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ポラリスへの片道切符  作者: 阿賀沢 隼尾
第1節 冒険編 第2章 魔女の山編
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第37話 新しい旅

 そこで映像は途切れてしまった。

 それが幻想なのか、それとも、現実なのかは私には全く見分けが付かない。


「フクシア。大丈夫?」

 息が荒立ち、体中から汗が出てくる。


 とても臨場的な映像だった。

「おねぇ、何時間くらいこの淡光晶に触れてた?」

「う~ん。そうねぇ。大体五分くらいかしらね」

「五、五分!?」


 私の感覚だと数時間。

 いや、半日だったのに。

 まさか……。


 そこで、そばにいたネクロマンサーの一人が口を開く。

「それは夢の中だからです」

「夢の中?」

「《妖精の魔眼》の保有者が以前にもそんなことを言っていたな。何か《《妖精の魔眼》保有者にしか見えないものがあるのか? それとも、それが発動条件なのか……」


「この淡光晶はここにしかないの?」

「いや、世界中にあると俺は聞いたことがある。何個あるのかまでは知らないけどな。長なら何か知っているかもしれない。聞いてみるか?」

「もちろん。この淡光晶と私の魔眼の力と何か関係があるのなら、それを暴き出すのが冒険家としての使命って言うものでしょ? ねぇ、おねぇ」

「そうね。冒険家なら自分の好奇心を最優先にしないとね。何よりも、世界の謎を解くのが一番楽しいものね」

「うん!!」


「世界の謎か……」

 彼はぽつりと呟いて、

「この世界にはまだまだ解き明かされていない謎が五万とある。やはり、君たちは冒険家の精神を持っているんだな。その勇気を信じてみよう」

 彼は、「おいで」と手招きをして長のいる部屋に案内をする。


「おお。早かったな」

 部屋にはネクロマンサー達の長が玉座に座っていた。


 私達は片膝をつく。

 一緒にいてくれたネクロマンサーは、一歩前に出て、

「デグ・ログロガス様。彼女たちがログロガス様にお尋ねしたいことがあるそうです」

「ふむ。なんだ?」


 もう。

 この人威圧感凄いんだよね。

 正直に言うと、私この人少し苦手かも。


 だって、この人の出すオーラって独特なんだもん。

『死』の臭いがする。

 悪人でもないけど、善人でも無い。

 不思議な人。


「あのですね。淡光晶と魔眼の関係について知りたいのですが……」

「そうか」

 彼はぼそりとそう言った。


「が、残念だったな。儂がそなたらに教えることなど何もない。淡光晶と魔眼の関係性については何かあると儂も考えておるが、実のところ儂は何も知らぬ。儂が知っておるのは淡光晶は世界に5つしか無いということじゃ。その後のことは何も知らなぬ。すまぬな。で、何か見えたのか?」

「ええ」

「何が見えたのじゃ?」

 心なしか彼の瞳がキラキラ光っているように見える。


 私は淡光晶で見た記憶を想起する。

「悪魔に子供たちが襲われていました」

「ほう。悪魔か……。ちなみに、どんな姿だったのじゃ?」

「頭に長い尻尾。頭には二つの角。肌は真っ黒で真っ赤な両目を持っている」

「なるほど。確かに、伝承の通りの姿だな。淡光晶で視ることが出来るのは確かなようだな。約束通り、一人其方らの旅に一人付かせよう。そうだな。ギル。一緒について行ってくれるか?」


 部屋の端に備えていた一人の青年が影から姿を現した。

 ツンツンの赤髪をした好青年だ。

「よろしくっす」

 か、かるっ!!!!


 本当に信用して良いの?

 この人。


「こいつは表面上はチャラいが、魔術の実力や頭の切れ味は折り紙付きだ。一応これでも俺の組織の幹部だからな。死霊島に連れて行ってくれ。良いな」

「了解っす。それじゃ、デザートタウンを経由してマゼラン王国の港まで連れていけばいんすよね?」

「そうだ。死霊島までついて行ってくれ。そこからどこに行くのかは彼女たちの勝手だが……。まぁきっとアックス大陸の南の国――――アクアライン共和国に行くことになるじゃろうな」


「ということは、そこまでついて行くってことっすか? 長」

「そうじゃ。出来るな?」

「もちろんっす。完璧に任務をこなして見せるっすよ!!」

「ふん。頼もしいな。若さ故か? それじゃ、用意が出来次第出発しろ」

「了解す!!!!」


 **********************************************

 **********************************************

 準備し終え、私達はネクロマンサーの一人を仲間にして再び旅に出る。


 山を下りて目的の場所に。

 旅の途中で大きな野原に出る。

「このまま真っすぐ行けば小さな町に出る。でも、そこの町はもう地図上では存在しないことになっているんだぜ」

 ギルはネクロマンサーの制服に付いているフードを外して言う。


 燃え盛るような赤髪に、瞳。

 そして、陶器のような白く透明感のある肌。

 スリムな体形でかなりの美青年だ。


 白い肌と言えば、死人を思い浮かべるが、彼の肌はからは生気を感じられる。

「存在しない町?」

「そうそう。俺も見たことは一度だけしかないけどよ。これがまぁすげぇわけだ。以前は、世界有数の科学技術力を誇る町だったらしいけどよ。伝染病かなんかがその街の間で流行して完全に無くなっちまったらしい。不思議だろう?」

「伝染病って。それなら他の国にも……」

「いや、他の国では流行らなかったそうだな。なんせ、その街が封鎖したらしいから」


「それって、自分の町を自分たちで封鎖したってこと?」

「ぐっど!! そういうことだ。他の国に流行らせないようにな。まぁ、一種の一時的な鎖国ってことだ。そのせいでその国の国民は感染病に罹って国の経済はがた落ちだ。病が国を亡ぼすいい例だな」

 辺り一面野原の道を進む。


 道は殆ど使われていないというのが一目見て分かるほどがたがただ。

 腰の辺りまである薄緑の草が風に揺られて右へ左へと踊る。

 太陽の光に照らされてとても心地よい。


「あれだ。あれが今となってはもう古い遺跡都市。ガンバルラだ」


 ギルが指を指した方には、赤く錆び斜塔が街の中心に(そび)え立ち、黒い鉄の影が見える。

 ――――腐敗した国家。


 その姿が目の前にはあった。

「あれがかつて世界有数の技術力を誇った科学国家ガンバルラだ」











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