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マテリアルドライブ2~僕の切り札はご先祖様~  作者: ユーリアル


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58/257

MD2-058「剣閃の先-5」

3日に1回更新ができないか実験中。59は6日夜予定です。



「お、先客かって馬ぁ!?」


「あ、お構いなく」


驚いた声を上げる恐らくは同僚の冒険者に僕は座ったまま声をかける。


今いるのは地下5階の休憩可能な大部屋。


隅でたき火と食事をしていたところに同じように潜っていた

別の冒険者達がやってきた、というわけだ。


彼らは僕達、正確にはその後ろにいる相手を見て驚いている。


まあ、彼の叫んだように馬、ホルコーだ。


宿に預けたままでもいいのだけど、色々あって今回は一緒に連れてきた。


僕とマリーがダンジョン内で死んでしまったならホルコーも路頭に迷うのだ。


であれば必要があれば同行してもらうのに問題は無いかなと。


今回は通路がかなり広いダンジョンであることや、

アイテムボックスを大っぴらに使う訳にもいかないということで

荷物を背負ってもらっている。


最初は台車でも引こうかと思ったのだけど、誰かの手が塞がれてしまうので

戦闘を考えるとよろしくないのだ。


後は、ホルコーもいわゆるレベルアップしてくれないかなという気持ちもある。


今もある程度自分の身を守れそうではあるけど、

強くなれば一緒に外でモンスター相手に挑む、なんてこともできるかもしれない。


道中手に入れた鎧片や研ぎ直しのいる剣等を思った以上に運んでくれるので

報酬が実質無い僕達にとっては良い収入源となってくれそうだった。


「……なるほど、考えたな。それなら手がふさがれない上に量が持って帰れる。

 深く潜らなくてもそこそこ稼げる、か。俺たちも何か考えるかな」


そういって冒険者達は別の場所に野営(外じゃないので微妙だけど)の

準備を始めるようだった。


ついでなので火を貸し、自分たちはもう少し先まで行くことを伝える。


「そうか。6階からは見立ても動きも違う。危なくなる前に撤退も考えるといいと思う。

 お前たちは3人と馬だろ? 手が足りなくなる恐れがあるからな」


「確かに。忠告どうも」


聞けば同じD評価でも3年目だという相手に頭を下げ、

マリーとセリス君の元に戻る。


なんだかんだとまだ5日目だ。


この5階まではこれまで通りに……と言いたいところだけど少し違う。


今日は魔法控えめで突破してきた。


この後を考えて互いの連携や動きを確認したり、調整していたのだ。


「6階からは相手も増えるみたいですからね。どうしましょうか」


「うーん……魔法は遠慮なく使った方がよさそうだね」


「自分は魔法が全くダメなのでお任せします」


簡単な食事を終えて、お腹がこなれるまでの作戦会議。


マリーの指摘するように、ここから先はこれまでとは違うらしい。


先ほどの忠告からいっても、見た目が違うということは

その装備も違うと思った方がいいはずだ。


こうしていると、今日出発前にギルドの受付さんに言われた言葉が頭をよぎる。


人手は多い方がいい、と。


………


……



「今日も3人か? まあ、無理はすんなよ。人手は多いなら多い方がいい。

 分け前が減るって考えるのはまだまだだ。その分荷物持ちを誰かが担当してもいいし、

 その分余裕を持って稼ぐことが出来るんだからな。どうやって増やすかって問題もあるけどよ」


ギルドとしても冒険者が無駄に死ぬのは困る、といった考えはあるのだと思うけど、

かなり本気でこちらを心配してくれていることがわかる。


残念ながら誰がセリス君の味方か敵かもわからないので、

下手に増やせないところだけども……。


浅い階層で達成できそうな依頼だけを受け、

2人の待っているテーブルへ向かう。


どんな相手が妨害に来るかわからないし、そもそも妨害に来るのかもわからないけど、

