24話 王国の影
王都の北西、王城のすぐ近くにある、王宮と並ぶ豪奢な御屋敷。それがデルオニール伯爵家のタウンハウスだった。
デルオニール伯爵家は、古くから王の主治医として王宮に使えており、先代のゴーチエ・デルオニールが、現王アルベルク・フェルの側近の1人として、共に魔物討伐に参加していた事から、強力な魔法の使い手を産み出す家系として、その地位も揺るぎないものとしていた。それなのに……。
どうしてデルオニール伯爵家の義娘であるこの私、カレン・デルオニールが1人、馬車に乗って帰る羽目になっているのかしら?
カレンは差し伸べる執事の手を払い、馬車から降りると、今生の我が家であるこの豪華な屋敷の、執務室へと足を運んだ。
「ああカレン、おかえり。どうだ?少しは私も役に立っただろ?」
この非常時にも関わらず、執務室のソファで優雅に紅茶を啜るこの男は、トランセッタ・デルオニール。
先日、生徒たちの私物に手をつけた為に学園を追い出されたゴーチエ・デルオニール魔導師の長男で、デルオニール伯爵家の現当主だ。今の国王アルベルク・フェルの主治医でもあるんだけど。
「お義兄さま!ありがとうございます!」
忙しい中、カレンのために、屋敷に帰って来てくれたのよね。
カレンはお茶を啜る義理の兄の膝に縋り着き、その顔を上目遣いに見上げた。
白髪に灰色の瞳の、今年で25歳になる、若く麗しい当主だが、その顔は青白く、逞しさの欠けらも無い。魔術士特有の容姿だといえばそうなのだが、メガネを直し背中をまっすぐに伸ばして紅茶を啜る様子は、見るからに神経質そうで無理。なんだけどぉ――。今は労ってあげないとね!
「お兄様が東の竜の目覚めを早めて下さったおかげで、カレンは恥をかかずに済みましたわ」
そう、カレンのSOSを聞いて、東の悪しき竜の封印を解いてくれたのは、トランセッタお義兄様の指示だった。
お陰で、夜会会場は大混乱。パーティは早々に解散し、オデール伯爵家とデルオニール伯爵家のご令嬢が、ルーカス第2王子殿下を取り合いながら夜会会場に登場!!なんていう、馬鹿げたゴシップネタは、瞬く間に掻き消えた。
「ふむ。これでお前に悪い噂が立つこともなかろう。しかし、イーヴ・プロスペールめ……。デルオニール伯爵家の娘を差し置いて、仕事を優先するなど!」
トランセッタは音も立てずにティーカップを置いた。
まったくその通りよ! でも、イケメンに罪は無いの!
悪いのはリリア・リリベル。……よりにもよって、ようやくエスコートをオッケーしてくれた至高のイケメン、イーヴ・プロスペール様の前で、善良な市民のフリをするなんて!……なんてあざとい子っ!!
カレンはギリリと奥歯を噛み締めた。
「ねえ、お兄様。もう一度リリア・リリベルの事、調べ直しては下さらない?だって、あの娘、オデール家の庭師だったらしいのよ。もしかして、3年前のあの日、オレーリアと一緒に王都に来ていたかもしれないじゃない?」
こうなったら、あの邪魔なオレーリア・オデール共々、消し去ってあげるわ!
