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元ツンデレ現変態ストーカーと亡き公国の魔女  作者:
2章 変態宰相公爵の、魔女への溺愛ストーカー記録
102/103

102話 後日譚

「ふふふふ、結婚……結婚!」


 さっきからその台詞しか言ってない。どうにかならないだろうか。


「駄目よクラス。オッケーしちゃった時点でこうなるのは確定だったわ」

「でも……」

「まあずっとぶつぶつ独り言言ってはニヤけてたら不気味よねえ」

「やめてって言ってもだめで……」


 十年分の思いが叶ったということでサクは今完全な有頂天だった。私の言葉なんて聞く耳すらない。

 晴れて正式に私付きの侍女になったメルがお茶をいれながら感心した様子で私を見る。


「にしてもクラスもよくこっち来たわね。私てっきり故郷にいるままかと思ってたわ」

「私がここ来なかったらメルたちの仕事はどうなるのよ」

「毎日簡単な掃除だけで高額給料貰える。最高じゃない?」

「うーん……」


 メルのお茶を頂くと相変わらず美味しかった。

 私はイルミナルクスのサクの屋敷にいる。結婚するっていうんでどこに住むかを選んだ。

 サクもだけど、色んな人が旧ステラモリスの家ではないのか聞いてきた。私も皆の立場ならそうきくだろう。


「ステラモリスはもうないでしょ」

「サクのことだから、いくらでも復活させられるようにしてたんだしょ? でもクラス断ったって」

「そうだね」


 今、ステラモリスはヴォックスとユツィが領地として賜り、農業と温泉観光を主に管轄している。二人ならステラモリスの人たちとうまくやっていけるだろう。それに爵位を持つ者として領地管理は必要だった。本人たちも拠点をステラモリスにと考えていたからタイミングがよかったのもある。


「あの家もまだあるんでしょ?」

「うん。たまに行ってるよ」


 二人で一年過ごしたあの家はサクと一緒に別荘兼仕事場扱いで利用している。ヴォックスとユツィの領地になったのだから取り壊しもあるかなと思っていたら、一緒に連れてきた騎士たちの治癒の為に場所を残したいということだった。今では定期的に騎士の治癒目的であの家に行っている。毎回サクがついてくるのだけど、そこは仕方ない。というか怪我や病気の騎士たちを威嚇するのはやめてほしいんだけど、いつか直るだろうか。


「今では亡国の聖女様だもんねえ」

「やめてよ」


 確かにヴォックス直轄の騎士たちは魔女さまから聖女さま呼びに変わったけど、私は聖女ではないと何度も言っている。たとえそれが本当の聖女の願うことだとしてもだ。


「残念、クラスが聖女ってのは揺るがないし」

「サク」

「聖女は自ら退いてどの国にも傾かないし影響しないとしたでしょう?」

「まあ、そうなんだけど」


 元々廃止された聖女制度が偶然サクが繋がった兼ね合いで復活した。だからサクは自分で終わりを作り、聖女制度に再び幕を閉じる。それを選んだはいいけど、そこに私がいる必要ないじゃない。


「その方がロマンがあるし?」

「サクのことだからクラスの立場を考えたんでしょ?」


 メルの言うことを否定しないままお茶を口にする。魔女と呼ばれた私が気兼ねなく生きれる為に?


「というよりは僕の所に落ちてくるよう考えたが正しいかな」

「えぐっ」

「うるさいな」


 僕にとっては聖女だったんだと少し拗ねた様子で囁いた。十年前と同じのツンツンなサクはやっぱり可愛い。結局丁寧な口調は直ってないけど、親しい人間のいる前だと十年前が出てくるので、ちょこちょこ癒されている。


「旦那様、マーロン侯爵がお見えです」

「分かった」


 かつての護衛騎士で現執事筆頭のアルトゥムがサクを呼ぶ。海向こうの南の国の代表の名前に顔を上げた。私もと腰を浮かすと大丈夫ですと笑顔でお断りされ、サクだけ屋敷に戻っていった。


「……もう」


 サクは私に公爵夫人としての役割を求めない。外に出さず、今までと同じような引き籠り生活をさせてくれる。結婚したのであれば公爵夫人として少しは役に立てるようにやっていきたいのに。


「相変わらず過保護ね」

「少しは顔出さないと」

「まあ中身が皇子と皇子妃のことだからでしょ」


 もう皇子でもなんでもなかったっけとメルが笑う。

 皇子も皇子妃も、ただのレックスとただのフィクタとして南の収容所にいる。かろうじて新聞から得た情報ではそれは厳しい労働に従事しているとあった。以前のようにどんなことがあっても出られない。二度と会うこともなく嫌な思いをすることもないのに、サクは相変わらず私をあの二人から守ろうとしていた。

 マーロン侯爵はその国の代表としてサクに報告しにきている。生々しい話しか聞かないからか、もしくは過去を思い出してしまうから、サクは私を遠ざけているのかもしれない。そんなのとうに超えたのに。


「甘やかされてる?」

「そりゃそうだけど」


 別に分別つかない子供じゃないし、思い出してトラウマがとかそういうものでもない。一切内容を教えてくれないサクに少し不満を持っている。


「……む」

「クラスったら」


 あ、とメルが視線を外す。私にもお客様が来たようだ。


「ドラゴン、フェンリル」

今日中に最終話UPします!

最後までお付き合い頂けると幸いです。

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