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元ツンデレ現変態ストーカーと亡き公国の魔女  作者:
2章 変態宰相公爵の、魔女への溺愛ストーカー記録
51/103

51話 十年越しの一騎打ち

「随分大人しいですね?」

「ん?」


 横抱きにされたら抵抗されると思っていたらしい。気持ちとしては抵抗したいけど、したら落ちるかもしれないし、落ちていたい思いはしたくない。だから黙って運ばれると言えばサクが納得する。


「可愛いからいいんですけど」


 一瞬鼻血が落ちてくるのではと見上げたけど堪えていた。両手塞がってるから垂らしたら私に降りかかる。絶賛耐えてほしい。


「ユツィかな?」

「ん?」


 ここに来てから第一皇太子や皇太子妃の邪魔も入らず割と自由になったら、サクみたくユツィが過保護ぎみになった。

 それこそ今のように川には入らないよう抱っこされたり、熊が出た時はユツィが立ち向かいヴォックスに抱えられ逃げ切ったり扱いが少し変わった気がする。

 割とあの夫婦は私を抱えたがりな気がした。で、いつも二人顔を合わせて軽すぎるとかなんとか言って話し込むのが常だった気がする。


「ユースティーツィアとヴォックス?」

「そうだね」

「ユースティーツィアはまだしもヴォックスが?」

「ここでの暮らしが心配みたいで、なにかにつけて」

「なにかにつけてお姫様抱っこしてきたんですか奴は」


 空気が不穏になった。笑顔なのに纏う雰囲気が不機嫌な気がする。


「抱っこはそんなになかったよ? 重いものはよく持ってくれてたけど」


 食料運び込む時とか、力仕事で言うなら薪割りとか? なんだかんだ定期的な訪問時には二人してあちらこちら整えてくれた。


「クラスを甘やかしていた事には変わりません。それは僕の役目なのに」


 曲解してない? 甘やかすってなったらここで一人で暮らすことはさせないでしょ。

 ここでの暮らしをよしとしてくれたのは三人が私の希望を叶えてくれたからだ。甘やかすなら自分の手元に置くはずだもの。


「やはりもう一度白黒つけるか」


 少し言葉尻が悪くなった。一瞬変わった目付きが十年前と同じで期待してしまう。


「サク」

「ええ、クラス。安心して下さい」

「はい?」


 すぐにいつもの笑顔に戻った。見間違いではないのに、十年前のサクはいつだってすぐいなくなる。


「ヴォックスに決闘を申し込みますね」

「はい?!」


 なぜ今の流れでそうなるの?


「僕がクラスに相応しいと証明して見せます」


 なにをどこで間違えたの?

 ドラゴンとフェンリルに助けを求めて顔を向けても二人は首を横に振るだけだった。

 どうしてこうなった。



* * *



「クラス!」

「ユツィ」

「お変わりありませんか?」


 サクが来てからユツィに会うのは初めてだった。これで第三者からサクがサクか確かめられる。

 ヴォックスとサクが話してるのを尻目にユツィの耳に寄せて囁く。内緒話もサク嫌がりそうだけど、それどころじゃない。


「ユツィ、あれサクなの?」

「はい、アチェンディーテ公爵で間違いありませんよ」


 どうかしたのかとユツィに聞かれたので、変わりすぎてサクとは思えないと素直に伝えた。ユツィはふむと顎に手を当て考える。ヴォックスに相対するサクは笑顔だ。不穏な空気ではあるけど、あんな愛想のよさはなかった。


「美丈夫になりましたし、クラスが戸惑うのも無理はありません」

「違うの、あんな風に笑わなかったでしょ?」

「ああ、彼も処世術を学んだのですよ。愛想を得たと言いますか……中身は変わってません」


 以前より素直に言葉にするようにはなったかもしれませんがと加えた。素直というレベルじゃないと思うんだけど?


「だってはな」

「ユースティーツィア」

「どうしました」

「立ち会いを頼む」


 鼻血のことをきこうとしたら遮られる。サクは有言実行する気で訓練用の木刀まで用意していた。ヴォックスもユツィもなにも疑問に思ってないらしい。どういうことなの。


「どうする?」

「一本とれるかどうかで」

「分かった」


 どうして決闘に寛大なの。木刀だから訓練の意味合い強そうだけど、十年前とは違うでしょ。


「ユツィ、止め」

「クラス」


 サクが笑顔で制してくる。


「きちんと決着つけますね。僕が上かヴォックスが上か」

「いいってば」

一章17、18話辺りですかね~勝手知ったるなんとやらでヴォックスもユツィも対応が生温かいです(笑)。どちらが勝つのやら。

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