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運極さんが通る  作者: スウ
世界ランキング闘技大会編
40/127

本戦③


 

『やって参りましたァ!!ダブルマッチ最終戦!これに勝てば準々決勝進出だぁぁっ!!』


『一試合目は昨日の試合を騒がせた風の鎧&圧殺君ペア VS 妄姫&人形使(マリオネット)いよぉっ!!一試合目から盛り上がりそうね!!』



 石畳を上がる。

 これを勝てば明日に進める。

 それにしても、妄姫って呼ばれた人…何か見たことあるような、ないようなぁ。

「そこの貴方!るしって名前らしいわね。私、るしって名前を聞くだけで肌が荒れるのよ。貴方、名前を改名してはよくて?あのゴブリン女と同じ名前なんて、災難だったわね!!」

 ん?

 このキンキンな喋り口調…何処かで…。

【鑑定】すれば、何かを思い出すかも。


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 種族 化姫 ☆6

 名前 姫るん

 Lv10


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 あー。

 記憶の扉が開いた。

 この特徴的な名前、知ってるわ。

 冠女さんじゃないか。

 こりゃ、手加減は出来ないな。

 元よりするつもりもないんだけどね。

「るし、本気で行くんだよな?」

「うん。もちろんだよ。」



『go!!!』



 装備を◈黒龍の装備一式に変える。


『おーっとぉ!!開始直後から全装備変更(フルチェンジ)が来たぁ!!』


『な、ななんと、風の鎧選手の正体は、やはり、あの噂の「軍服」だぁぁ!!!』


「「「きゃ〜〜〜!!軍服様ぁ!!」」」


 ちゃんと白い仮面も装備しているから顔バレはしないはずだ。

「さて、征くぞ、カイン。」

「…。」

 カインから返事が返ってこない。

「カイン?」

「はっ…。あまりの衝撃にちょっと意識飛んでたわ。お前…まさかとは思ってたけど、本物だったんだな。」

 目をキラキラさせるカイン。

 急にどうしたんだろ。

 だが、今はそんなことはどうでもいい。

「カイン。しっかりしろ。そら、征くぞ。」

「お…おう。お前…なんか、口調変わってるぞ?」

 鞘から満月(みちづき)を抜く。

 揺れる刀身が顕になる。

「いざ、推して参る。」


 シャン


 満月(みちづき)でゆっくりと空を切る。

「何やってんの?あの軍服、あのぎょふぇあっっ!!」

 ボタボタと冠女の腹から内臓が爛れ落ちる。

「き…きゃぁぁぁぁぁぁあっ!!痛い痛いイタイイタイイタイッッ!!」

 使ったスキルは【残月】。

 空気を振動させて攻撃する遠距離型攻撃スキル。

 首を落とすつもりだったんだけど、使ったことのないスキルだったから、少し手が狂ってしまったようだ。

 もう3回ほどやってみよう。

「貴方っ!!そんな非人道的なことをしでいいと思ってるの?私は選ばれた存在よっ!?そこんじょそこらの☆3の間抜けどもとは別格なのよ!!そうよ!私は世界大戦まで行ける種族レア度なのよっ!?」

 キィキィと鳴く声は耳障りだ。

「五月蝿いな。冠女、貴様はジンを馬鹿にした。そして、私の友人達を馬鹿にするような言動、許し難い罪である。だから、貴様は私には黙って殺されろ。せめて、死ぬ時くらいは美しく死ね。」


 シャン

 シャン

 シャン


 3振り。

避けるまもなく全てが冠女の身体にヒットする。

 冠女のHPバーが0になったようで、金色の粉に変わっていった。

 残るは人形使(マリオネット)い。

 そちらは既に、【欠月】を掛けてあるため、幻の中にいる。

 顔がニヤニヤしているため、今頃は、自分の思い通りにことが進んでいる夢を見ているのだろう。

 近くまで行き、【蹴り技】を発動させ、思いっきり腹を蹴る。


 ドコォッン

 大きく鎧が凹む音がし、弧を描きながら場外に飛んでいった。

「ふむ。手応えがなかったな。カイン、勝ったぞ?」

「…。」

 大きく口をあんぐりさせて硬直しているカイン。

静まり返る会場。



『は…し、試合しゅーりょぉぉー!!まさに圧倒的!俺、軍服のファンになったぜ!!能ある鷹は爪を隠すってなっ!!』


『彼…初心者よね?初心者用の序盤装備が終盤でも活躍出来る軍服にどうやって変身するのかが不思議だわ。でも私っ!、こういう一方的な試合も好きよっ!!準々決勝進出おめでとぉぉ!!!』



