26話 サクのプレゼントが一番嬉しい
急にまたなんで、街に出るなんて言い出すの? ここから会合に出るって気持ちになるようご機嫌とるの相当難しい気がしてきた。
「もしや……アチェンディーテ公爵は今からクラスへのプレゼントを用意するつもりで?」
「え?!」
「最近来たばかりのアチェンディーテ公爵がクラスの誕生日を知るはずもないでしょうし」
や、やめて眉間に皺寄った! 今のはサクのプライドに触る。へたに神童してるから知らないことへの執着が半端ない。
「祝いたいなら会合後にすればいいのではないか」
「そうだよ、不参加は本当やめて」
至極もっともなことを言うヴォックスと不参加発言に震えるシレを気にも止めずサクは嫌だと首を振る。
ちらりとシレから視線をもらった。ご機嫌とりはやっぱり私なのね。
「サク、誕生日プレゼントくれるの?」
「…………まあ世話になってるし?」
「そしたらお願いきいてくれる?」
「え?」
「お願い叶えてくれるのがプレゼントっていうのはどう?」
会合終わってからでも大丈夫だから、出てきてとも伝える。
「……」
「サクにしかお願いできないし」
「……俺だけ?」
「うん、サクと一緒にやりたいことあるの」
「…………分かった」
サクのおサボりが阻止できた。無言で万歳してるシレに生温かい雰囲気のヴォックスとユツィ。
サクは国家連合樹立のために来ているんだから役目を果たさないとね。
気が変わらない内にシレにサクを回収してもらった。私はユツィを連れて自分の部屋に皆からもらったプレゼントを置きに戻る。お花を飾ったりしながらサクの帰りを待つとしよう。
* * *
「じゃ、やろうか」
「……なんだ?」
エプロンしてテーブルに広げたあれこれを眺めるサクはすぐになにをするか分かった。
「ハンドクリームか」
「そうそう」
約束してたしね。
「簡単だから」
「……」
「蜜蝋は用意済み、これに植物油を混ぜてお湯で解かす」
お湯はドラゴンとフェンリルが用意してくれてるので簡単だ。
一緒にかき混ぜながら、精油をいくらか出す。今日はどれにしようかな。
「作ったのか」
「精油? 時間ある時にね。好きなの使っていいよ」
「……」
嗅いで戻して切り返す。この中でピンときたのがあったらしい。
「気に入った?」
「ユツィが用意した花と同じだな」
「よく分かったね。私もその香り好き」
「……そうか」
香りを決めたら精油をいれてすぐに他の容器に写す。固まるのを待って終わりだ。
「こんなんでいいのか?」
「うん」
サクはあまり納得していないらしい。
まだアフターフォローが必要かな?
出来立てのハンドクリームが固まったか確認する。よし。
「サク、できたやつ」
手に持たせる。首を傾げるサクに片手を出して、サクが塗ってとお願いした。
「なんだよ、それ」
「えー? タッチセラピーって言葉があるんだよ?」
ドラゴンとフェンリルが教えてくれた。触ることで容態がよくなるとか。
「……分かった」
小さな手が私の手をとって、片方の手が私の手の甲にクリームを塗る。ただ触れて塗るだけなのに、サクの機嫌が直ったように見えた。
サクって意外とお世話焼くの好きなタイプなのかもしれない。
「うん、いい匂い」
塗ってもらった手を寄せて匂いを確かめる。サクが少し照れていた。
「ありがとう、サク。プレゼント、大事に使うね」
「…………おう」
ふふふ、ほっぺた赤いのになんてことないような態度とっちゃって可愛い。
「サクにも塗ってあげる」
「えっ」
「はい、手出して~」
「ま、まて」
「大人しくしててね?」
「子供扱いするな!」
と言いつつもクリーム塗らせてくれるんだよね。
サクのこういうとこが可愛いし癒しだ。
「ふふふ」
笑う私に呆れた様子で一息つき、視線を逸らしたままツンとしている。
「……俺の、一番か?」
「ん?」
「っ」
我に返って今度は耳を赤くした。メルの言葉を気にしているの。しかも無意識にでも言っちゃったのかな?
「サクのが一番だよ」
勢いよく顔を上げた。少し目を開いて驚いている。プレゼントには優劣をつけないけど、今のサクがほしい言葉はこれだろう。事実、顔を上げて合った瞳には虹の光が輝いた。私の一番の言葉が嬉しかったということだ。
「サクのプレゼントが一番嬉しいから、大事に使うね」
「…………おう」
次はきちんと用意するからと囁く。ふふふ、本当に可愛い。そう思ってくれるだけで充分なのに、それ以上をくれる。優しい子なんだなと思うとじんわり胸の内側があたたかくなった。
こうしてツンデレは次のお誕生日に向けて計画をねりねりするのでしたまる、なノリです(笑)。
一番欲しがりなツンデレおいしい(´ρ`)




