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元ツンデレ現変態ストーカーと亡き公国の魔女  作者:
1章 新興国のツンデレショタっ子は魔女に懐かない
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16話 俺だけがいい

「しかも俺以外に手料理振る舞うなよ的な? 独占欲だね~! 可愛い!」

「ば、ちがっ!」


 このスープを二人で食べきるのは相当大変だよ。そう伝えてもサクはぶすっとして視線を逸らす。


「もークラスったら」

「え? なにかまずかった?」


 スープは美味しくできてるよ?


「もうっ鈍感! こういう時は"これからはサクの為だけにご飯作るね"って言ってあげるの!」


 作ってるよと言いたかったけど、それを遮るようにメルが今日みたいな時は特にと念を押してくる。誕生日といった記念日でもないから、なにを元に判断すればいいの?


「う、ん、分かった」


 ひとまず頷いた。メルは仕事があるからそこでお別れして、サクと二人で食事を持って部屋に戻る。

 なんだか二人私の部屋でご飯食べるのが当たり前になってしまった。本当は皇帝との晩餐があるのに、ほとんど私と食べているから断っているはずだ。あまりよくない気がする。


「はい、いただきます」

「……いただきます」


 スープをじっと眺めて静かに掬う。切れ端ばかりで見た目は悪いけど味は確かだ。


「……うまい」

「うん、ありがと」


 意外だったのか、少し目を開いてその後もくもくと食べる。回りの空気がほわほわしてるから、美味しいの合図だ。こうして美味しそうに食べてくれると嬉しい。作ったかいがある。


「パンが焼きたてなら言うことないね」


 上等なパンになったとはいえ、あったかいパンが食べれたら言うことない。


「焼き釜ならあるだろ」

「あれはドゥルケが使ってるし、沢山作る用だからね」

「欲しいのか」


 あ、これはシレやヴォックスに報告あがっちゃうやつだ。やんわり断っておこう 


「今はいいかな? それよりも、ほら、メルたちが前洗濯で話してた水回りの方が大事じゃない?」

「それもそうだな……」


 再び考えるサク。

 よし誤魔化せた。水回りの問題は必要だしね。あ、でもこれでまた第一皇太子と口論になったらきついなあ。


「サクの為かあ」

「なんだ?」

「んーん」


 まあ嫌われてないからこその食事風景なんだろうけど、サクが私のご飯をそこまで楽しみにしてるような反応は今までなかった。今日の態度はとても貴重で大事なシーンの気がする。


「サクの為だけに作るって言ったら嬉しい?」

「あいつが言ってた事かよ」

「あいつって……名前はメルだよ。サクにも優しいでしょ?」


 どうだかと肩をすくめる。俺を見て楽しんでるだけだろとも。あんなにメルが気にかけてくれているのの、サクってば冷たい。


「それで、どうなの?」

「きくのかよ」

「きかないと分からないし」

「……」


 やっぱり黙った。いつもツンとしてて素直に言わないからなあ。言えないタイプなら仕方ない。こちらが慣れてなんとなく察していくぐらいしかないかなと思う。


「んー、やっぱりいいよ」


 冷たい視線で否定されても嫌だしね。


「……これ、」

「?」

「これだけでも、俺だけがいい」

「え、これ?」


 今までの料理の中でも一番素朴なのに、これがいいの? お肉とか卵とかそういう方が子供の頃は好きだった気がするんだけど、それって私だけだったのかな。


「あと菓子も食べたい」

「……そう」


 私が驚いているのをちらりと覗いて、なんだよといつも通りツンツンしてきた。頬が赤くなってるから照れてる。


「ふふふ」

「だからなんだよ」

「んーん? ちゃんとサクの為に作るね? お菓子も今度ね」

「…………ん」


 耳まで赤くなった。可愛いなあ。


「あ、でもドラゴンとフェンリルにあげるのは許して?」

「あー、まあそうだな」


 骨とか代わりに食べてくれるしね。

 するとサクがはっとして顔を上げた。赤くしていた頬はどこにもない。


「あいつらどこだ」

「今日は行かなきゃいけないとこあるって言ってたけど」

「チッ、今日に限って」


 急に素行が悪くなった。

 後であいつらしめると囁いているの聞こえてるからやめて。


「ドラゴンとフェンリルがなにかしたの?」

「いつもクラスの側にいるのにいなかった」

「用事がある日はしょうがないよ」

「俺やシレ達がいられない時にあいつらがクラスを守るんだろうが」

「えー?」


 護衛としているわけじゃないし、ヴォックスやシレと会わないようにしているから、普段ついてくることはない。本当に危機があれば駆けつけてくれるだろうけど、強固に守ってもらう約束をしているわけでもないし。

 確かにぱっと見た感じだと守ってくれている風ではあるけど、彼らが介入する前にシレやヴォックスたちが改善してくれた。


「そういう時もあるよ。許してあげて?」

「……けど」

「サクが来てくれたから大丈夫」

「遅かっただろ」


 ぶすっとしてる。

 タイミングよく来たかったんだろうな。そしたら恐ろしい戦いになりそうだし、ちょっと仲が悪いだけでは済まない事態になりかねない。本格的に内戦が起きてしまう。


「サクが私の代わりにいっぱい怒ってくれたし、部屋まで支えてくれたから充分だよ。すごく嬉しかった」

「……そうか?」

「うん、ありがと」

「…………おう」


 照れてる。再び顔を赤くして、視線を逸らす。もうこれは決まった動作だ。サクが恥ずかしがる時は大体同じだから、こういう感じで日々思うことが分かるように表に出して欲しい。


「いいなあ」

「なにがだよ?」

「サクとご飯食べると楽しい」

「楽しい?」

「うん」


 変なこと言うんだな、と言うサクが伏し目がちに笑った気がした。

いらっしゃいませデレ\(^o^)/ おこたまは本当ちょろいですねえ(言い方)。

そしてスープは順当にサク専用お料理になってしまうのでした(笑)。食事もツンデレも二度おいしい。

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