「何!?オデール伯爵家だと!?」
デルオニールの人間は、魔法を使えない人間が嫌いだ。オデール家は商人の家系で、戦に出向くこともないし、めちゃくちゃ目の敵にしてるのよね。……金だけは唸るほど持っているオデール家の事が、気に入らないだけかもしれないけど。
ちなみに、エヴラール家は剣の家系であり、デルオニール家の敵では無いという認識だ。
「だがな、リリベル家については、何年も前に既に調べはついているはずだ……。ほら、そこにユーグの報告書もある」
トランセッタは立ち上がると、壁一面に設置された大きな本棚へと向かった。そこには、気持ち悪いくらい綺麗に保存された報告書が並んでいた。
そう、デルオニール家には秘密があるの。古くから王家の影としての役割を担ってきたというね。
密偵は勿論の事、王家に歯向かう者はこっそり始末!なんて事も、昔はやっていたらしい。
でも、今の王様はクリーンな政治を目指してるみたいで、情報の管理は公の機関になり、汚いお仕事は激減。影の存在価値がゼロになる日も近いのかも。
でもね。竜の復活を進めたのは王国上層部の指示なのよ!カレンがちょっと早めちゃったけど。
王都周辺の魔物被害が減らない理由は、四方に封印された竜から溢れ出す魔素のせいだ。だから、竜を復活させ、討伐してしまおう!って、国の偉い人が決めちゃったらしい。
でも、王都の国民を全て避難させるのは難しい。だから、不安を煽らない様、秘密裏に竜を復活させる事になったらしいのだけど。
その汚れ役を請け負うのは、影である、デルオニール家。……といっても、これが最後のお仕事にならないといいけどね。
トランセッタは棚から薄っすい紙束を取ってきて、ソファに座って待つカレンの前で開いた。
「リリア・リリベルについての情報は少ない。何故なら、3年前にリリベル子爵とその妻が亡くなっているからだ。領土視察中の馬車事故であったのだが、娘であるリリア・リリベルは屋敷にいて無事だった様だ。当時12歳だったリリアについては、その存在は屋敷の者しか知らず、その容姿についての明記もない。恐らく屋敷から出た事もなかったのだろう。だから、彼女がリアである可能性はないとの結論だった」
リアを探しているのは、ルーカス殿下だけじゃない。何故なら、3年前、カレンが召喚されたあの日、そこにリアもいたのだから。まあ、不法侵入で投獄されていたんだけどね。
リアは、王城の秘密の通路を通り、この屋敷の地下に迷い込んでいて、見ちゃいけないモノを見たのだ。 でも、あの日はみんなカレンに夢中で、リアの処分は後回しにしていて……翌日牢獄を見たら、消えていたという不始末。
何がなんでも探し出して殺す!って程ではないものの、不安要素は残るって訳。
「確証はあるの?」
「ああ。お前も知っての通り、リリア・リリベルには、兄がいた。今の王国の騎士団長でもある、フェリクス・リンクバルド伯爵の事だが……私はフェリクスと同級生でな。事故当時、共に学園にいたからよく覚えている」
これは初耳ね。苦々しい顔を見るに、トランセッタお兄様とフェリクスは仲が良くはなさそう。
「奴が……フェリクスが、リンクバルド伯爵家の養子となったのも3年前だった。フェリクスはリリベル子爵の死後、あっさりと自分の家名を捨てたって事だ。リリベル子爵家に残されたのは、親を亡くし、兄にも見捨てられた娘リリアのみ。彼女はまだ幼く、後継者となるのは無理だと判断され、リリベル子爵領は国に返還された。子爵家の財産は田舎の小さな屋敷だけとなり、リリア・リリベルはそこに捨て置かれたのだな。……フェリクスめ。妹を捨てておいて、騎士の名を語るなど、豪語同断。誠にけしからん奴だ!」」
トランセッタは、自分は良い兄だろ?とばかりに、カレンを粘着質な目で見つめていた。カレンはそんなキモい兄に微笑みを返してあげた。
リリア・リリベル。まるで悲劇のヒロインね。記憶を無くすほどショックだったの?……可哀想(笑)
「これで分かっただろう。3年前のあの日、平民同然の娘が1人で、この王都に来ていたとは思えない。故に、リリア・リリベルはリアではないという結論だったのだが……オデール家が絡んでいるとなると……違うのか?」
お兄様は立ち上がり、更に棚を漁った。そして、オデール家の資料を眺め、メガネを正した。キラン!