上の階層をうろうろしていると思わせておく方がいいからね。


昨日と比べてこれといった変化はないギルドを出て目的地へと向かう。


途中で何組か見た冒険者たちは確かに5人、あるいは7人など

僕達からすると大所帯に見えるけど、あのぐらいが普通なんだろう。


危険なモンスターを討伐しようと思えば必要なことだしね。


下手に増やせない以上、今の手札でなんとかするしかないわけで、

今の僕もまた、そのような状況だった。







「そろそろ出発しましょうか」


ぼんやりと休憩がてら出発前の事を考えていた僕。


その間に片づけを終えたマリーに頷き、3人と1頭で6階へと進む。


確かに地下6階は雰囲気が違った。


少しだけど、なんだか通路のつくりも立派なのだ。


誰がこんな場所を作ったのか。


どう考えても不思議だ。


人間の足音と馬の足音が響く。


遠くで別の音がするのはほかの冒険者が戦っている音だろうか?


通路の先から出てきた姿は5。


冒険者ではないことをその目の赤い光で確認した僕とマリーは

若干の詠唱の後、火魔法を撃ちこむ。


先手必勝ということで6階の攻略が始まった。


さすがに魔法だけで片が付くことは無く、

反撃してくる相手も増えてきた。


その攻撃も重くなってきており、まともに受けるわけにもいかない。


無理はしないように、1つ1つ確実にと撃破していく。


そうして7階に降りて最初の小部屋にたどり着いたときのことだ。


「? なんだか騒がしいね」


戦いの音は聞こえないのに、叫び声のような怒鳴り声のような物があちこちで聞こえる。


反響して聞こえてるだけかもしれないけど……。


僕の言葉にマリーもセリス君も周囲を警戒し始め、

ホルコーもいつでも駆けだせるようにかブルブルと鳴いている。


と、僕達が向かう予定だった通路から数名の冒険者が飛び込んでくる。


「助かった! っと、お前たち、逃げるなら早い目に逃げろ!

 放浪騎士が出たぞ! 戦うならすぐ準備してくれ!」


そう叫び、装備を点検しだした冒険者達。


その声を合図にしたかのように、あちこちの通路から

冒険者達が集まり、いつの間にか20名ほどの冒険者の集団となっていた。


(放浪騎士……セリス君が言ってたっけ)


このダンジョンで目的にたどり着くまでに注意すべき物として確か言っていた。


見ればセリス君自身は青い顔をしている。


「ファルクさん、どうしましょう。放浪騎士は階層が10は違う強さだと言います。

 その分、倒した後の落し物は良い物らしいですけど……」


『たまに出るレアモンスターってところか。大体は放っておいても消えるが……』


ご先祖様の言うように、こういった相手はそのうち消えると言われている。


強さは折り紙付きで、決して僕が1対1で戦っていい相手ではないと思う。


でも今はこれだけの冒険者が戦おうとしている。


理由はなんとなくわかる。


強いという以外に問題があり、長いときには一月は消えないというのだ。


さすがに一月は僕達も許容できない期間だ。


旨みが相応にあることと、倒せた方が後が楽。


そんな背景があるからこその討伐組ということだ。


でなければ利益に敏感な冒険者が踏みとどまるわけがない。


誰かしらが怪我、あるいは命を落とす可能性は低くなさそうだけどね。


「僕と彼女は魔法がそこそこ使えます。遠距離で叩き込みましょう」


「おう、なら誘い込んでるやつらがいるからな。

 準備しておいてくれ」


名前も知らない冒険者にそう言われ、

ホルコーを壁の隅に移動させて互いに打ちやすい位置に立つ。


しばらくして、数名の冒険者が部屋に飛び込んできた。


その後ろに感じる異様な気配。


これが放浪騎士に間違いないだろう。


「今だ!」


誰かの合図の声、そして部屋の入り口に放浪騎士らしき相手、

妙にまばゆい光沢の鎧姿のそれを見た瞬間、

僕とマリー、そして他の冒険者からいくつもの攻撃魔法が飛び出していくのだった。

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