表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
元ツンデレ現変態ストーカーと亡き公国の魔女  作者:
2章 変態宰相公爵の、魔女への溺愛ストーカー記録
52/103

52話 一騎打ち結果

 危ないことよしてよと言うも聞き入れてもらえず始まってしまった。


「ひえ」

「念の為、私の側から離れないで下さい」


 ユツィの少し後ろで鑑賞だった。十年前とは違ってサクも鍛えたのだろう、剣の扱いが格段と上がり、様子が全く違うものになっていた。より洗練された動きで、二人の斬撃が速すぎて見えない。ぎりぎりでかわしあい、互いの木刀が交じるだけで衝撃に風が靡く。おかしいでしょ。人の能力にも限度があるってば。


「つ、強すぎでしょ」

「鍛練を積んできましたからね」


 それはサクも? と問うと目線を二人に寄越したまま、ええと頷く。たまに顔を合わせる時にサク本人から色々話を聞いたりしていたらしい。

 十年前から始めた鍛練を続けていたとは言っていたけど本当だったんだ。イルミナルクスにヴォックス程の強い騎士はいなかったと言っていたから、イルミナルクスで一番強いのはサクかもしれない。そしたらヴォックスぐらい強くなってて当然なのかも。


「楽しそうですね」

「そうなの?」


 ヴォックスもサクも真剣にやってるようにしか見えない。騎士なら分かるのだろうか。


「全然サクじゃない」


 私の言葉にユツィが笑う。ヴォックスに手も足もでなくて鍛練を始めた時のサクはどこにもいない。


「クラス、そろそろ良いのでは?」

「え?」

「サクも来たことです。外に出てみてはいかがです?」


 形としてはここに軟禁みたいな形をとっている。けど、実際早くに外出許可は出ていた。執行猶予というやつだ。まあサクが冤罪を晴らしてくれた時点で執行猶予もなにもないし、ここからいつでも出ていいのだろうけど。


「今日の一騎打ちと関係ないじゃない」

「おや、このままアチェンディーテ公爵が勝つと当面彼がしつこく一緒に暮らそうとしますよ?」

「うぐ」


 サクのことよく分かってる。負けても同じことだろうけど。


「折角です。外出に慣れた暁には私とヴォックスの所へ来て下さい。なにかあった時の避難場所として記憶してくれればよいかと」

「避難場所……」

「ええ、サクのしつこさを考えたら一つか二つは控えていてもいいかと」


 そこまで心配することなの? サクそんなにヤバい人になった? まあなにかにつけて鼻血出す姿は引いてるけど。


「おや」

「どうした、の?」


 ユツィと話していたら目の前の一騎打ちで動きがでる。

 足場がぬかるんでいたのか少し足がずれこんだヴォックスの隙をついてサクが仕掛けた。

 一瞬で立て直すもサクが攻めたのが早かったようで、ヴォックスはそのまま押されて尻餅をついた。サクの木刀がヴォックスの目前で止まる。


「そこまで」


 サクの勝利だった。一息吐いた後、片手を額に当てる。


「ふふふ」


 天を仰いで笑った。


「……これで結婚できる」


 いやいやこの戦いが終わったら結婚するなんて言ってない。勝手にやってたでしょ。保証人の欄に名前書けとヴォックスに言ってる。話進めないでよ。


「ふむ。アチェンディーテ公爵」

「なに?」

「私と一戦お願いできますか?」

「いいけど」


 ユツィがやる気になった。ヴォックスから木刀を貰い、サクと相対する。


「ここで私が勝てば、私がクラスに相応しいという事ですね?」

「まあそうなりますが、ヴォックスより弱いのでは?」

「そこは確かめて下さい」


 にっこり笑って構えるユツィからいつもはないひりついたものを感じた。


「まあ見ていろ」


 ヴォックスが隣で微笑んだ。

 妙だと思いつつ、それは結果となって現れる。


「……嘘だろ」

「というわけで、私が一番クラスに相応しいとなりましたね!」


 ユツィったら一番を強調した。地面に這いつくばってるサクの手に力が入る。歯噛みもしたようだった。


「私の妻は強いだろう?」

「試合に勝ったって」

「その一回だけだな」

「はあ?」

「後にも先にもその一回だけしか勝てていない。それ以外は負け続けている」

「っのやろう」


 そういえばサクの言葉遣いが崩れてる気がする。十年前のようで懐かしい。

 呼ぶとはっとしてすぐ笑顔に戻った。けど今は眉を八の字にして困っている。


「申し訳ありません」

「謝ることじゃないよ?」


 けど負けましたとしょんぼりしている。相手は歴史に残る英雄なのだから、そう簡単にはいかないと思っていた。あそこまで強いのは私も想像してなかったけど。


「サクすごく強くなっててびっくりした」

「本当ですか? 結婚したくなるぐらい?」


 さりげなく結婚が入ってくる。


「結婚は置いておいて、サクが強くなったと思ったのは本当だよ?」

「クラス」

「頑張ったのね」


 私の知らない十年、騎士としての鍛練を積んでいた。それはすごいことだ。


「サク格好よかった」

「本当ですか?」

「うん」

「なら結婚」

「それは話が別」


 膝から崩れた。

 書類まで用意してきていて、後少しだったのにと悔しがっている。

 今回の一騎打ちで結婚するなんて言ってないんだってば。

 サクのことは諦めてヴォックスとユツィを誘って部屋でお茶を飲むことにした。なんだか色々あって疲れる。

ふおおギリ更新でした…! 安定の勝てない(笑)。そしてユツィが全部持っていくスタイル。

ちょっとかわいそうかもしれないと思って下さった優しい方もこの結果もいいよね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