「そうか……リリベル子爵家の領土は、オデール伯爵領と隣接していたのか。ギャストン・オデールめ。領土を手に入れる為に、リリア・リリベルの後継者に名乗り出たというのか?……確かに3年前のあの日、ロザリー婦人はまだ離婚前で、男爵家にいた。娘のオレーリアと息子も共に王都に住んでいたらしいが、あの晩は男爵家ではひと騒動あった為に、家族3人が皆、男爵家にいた事が確認されている。だが、その場にリリア・リリベルがいたという明記はない。しかしな……その時期は一致しないのではないだろうか……」
トランセッタはブツブツ言い始めた。
「ねえ、疑わしいのなら、リリア・リリベルを処分した方がよくない?あの子、平民みたいなものだし、処分しても、大きな騒動にはならないはずよ」
「そうだな。しかし……」
「ねえ、お兄様。オレーリアも一緒に、どこかにおびき寄せて……そうだ!竜に食わせちゃいましょうよ!」
我ながら短絡的。
「それもいいかもしれないが……」
え?いいの?さすが、トランセッタお兄様!
でも、トランセッタの視線はいつまでも定まらない。
「ねえ、お兄様ぁ。やっちゃいましょうよぉ」
「しかしこれは……今一度、ユーグの意見を仰がねばならん!」
チッ。結局それかよ。このブラコンめ。
必死の説得も虚しく、カレンはトランセッタと共に、デルオニール家の地下に降りる事となった。
押し殺した呻き声やすすり泣く声が、隙間風の唸り声の様だった。このデルオニール家の地下牢に捕らえられた奴隷達が出来る、唯一の抵抗だ。
言葉を発すれば、また、体の一部が切り落とされるだけ。それは、与えられた食事を拒否し、死ぬ事を望んでも同じ事。
だから、ここに閉じ込められた人間は、何もせず、ただこの牢獄ですすり泣きながら、痛みに耐えるしかないの。
なんて悲惨な光景なの?……かわいそう(笑)
カレンの笑いをこらえる表情をどうとったのか、トランセッタはカレンの肩に手を回すと、労わるように胸に寄せ、地下牢の前を進んだ。
牢獄の中にある重厚な扉の前で止まると、ランプの火を絞り、勝手に部屋の中へと入る。
そこはもう、牢獄とは別世界。日光こそ入らないけど、上の屋敷よりも豪華絢爛な空間が広がっていた。
部屋の中は薄暗く湿っぽい。でも、森林の様な薬の匂いが全てを浄化してくれている様で、とても居心地がいいの。何より、そこにいる人物が、カレンは大好きだった。
「トランセッタ。眩しいぞ。光を絞れ」
その部屋の主、豪奢なカウチに座り、本を読んでいた美しい男が、おもむろに顔を上げた。
トランセッタと同じ顔をしたこの男の名はユーグ。トランセッタの双子の兄だ。ただ違うのは、その纏う雰囲気と瞳の色。彼の動きはとても優雅で美しい。でもその瞳は灰色を通り越し、白く濁っていた。
カレンはトランセッタの元に駆け寄ると、その目を後ろから塞いでヒールを唱えた。
トランセッタも慌ててランプの火を消し、ユーグの横にある椅子に座って、ユーグの方へと体を乗り出した。
「ユーグ!聞いてくれ。オデールの奴がリリベル子爵領を手にしていた様だぞ!!」
「黙れ、トランセッタ。竜はどうした」
カレンが手を離すと、ユーグは眉間を押す。トランセッタは瞬く間にしゅんとなった。
「ああ、それは成功したさ。ユーグの言った通り、奴隷の四肢を幾つも使ったがな。しかし……」
ブツブツと言う。
ユーグは、はぁとため息をついた。
「成功したのなら何故ここにいる。急ぎ王宮へと向かわないか」
「でも、カレンが……」
