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運極さんが通る  作者: スウ
世界ランキング闘技大会編
49/127

世界戦④



 昨日のお風呂は気持ちよかったなぁ。

 今思うとあれは露天風呂だね。

 雪もチラチラ降ってて綺麗な眺めだった。

 今日も入れるといいなぁ。




『本日の試合は正午からです。今試合に勝てば、準決勝進出となります。全力を尽くして頑張ってください。』


 お!準決勝か…早いね。

 多分当たるとしたら日本勢当たりではないだろうか。

 皆生き残っているしね。

 あのカインも…。





 屋台で買ったケバブを食べながら1人で寂しく試合観戦をしていると、カインがやって来た。

「るし、…もぐもぐ…おふぁよ。」

 口いっぱいにポテトを詰め込んでいた。

「カイン、座って食べて。試合はいつから?」

「それは…むぐっ……ゴホッ」

 私の問に応えようと口の中にあったものを飲み込もうとするが、喉に引っかかったようだ。

 相変わらずのおっちょこちょい。

「今日はもう終わったんだ。初戦な?ちゃんと勝ったぜ。」

 おお。

 カイン、やるではないか。

 流石、やる時はやる男だ。

 これでカインのベスト4は決まったも同然。

 だけど、少し暗い顔をしている。

「それで、相手はどんな奴だったんだ?私はカインの活躍を聞きたいな!」

 その言葉に少し固まるカイン。

 どうしたのだろう。

「…実はな、不戦勝だったんだ。」

「何で?」

「相手が交通事故にあったみたいでさ。ゲームやれる状態じゃなかったんだってさ。」

 なるほど。

 そういうことはあると思う。

 だから少しやり切れない顔をしていたんだね。

「それは…気の毒だったと思う。それにその人、絶対に悔しい想いをしていると思うんだ…。だから、その人の分もカインが頑張るっ!私はそう思う。」

「ありがとう。…るしがそう言ってくれるとなんか救われる気がする。」

 と言って、またポテトを食べ始めた。

 やけ食いとかかな。

 何にせよ、気を紛らすにはいい方法かもね。





「お!やばくね?ジャンヌとヴェティが当たってるぞ?」

 マジすか。

 ここで日本同士が当たるとは。

「るしはどっちが勝つと思う?」

「ジャンヌ。」

「即答ですか。」

 当たり前だ。

 ヴェティはあの大技を使うためには長い詠唱を唱えなければいけない。

 ジャンヌは筋力と俊敏力に極振りしているため、ヴェティに詠唱を唱えさせる時間を与えないだろう。

 だからジャンヌの勝ちだ。






「例え仲間だろうと容赦しませんよ?」

「それは僕のセリフだ。」

 開始直後にジャンヌはヴェティとの距離を縮めに入った。

 だが、それをヴェティが簡単に許すはずもなく、

火壁(ファイヤーウォール)

 ジャンヌの周りに炎の高い壁を貼った。

 ジャンヌはSTR、SPDに極振りしているため、MNDは0。

 いい攻撃手段だと思う。

「I hope.Fall meteor.「 魂の断罪 」

 直後、詠唱を遮るように空中に光る十字架が現れた。

 そして、それはヴェティに突き刺さろうと落ちてくる。

「…っ!シールド展開!ディフェンスアップ!!」

 両手を上げると、ヴェティの眼前に大きな膜のようなものが生成された。

 十字架はそれに遮られヴェティに突き刺されないでいる。

「…くぅぅ!!」

 膜を維持するのが辛いようだ。

 だが、膜が無くなれば終わり。

 顔を歪ませ、額から吹き出す汗がポタポタと地面に落ちていくのが見える。

 ヴェティは十字架に気を取られてジャンヌの接近に気づけていない。

 ジャンヌはハンマーをヴェティの腹に叩きつけた。

「かはっ…!」

 口から血を吐き、数m吹っ飛ばされて地面に打ちつけられた。

「ひ…ヒール。」

 ヴェティの身体を暖かい光が包む。

 そうはさせるかと、ジャンヌがハンマーを振るうが、それを杖が受け止めた。

「やるじゃないですか。」

「でしょ?」

 彼女達は互いに笑い合う。

「火柱。」

「スピード・アップ。」

 足元から上がる火柱を避け、ハンマーを叩きつけようとするが、それを杖が受け止める。


 ミシミシッピキッ!!