「「「わぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!」」」






「るし、俺…俺はお前と一緒に戦えてよかったよっ!!ありがとなっ。」

 ずいっと顔を近づけるカイン。

 近い、近いって。

「私もカインと一緒に戦えてよかった。明日はお互い敵同士だな。もし当たったら、手加減はしない。」

「おう!じゃあな!俺は今から明日に向けて作戦を練ってくるわ!」

 カインは大通りの方に走っていった。






 広場を歩いていると、チラチラと視線が飛んでくる。

 まぁ、軍服のまま歩いているからね。

 公の場で装備を披露したから、少しはヘイトに対して気持ちを整えれたけど、でも、まだ恐いかな。



「軍服だ。」

「やばい、サイン欲しい。」

「けっ、調子に乗りやがって。」

「仮面とったらどんな顔してんのかな。」

「カッコイイ!」

「誰か喋りかけてこいよ。」

 ヒソヒソヒソヒソ



 うーん。

 なんとも居心地が悪い。

 仮面をしているお陰で心が守られてる感じがするけど、耳は守られていないんだよな。

 喉が変な緊張でカラカラだ。

 そういえば、広場の屋台にアイスを売っている店があったな。

 それを買ってベンチで寛いでいよう。

 長くいれば皆も飽きてくるでしょ。



「オジサン!コーンで、オレンジアイスを一つ下さい。」

「まいどっ!お、アンタ、例の噂になっている軍服さんだね?なら、オマケでもう一つやるよ。」

 オマケ…やったぁ!

 オジサン、何て太っ腹な人なんだ。

 さて、ベンチでアイスを食べながらゆっくりと寛ごうかね。

 ベンチの方に歩きだそうとすると、ガシリと肩を掴まれた。

 誰だろ?オジサンかな?

 振り返ると、

「貴方っ!あのゴブリン女だったのね!?よくも私をさっき殺してくれたわね。今日という今日は許しませんわっ!!」

 冠女でした。

 しかも、アイスを地面に叩き落としやがりました。

 解せぬ。

 アイスにいったい何の恨みがあるというのか。

 食べるのを楽しみにしてたのに。

「あのです「おいおい!うちのアイスを買った客からアイスを叩き落とすなんていったいアンタはどういう性格してんだ?あ?」

 私がなにか言おうとすると、アイス屋のオジサンが額に青筋を浮かべて出てきた。

「軍服さん、これ、新しいアイス持ってきたから、あそこのベンチで座って食べててくれ。俺はこの女に言いたいことがあるんでな。」

 オジサン、笑顔を作っているけど、目が笑ってないよ。

 私はオジサンからアイスを受け取り、そさくさとベンチに行く。

「ちょっと、ゴブリン女!まだ話が」

「おい、性悪女。アンタ、人様の食べ物を地面に叩き落としておいて謝りもしねぇのか?人には人に対する礼儀ってもんがあるだろ?アンタはそれをわかっちゃいねぇ。」

「店主、黙っていて下さい!私はあの女に言わなくてはいけないことが山ほどあるのですわ!」


 バシッ

 オジサンの愛のビンタが冠女に炸裂した。

「お前な…。」






 そこから約30分もの長い説教をあの冠女にし、とうとう泣かせるまでに至ったオジサンは、すごい人だった。

 いやぁ、スッキリした。

 さてと、家に帰るとしますかな。




「るしー!お疲れー!!」

 背後から抱き着いてきたのは…ジンんん!!

 あぁ、可愛いなぁ。

「お、お疲れ。カッコよかったぜ?」

「るしの軍服姿を初めて見たが、あれは王の気品が溢れていたな。」

「るし様、今日は家で宴です!」

 宴って…また屋台のやつを沢山買ってきたんでしょ。

 もうお財布が軽いよ。

 今度からはギムレットにお金は預けられないな。

 そんな私の気持ちを察したのか、

「あ、貨幣を創ります?」

「ダメ!」

 ギムレット、まさかだけど、創ってたの?

 貨幣の勝手な鋳造は経済破綻を促します。

 辞めようね?


 アイテムボックスから屋台の品々を出し始めるギムレット。

 コップを5人分出し、オレンジジュースや、お茶を入れていく。

 それを一つずつ皆で手に持つ。

「えーと、私がここまで勝ち残れたのは、皆の応援のお陰です。ヴィネとの対人戦の練習がとても役に立ちました。ジンとウォッカからは、武器を借りました。ギムレットからはいっぱいの愛情を貰いました。皆、ありがと。まだ大会は終わってないから、まだまだ応援宜しくね。えと……頭が真っ白になっちゃった。…うん、私、頑張るからっ。えと、それじゃ、明日に向けて、英気を養おうじゃないか!カンパーイ。」


「「「「カンパーイ!!」」」」

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