「お前は国王の主治医だろ?この大事な時に傍にいなくてどうする。先程、陛下が目を覚ましたとの報告があったぞ」
「……ごめん」
「はあ……。もう、仕方ないな。竜退治については、デルオニールの魔法部隊を、お前の名目で向かわせたから大丈夫だろうが……お前は陛下の元に、急いでこれを持っていけ」
ユーグは薬棚から、泥色の液体の入った瓶を持ってきて、トランセッタに渡した。
「栄養剤だ。陛下に飲ませろ」
「……殺すんじゃなかったのか?」
トランセッタは子供のように首を傾げた。
「陛下は予想以上にしぶとかった様だ。今は治療らしき事をしておかないと怪しまれるだろう。……行け、後の事はカレンの口から直接聞こう」
「分かった。ありがとう、ユーグ」
トランセッタは、まるでしっぽを振る大きなワンコの様に、颯爽と部屋から出て行った。その姿は、伯爵そのもの。中身はへっぽこ。
「……で?何がしたいんだ。つい先程、お前のせいで、急遽、3人の奴隷の手足を差し出したんだ。なのに、復活させた竜の浄化に向かわず、帰って来たとは、どういう事だ?」
ユーグはカウチに腰かけると、優雅に足を組んだ。
カレンはすぐさま、ユーグの好きなお茶の用意を始めた。
「戻ってドレスを着替えようと思ってたの……」
「真っ先にトランセッタの方に行った様だが?……いいか、カレン。トランセッタを騙すような真似はやめろ」
ユーグは頭が良いだけじゃなくて、身も心も美しい。カレンは頬を赤らめて頷いた。
「で?どうして欲しい。聞いてやるから、回りくどい言い方だけはするな」
ユーグは白い髪をかきあげる。その仕草……イイっ!
カレンは、お茶をテーブルに置いてから、自分も座った。
「リリア・リリベルとオレーリア・オデールを消したいの」
「それは出来ないと言ったろ?」
「なぜなの?デルオニール家は、影の工作員をたくさん持ってるんでしょ?少しくらい貸してくれてもいいじゃない」
「デルオニールの影は国の物だ。そのモノらを私的に使えば、陛下が気付かない訳がない。陛下はただでさえ影を使う事に消極的なお方だ。無くそうと必死になるくらいにな……まあ、私が動けるうちはそれが出来ない事も分かっているだろうが」
地味にドヤるユーグお兄様。誰かに褒めてもらたいの?可愛い――。
血筋を守るため、近親相姦を推進してきたデルオニール家には、ユーグの様な暗闇を好む子供が産まれる事が多かった。彼らは影の王としての地位を約束されたが、それを知る者は少ない。だからか、とても寂しがり屋さんなのよね。
「いいか、カレン。影が失われれば、父上のせいで地に落ちたデルオニールの価値が、また更に危うくなる。それこそ、オデール家の思うつぼだぞ」
「でも、オレーリアがルーカス殿下と結婚してしまうのは嫌よ」
ルーカス殿下は、カレンのモノにしたいの。野性的なイケメンとの恋も、素敵じゃない?
「それはないな。オレーリア・オデールはオデール伯爵の娘ではなく、姪だ。すなわち、貴族ではなく、平民だと言うことだ。この先オデール伯爵家の養女として迎え入れられるかもしれないが、それでもルーカス殿下とは釣り合わないなだろう」
「でも、それはカレンも同じでしょ?カレンも養女だし」
「同じではないが、ルーカス殿下を落とすのは難しいだろう。だから、お前はヴィクトル第一王子を落とせばいい。陛下は近いうちに亡くなる予定だ。そしてその後、王となるのは、ヴィクトル殿下でなくてはならない。聖女であるお前がそれを支えれると言えば、国民も納得するだろう」
は?何を言い出すのかしら?