「なっ!?」

「私、筋力が高いんです。ある意味、筋力=攻撃力って、知ってます?」


 バキッ

 杖が折れ、ハンマーがヴェティの顔に直撃する。

 鼻から大量の血を流し、地に伏した。

「流石に私は仲間をペチャンコにするつもりはありませんよ?」

 と言って、ヴェティのローブを掴み、場外に投げた。






「うー負けたぁ。」

「ふふ、勝ちました。」

「「おつかれ。」」

 ベスト4進出はジャンヌ。

「ヴェティ、まだ終わりではないですよ?5位の座を勝ち取るまでが世界戦です。日本で椅子を5脚取りましょう!!」

「…だね。僕頑張るよ!」

 ガシッと熱い握手を交わす2人。

 先程までの戦いがまるで無かったかのように見えてしまう。

「…皆…おはよ…。」

 眠たげな目を擦りながらNoelがやって来た。

「Noel、試合は何時?」

「…もう…終わった…勝った…よ…?」

 Noelも最初の方だったんだね。

 これで日本勢3人がベスト4進出。

 私もこの波に乗らなければ。

 時計を見ると、11時45分。

 そろそろだ。

「私、次だから行くね?」

「おう!頑張ってこい!」

「応援しています!」

「…フレー…フレー…。」

「僕の分も勝ってきてね。」

 仲間達に背を押され、場内に入った。





『世界戦ベスト4の椅子を懸けた最後の戦いを見せてくれるのは!!日本代表、軍服、るしVSギリシャ代表、勇者、ソリステア!!』


『日本はもう椅子3つは確定ですからねー。るし選手が取ってしまうと、ベスト4は日本で占領されてしまいますね!!ソリステア選手、勇者という二つ名通り奇跡を起こすことが出来るか!?』



 勇者…いいなぁ。

 カッコイイ二つ名だ。

 もしかして、種族が勇者だったりして。

【鑑定】だ。


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 種族 ヒューマン ☆3

 名前 ソリステア

 Lv10


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 ヒューマンということは、性格が勇者とかだったりしてね。

