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534話「病気の予防策」



「まずは、これ以上病が広がらないようにすることだ」



 まず流行り病について対処するべきは、病に対する治療ではなく、それ以上病を拡散しないように予防する対策が必要だ。



 現状では、流行り病に罹患している人の数は極一部であり、今ならば予防策を講じるだけで対処できるレベルとなっている。



 そのためにはなにか予防となるようなことを行わなければならないが、それについてはあてがある。



「作ってみるか、石鹸」



 昔から慣れ親しまれてきた病気の予防法として、石鹸を用いた手洗いやうがいを行うという方法がある。一見すると単純なようだが、実に効果的かつ科学力のない世界でも実践可能な方法だ。



 肝心の石鹸の作り方だが、油脂……特に植物性の油と苛性ソーダと呼ばれるアルカリ性の強い物質が原材料として使われている。



 その二つを混ぜ合わせることで石鹸が完成するのだが、なぜ俺がここまで石鹸の作り方に詳しいのかといえば、前世でサラリーマンをやっていたとき、製薬会社とのコラボ企画で石鹸の作り方について調べたことがあったからだ。



 その経験がまさかこのような形で活かされる日がこようとは思わなかったが、利用できるものはなんでも利用すればいいという信念のもとさっそく石鹸作りに取り掛かっていく。



「まずは油脂だがこれはイエロープラントから取れる油を利用すればいいだろう」



 以前ティタンザニアの周辺を探索している際、アブラナに似たイエロープラントと呼ばれる植物を発見したことがある。それを加工することで、植物性食物油を入手できたのだが、今回はこれを石鹸の材料として使う。



 次に問題なのは苛性ソーダだ。当然ながら、この世界に苛性ソーダそのものは存在しない。要はアルカリ性の強い物質があればいいのだが、そう都合良くそんな物質があるわけ……。



「ありますムー」


「ご都合主義甚だしいわ!!」


「ムー?」



 ダメもとでこの世界にそういった物質があるかどうかプロトに聞いてみたところ、あるという答えが返ってくる。意外と思いつつも詳しい話をきいてみると、この世界には【石灰結晶】というものがあり、それが苛性ソーダの代わりになるほどのアルカリ性を含んでいるとのことだ。



 おそらくは苛性ソーダのように水酸化ナトリウムが多分に含まれているのだろうが、それにしたってそんな都合のいい物質が存在していることにご都合主義的ななにかを感じてしまうのは俺の気のせいだろうか?



「あの神がなにかやったんじゃないだろうな?」



 あまりに都合のいい展開に一瞬やつがなにかやったのではないかと勘繰ってしまう。だが、そんなやつの性格上そういった細かい気を使うタイプではないとわかっているため、もともとこの世界に存在していたファンタジー物質だということで自分を納得させた。



「その石灰結晶ってどこにあるんだ?」


「国内だと、モンスター農園の西側にそびえる山脈すべてが石灰結晶の鉱床となっているみたいですムー」


「なるほど、じゃあさっそく行ってみるとしよう」



 思い立ったが吉日とばかりに、俺はすぐさまモンスター農園へと移動する。だが、モンスター農園にやってきた俺を待ち受けていたのは、モンスターたちが平伏する異様な光景だった。

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