「嫌よ!あんな話も通じないような馬鹿とは、結婚したくないわ」
「馬鹿な男ほど、扱いやすいものだぞ?トランセッタのようにな。……さあ、もう出ていけ。騒がしいのは嫌いなんだ」
『カレン、この偉そうな人間を黙らせろ。不愉快だ』
いつの間に目覚めたのか、ハガルの声がした。ハガルったら、カレンの事、心配してくれるの?ならカレン、頑張っちゃおっかな。
カレンはニコリと笑うと、ユーグの方へと歩み寄った。そしてユーグの体に密着するように、横に座った。ユーグがピクリと動く。
「……いいの?私にそんな事を言って」
カレンはユーグの太ももに手を這わせた。
「確かに、カレンを召喚したのはユーグだし、この世界の事、何も分からないカレンの面倒を見てくれたのもユーグよ。でもね、今、私がいなくなると困るのは、ユーグ、あなたの方じゃない?」
「……何を言い出すんだ、この、不届き者が」
「ユーグ。あなた、この先、勘だけで妖精を狩るつもり?」
感覚の鋭いユーグには、精霊が見える。でも、妖精は見えない。なのに、精霊の流れを読んで、妖精を捕まえる事が出来たのだ。今までは……。
「それはどういう意味だ?」
ユーグの足に力が入ったのが感じ取れる。カレンはは緊張を解してあげたくて、優しくそれを撫でてあげた。
「その目、もう殆ど見えないんじゃないかなぁって、カレン思ったんだけど?……ねえ、ユーグ。精霊も見えなくなってしまったらどうするつもりなの?カレンがいないと、回復も見込めないんでしょ?」
「何が言いたい……」
「妖精が狩れないと困るよね。だって、デルオニール家の尖鋭魔道士には、妖精が必要だし?」
魔道士になるには妖精を味方につける事が必須。だから、それを偶然じゃなく、必然にすればいい。そう考えたのはユーグだ。
妖精を充てがえば、百ぱー魔道士になれる。……そんな事、妖精を見えもしない人間が考えつくなんて凄くない?ユーグの感覚が桁外れだって事よ。
「妖精の羽さえあれば、誰でも妖精を見ることが出来る。狩ることも問題ないはずだ」
羽をちぎる事を考えたのもユーグ。ユーグったら……素敵すぎ。
「でも、妖精はすぐに消えるわよ?いいの?そんな不確かな方法で。妖精が見えるのは、カレンだけなのよ?」
ほら、この部屋の暗がりにある沢山のビン。その中には片羽の妖精が入っているけどね。それを用意出来るのは全て、カレンのお陰なのよ!
「……」
あら?ユーグお兄様ったら黙り込んで、拗ねちゃったの?眉間に皺を寄せて……そんな顔も好み。
カレンはユーグの肩に手を回すと、その綺麗な顔に唇を近づけた。
「ふふっ。大丈夫、心配しないで。カレンはユーグお兄様が大好きなの。治療もしてあげるし、これからも妖精をたくさん取ってきてあげる。だから、ユーグお兄様。カレンのお願い、聞いてくれるよね?」
ユーグは抗いもせず、カレンを受け入れてくれる。カレンは嬉しくてユーグの唇を舐めた。
ビクビクと動く身体。若くて……なんて可愛いの?
ユーグが震える手で、カレンを押しのけたのは、それから少し経ってからの事。
「……竜が街中を闊歩する事があれば、令嬢が死ぬ事もあるだろう。しばらくはお前の好きにするといい」
カレンは思いっ切りユーグを堪能してから、学園へと向かった。そこに、学園の生徒達が集まって来ているとの情報が入ったからだ。
「学園の生徒まで招集されるなんて!東の竜はそんなに危険な状態なの!?」
「私たちが国を守るんだ!」
皆が殺気立っていた。
王国騎士団も大した事ないのね。おかげで、邪魔者の処分もはかどりそう(笑)
「カレン様はどうか、怪我人の治療を!」
「いや、浄化魔法を!少しでも竜を弱らせる事が出来れば、我々の魔法も通るかもしれない。カレン様、どうか、東門まで来てはくれませんか?」
「カレン様!王都を救えるのは、貴方だけなのです!」
みんな、カレンがいなきゃダメなの?仕方ないわね……。
「カレン、とても怖いけど……頑張ってみるわ!だって、みんなを助けたいから!!」
震える両手を組んで、涙をポロリ。
「「聖女様――!!」」
なんてチョロいの?
東門までは行ってあげる。でも、その後は……カレン、気絶しちゃうかも。
今日も、よく眠れそう(笑)