 スキルだったら…ここまで来た相手だから、少し様子見で行こう。


『go!!!』


 満月(みちづき)に手をかけて、どう動くか観察する。

 勇者は腰に掛かっている剣を抜いて、何を思ったのか語りかけてきた。

「るしさん。俺は貴方のことを尊敬しています。」

 何を言い出すんだコイツは。

 少し間を開け、

「だけど!僕は貴方の凄惨な倒し方を認める訳にはいかない!相手は人なんですよ!?何であんな事が出来るんですか?」

 …なるほど。

 だから勇者なんだね。

 まだ話が続きそうだし聞いてみよう。

「もっと別のやり方があったんじゃないですか?貴方のような実力がある人なら、相手を傷つけずに場外に飛ばすことなんて造作もない事じゃないんですか!!」

 実力っていうか、装備の力だよね。

 …相手を傷つけずっていうのは、相手も納得しないと思うんだよね。

 なんというか、心がスカッとしないと思うんだ。

 あと、ここまで来た人に全力でぶつからないということは、馬鹿にしてるってことに当たるんだよね。

 私はその事を本戦の時にカインに気付かされた。

 正面から戦って、打ち勝つというのが相手に対する最大の礼儀。

 それを分かってないなんて、まるで何日か前の私を見ているようだ。

「だから僕は…僕は貴方を倒す!貴方を倒して今まで貴方が倒してきた人達に謝らせる!!」


「「「わぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!」」」


 あぁ、観客達を持っていかれた。


「もっと言ってやれ!!」


「流石勇者!!」


「俺達の気持ち分かってるじゃないか!」


「確かに、凄惨すぎたな。」


「俺、トラウマから抜け出せねぇよ。」


「この黄猿の癖に!!」


「勇者!もっと言ってやれ!!」


「軍服、死ね!」


「これまでの事悪いと思うんなら自分で場外まで行けっつの!!」


「「「ブーブー!!」」」


『おぉ、るし選手に大ブーイングだ!!』


『流石勇者。民衆の心を掴むのが上手いですねぇ!!』


「「「勇者!!」」」


「「「勇者!!」」」


「「「勇者!!」」」


「「「勇者!!」」」


 綺麗事だね。

 私はこういう人が嫌いだ。

 多分同族嫌悪というやつだろう。

 こういう立場にたった人から私を見ると、私も勇者みたいに見えるのだろうか。

「勇者という名誉ある二つ名を、貰ったからには僕は1位をとるしかない!!目の前の悪の進撃を止めるしかない!!だから僕が!この僕が今ここで軍服!貴方の歩みを止める!!!」


「「「わぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!」」」




 君が勇者なら、私は悪役に徹しましょう。

【神域拡張】の色彩を透明から黒に。

  周りの地面が黒くなり、空から羽が落ちてくる。

 翼機能をonに。

 黒い漆黒の翼が顕れる。

 武器は神槍(ゲイ・ボルグ)に。


「…いいだろう。全力でかかってこい、勇者。貴様が私を殺すというのなら、私が全力で答えてやろう。貴様が私を悪というのなら、私は全力で悪に徹しよう。」


 ザワザワと揺れていた会場は一気に静まり返った。

 うん、怖がられているね。

 ここで、更に追撃として軍服のパッシブスキル【王の威圧】をonにする。

「ひ…ヒィィィィッ!!」

 勇者は情けない声を出し、臀部を地面に擦り付けながら逃げようと後ろを向いた。

 …勇者だろ?

 もっと輝かないと。

 ここは少し煽ってさっきの元気を取り戻してやろう。

「ん?どうした勇者。貴様は口だけ勇者だったのか?私を殺して、負けていった者達に土下座させ、謝らせるんじゃなかったのか?貴様の覚悟はその程度だったのか?」

「くっ…ぐううぅぅ!!!」

 私の言葉に顔を赤らめる勇者。

 そして、強ばる身体に叱咤をうち、剣を持ってかけだしてきた。

「うぉぉぉぉぉおおおお!!!僕は!僕は負けられないんだァァァ!!!」

 流石、ここまで登ってきただけはある。

 その立ち直りの早さは賞賛に値する。


 でも、

「遅い。」

 神槍(ゲイ・ボルグ)の先を勇者が私に到達する前に、勇者に突き刺した。

 その瞬間。

 勇者の動きが止まった。

「ぐ…ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああ!!」

 何故なら、勇者の身体から30本の棘が生えていたから。

 おおう。

 グロイね。

 血が槍を伝って滴り落ちている。

「か…かふっ…」

 そして、勇者は死んだ。

「はぁ、今代の勇者は弱いな。」



『し…試合終了!!るし選手の勝利!あっという間の試合でしたぁぁ!!ゾッワゾワしました!!』


『ベスト4進出おめでとうございます!!棘が身体から生えてくるなんて恐ろしいですね!!鳥肌が立ちました!そして、ソリステアさん!ドンマイでした!!「だから僕は…僕は貴方を倒す!貴方を倒して今まで貴方が倒してきた人達に謝らせる!!」良い宣言でした。少し期待したのですが…あ、両者とも、お疲れ様でしたぁぁ!!!』



 今日はもう疲れたからログアウトしよう。

 掲示板は荒れそうだから、今日は見ないでおこう。

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