子妃とユツィにはその実験をしていないから分からないけど、他で見える人間はどこにもいない。私だけだ。

 というか、あれは結果を分かってた上でわざとやって楽しんでいた節がある。追及はしなかったけど。


「確かに危険な橋か」


 サクも納得したらしい。

 皇族に見えることは、他の人間に見られることよりも話の意味合いが違う。ドラゴンはよく帝国を滅ぼしてやるぞと冗談で言うけれど、そういう事態に及ぶ可能性があるからこそ、敢えて会わない選択肢をとっているのだろう。

 彼らは気高い。帝国が二人の存在を認知し利用しようものなら彼らの逆鱗に触れるだろう。そうなれば、言葉通りこの国は亡びる。


「お前達の本来の姿は?」

「ふむ。それなら後日そこの庭で見せてやろうか」

「ああ」

「私も行く!」


 久しぶりの大きな二人に会えるなんて最高じゃない。初めて会った時は洗濯物を干す城内の庭だった。

 二人ともとても大きくて息を飲んだのは記憶に新しい。二人ともとっても格好良かったもの。


「あ、そうだ」

「?」

「食後のお茶」


 貴族が飲む上等な物でなく、薬草で煎じたものだけど私は結構気に入っている。

 フェンリルに温めてもらったお湯で作って出してあげるとサクの目が開いてはっとしていた。これは大丈夫そうね。


「夜は眠りやすくするの淹れようか」

「そんなのがあるのか?」

「うん。リラックス効果ってやつだね。健康にいいよ」


 ドラゴンが頷く。サクは変わらず二人を交互に見ていたけど、結局追及はせずにお茶を飲み進めた。

 リラックス効果という言葉はドラゴンから教えてもらったからサク分からないかな?


「もう少ししたら皇帝陛下のとこ行くの?」

「ああ……そっちは?」

「私は騎士様たちに怪我があったら治癒する感じ」


 日々の練習でも怪我はあるし、遠征帰りは多少負傷者は出てくる。今日は確か、分隊が三つ遠征から帰ってくるから治癒になるかな。


「ふふふ」


 なんだかこんな会話してると、すっかり仲良しになってる気がする。不機嫌になる時もあるけど、ご飯は一緒に食べてくれたし、親密度もいい感じかも。


「……送る」

「ん?」

「着替えてくるから待ってろ」


 滑らかな足取りで出て隣の部屋に戻っていった。食器を片付けていると、ドラゴンがぱさっと飛んで肩に乗る。


「実に聡明な子だ」

「そうだな」

「神童だっけ? すごいんだね」


 言葉遣いは少し悪いけど、頭が良くて大人と対等に話せる力もあって、お肌はとぅるんとぅるん……いいなあ肌綺麗なの。


「クラス」

「着替え早かった、ね」

「どうした?」


 そうだった。サクは新興国で豊かな王国イルミナルクスの公爵家の人間で、ウニバーシタス帝国皇帝に御呼ばれしている身だ。皇帝に会うのであれば、それなりの服装になるに決まっている。


「眩しい」

「はあ?」

「サクが立派すぎて隣に立てないよ」

「……御託はいいから行くぞ」

「私は一人で」

「行くぞ」


 どうやら送るという言葉を実行する気らしい。むっすりしてるけど、そういうとこは紳士なのね。

 昨日の時点で充分目立っていたし、今更かと思って私はサクの隣に立った。

 サクは準備ができて隣に立った私を怪訝な様子で見上げている。


「……」

「どうしたの?」

「フード被るのか」

「白髪って目立っちゃうから、ついね」


 白髪の魔女とか言われては揶揄された時期もあって、城の中でも洗濯場と厨以外はフードを被ってしまう。洗濯場と厨だって人が少ない時間に行ってるからフード被ってるのと変わらない。


「……俺は、きれいだと思うけど」

「え?」

「髪」


 ふわふわしてて透き通った金色を帯びていると、詩人みたいなこと言ってきた。罪深いわね。可愛いこと言ってくれる。


「ありがと」

「……ふん」

「たまにはフード外そうかな?」

「おう」


 満更でもなさそうな顔をした。癒される。

まあ現実羽生えたトカゲいるんですけどね。

それよりも、本日のツンデレのデレ多めの方が特筆すべきことかと(落ち着け)。デレヒャッハー!

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