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元ツンデレ現変態ストーカーと亡き公国の魔女  作者:
2章 変態宰相公爵の、魔女への溺愛ストーカー記録
74/103

74話 イルミナルクスデート、屋台回り

「これがケバブ」


 肉と野菜を串焼きにしてパンに挟む。場所によっては蒸し焼きらしいしパンも使わないらしいけど、ここに出すにあたってパンに挟むのを決めたらしい。白くて薄めの珍しい生地のパンだった。


「アチェンディーテ公爵がパンを使う案を下さいまして」

「へえ」

「その方がクラスが気に入るかなと思って」


 屋台通りに出てもサクは有名人だった。仕事がどうこうあったとしても、サクの周囲には自然と人が集まるんだと思う。才能の一つね。

 屋台通りは好きな食べ物ばかりで、ここですら私の好感度あげに使っているのはいっそ無視した。好みど真ん中を知られすぎてて恥ずかしいけど、美味しいもの目の前にしたら許すしかない。


「お、美味しい」

「よかった」


 このケバブ、味は濃いめだけど独特のパン生地と相性が良くて暑くても食が進む。味付けの関係か割と汁が垂れるのはネックね。垂れないよう頑張って食べても垂れてしまう。


「ほらクラス」


 見かねたサクが掌から手首を通り越した汁を拭いてくれた。呆れた顔をされる。


「食べ歩き難しいよ」

「じゃあ座る?」


 屋台デートの為に言葉尻の丁寧さが少し緩和していた。サクってば頑張ってる。世話焼きは変わらないくせに。

 屋台通りに真ん中に円形の広場があった。噴水があったので、その縁に他のお店で買ったものを持って座る。


「サクは食べ慣れてるのね」

「視察のおかげですかね?」


 この通りのテコ入れをした時に全制覇したらしい。


「じゃあどれがオススメとかもあるの?」

「クラスが好きなものしかいれてないけど……特別好きそうなの案内します?」

「うん」


 暑いからか氷を削った珍しい食べ物もあった。かけるシロップが甘くて美味しいし、果実を丸々使ったドルチェもある。ステラモリスの野菜を使っているお店もあった。異国のものも多く、ドラゴンとフェンリルが一緒だったら喜びそうなものばかりだ。あまり食べられないから当然制覇はできなかったけど。


「もっと食べられれば」

「食べすぎも良くないから程程に」


 楽しめたかきいてくるから、頷いてどれも美味しかったと応える。


「一番はサクの料理なんだけど」

「え?」


 驚かれても困る。事実を言ったまでなのに。


「サクの作るご飯が一番好み」


 口元を手で覆って視線を逸らす。耳が赤くなった。


「おっと」


 次に鼻血がきたらしい。ハンカチが出た。


「ふふふふ」


 通常運行だ。

 屋台デートも思い返しながらぶつぶつ言ってる。断じて私が食べる姿はえろくない。汗流すのは暑いんだから仕方ないし。なぜかサクには全部いかがわしいものに見える。なんでよ。


「風通しが悪くなって夏場暑いのは問題か」


 一通り思い返しで楽しんだ後は問題点の改善に向けてフィードバックが始まった。切り替えの早さがすごい。


「いけない、デート中だった」

「ゆっくり考えてていいよ?」

「今日はデートだから駄目」


 手を引かれ、屋台の喧騒を後にする。馬車に乗り込み、適度な揺れの中で一日の濃厚さを思い返した。


「一日すごかったなあ」

「邪魔があったけど」

「まさか国王陛下のことじゃないよね?」

「それ以外ある?」


 まあ外堀埋めるっていうなら必要だけどと臆面もなく言ってみせる。さすがサクだ。


「ねえ婚約ってなに?」


 えへへと笑って誤魔化そうとした。可愛い子ぶったってだめなんだから。


「婚約じゃないとステラモリスに行けそうもなかったから」

「そんなに会いたかった?」

「それはっ」


 声が大きくなりそうなところを、当然でしょうと続けた声が小さくなる。


「私も会いたかったよ」

「え?」

「サクの迷惑になるかもと思っていてなにもしなかったけど、本当は会いたかったし話したかった」


 忘れてなかった? と掠れる声で問われる。

 当然応えは忘れたことはない一択だ。イルミナルクスで幸せにしてるだろうかと想いを馳せたこともあった。

 あのツンツンのまま大きくなるのかとずっと思っていたところに全く違うタイプがきたから再会した時は衝撃だったけど。

 そんな思い返しにサクが真面目な顔をしてきいてくる。


「何を」

「ん?」

「何を話したかった?」

「んー、なんだろ?」


 再会した時にサクの近況を聞いていたからそこかな? 引いてた記憶しかないなあ。


「あ、分かった」

「何が?」

「会えて嬉しいって言いたかったと思う」


 再会の衝撃がひどくて言えてなかったけど、サクに会えるだけで嬉しいと思えるし、それしか出てこない気がした。


「それだけ?」

「うん。サクは嬉しくなかった?」

「そんなわけない」


 何度も会いに行こうと思ったと苦しそうに言う。でも自分が未熟だったから過去ああなった手前、片付け整え且つ自負できる立場になったら行こうと決めていたとか。


「あの日、クラスを見て嬉しくてどうにかなりそうだった」

「そう?」


 と、なぜか頭を抱えて踞る。


「サク、具合悪い?」

「……違う。また格好悪くなってるから」


 こだわるなあ。私には嬉しいことなのに。


「気にしなくていいって言ってるのに」


 こういう時のサクの方が可愛いくて好きなんだけどな。

 普段は見ることのない頭を眺めて、手を伸ばした。


「え?」

「よしよし」


 頭を撫でてあげるとサクから素っ頓狂な声が漏れた。


「サクはとてもいい子だからよしよししてあげる」

「な、」

「だから気にしないで」


 がしっと撫でていた手首をとられた。離れようとしてもびくともしない。

 ゆっくりサクが起き上がる。


「子供扱いは止めて」

「だって」


 場を和ませようとしただけなのに不満げな顔はなによ。


「撫でるぐらいならキスの一つぐらい下さい」

「はあ?!」


 むしろこの雰囲気ならいけますかねとすごくいい笑顔で言う。以前とは少し違う笑顔でも言ってることとやろうとしてることがアウトだ。


「さあどうぞ」

「しないって」


 顔を上げて両手を広げて体勢はばっちりだった。急にやる気だすんだから困る。

 こうしてからかわれてばかりだ。折角サクの本音が見えそうだったのに。


「誤魔化してる」

「格好悪いのを見せないだけです」


 サクにとっての格好いいと私の思う格好いいが違う。


「お休みのキスで妥協します」 

「だからしないってば」


 結局屋敷に帰ったらメルが目を光らせてたのもあり、一人快適に眠ることになった。メルの仕事ができすぎる。

夏だしお祭りとかで屋台ものは旬ですな。私は夏暑いの苦手なので夜ですら出かけたくない派です(笑)。けど随分前に食べた屋台ゲバブはめちゃうまだったんですよね~はい、ゲバブは私の趣味です。ゲバブは美味しい。

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